どんなスター選手でも最初は無名からキャリアを始め、一つずつ階段を上って行くとやがて大きな注目を浴びる時が訪れます。今季のF1でも多くの若手ドライバーが印象に残る走りを見せており、今後の成長に大きな期待が集まっています。しかし、現在すでにトップドライバーとして活躍している選手たちが、若き日にどのような走りでトップへの階段を上って行ったのか覚えていますか?
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印象的な走りを見せる今季の若手ドライバーたち
2017年のF1も終盤。
アジアラウンドが終了し、残りは4戦となりました。
メルセデスのルイス・ハミルトンとフェラーリのセバスチャン・ベッテルの一騎打ちとなった今季のチャンピオン争いに注目が集まるなか、先日20歳の誕生日を迎えたばかりのマックス・フェルスタッペンが大活躍。
選手権をリードするハミルトンに果敢に勝負を挑んでいく姿勢がレースを盛り上げ、若手ドライバーの中でも将来のチャンピオン候補の筆頭に挙げられることも増えており、トップドライバーへの階段を着実に上っています。
また、今季はフェルスタッペンに加えて新人ドライバーたちの健闘も目立っていて、エステバン・オコンやマクラーレン・ホンダのストッフェル・バンドーンさらには18歳のランス・ストロールはすでに表彰台を獲得するなど、存在感を示す走りを見せ、今後の成長に期待が集まっています。
そんな彼らもF1を牽引する存在となっていくのではないかと期待が高まりますが、では現在F1で活躍を見せているトップドライバーたちは、若き日にどのように自身の才能を示してきたのでしょうか?
今回は現役を代表する3人のドライバーたちが、デビュー間もない頃に見せた印象的な戦いを振り返ります。
現役を代表する2名のトップドライバーが快挙を達成したグランプリ
まず最初に、現在も絶大な人気を誇る2名のドライバー、キミ・ライコネンとフェルナンド・アロンソが一躍ブレイクを果たした2003年マレーシアGP。
当時、圧倒的な強さを誇ったミハエル・シューマッハは開幕から苦戦を強いられました。
そんなシューマッハの隙を突き、若手が頭角を表すことになったマレーシアGPは、前年にテストドライバーからレースドライバーに昇格を果たしたアロンソのポールポジションからスタートすることになります。
アロンソはF1デビューからわずか19戦目、21歳と236日という若さで史上最年少ポールという快挙を達成したのです。
その事実はF1界に大きな衝撃を与えたばかりか、多くのメディアがシューマッハの後継者に彼を推すなど、高い評価を獲得することになりました。
しかし、アロンソは予選終了後の夜から38度を越える高熱に見舞われ、夜になってもなかなか眠れない厳しい状況を押してレースに出場する事に。
レースでは優勝こそ逃してしまうのですが、見事に自身初となる3位表彰台を獲得して見せたのです。
このアロンソの走りはチームを躍進させる原動力となりましたが、マレーシアでの1戦は体力的にも厳しく、表彰式では思わずしゃがみ込んでしまうなど、56周のレースを戦い終えた彼には表彰式で喜びを爆発させる力は残っていませんでした。
そして、今季最後となったマレーシアGPが開催された際に、アロンソは2003年の初ポールと表彰台を獲得したことは今でも特別な思い出だと当時を振り返っています。
ちなみに決勝レースで優勝を飾ったのは誰だったのかと言うと、当時マクラーレンに所属していた23歳のライコネンでした。
スタートから堅実なレース運びを見せたライコネンはピットストップでアロンソを逆転すると、その後は後続に大差をつけてレースをリード。
最終的に2位を獲得したルーベンス・バリチェロに、約30秒のギャップをつけての堂々の初優勝を飾ったのです。
この出来事に当時マクラーレンのチーム代表を務めていたロン・デニスも感激し、レース後のインタビューでは涙ぐむというシーンも。
2003年はこの2名のドライバーが大きく成長を見せたシーズンとなり、特にライコネンは当時の史上最年少王者まであと2ポイントに迫る大活躍を見せ、アロンソと共に次代のチャンピオン候補に名乗りを上げる事ととなりました。
デビュー2戦目でトップドライバーを翻弄した新人
続いては今季もタイトル争いを繰り広げる現役ドライバー、ルイス・ハミルトンが大活躍を見せた2007年第2戦マレーシアGP。
デビュー戦で3位表彰台を獲得し、その7戦後のカナダGPではF1初優勝を飾るなど彼が新人の時に特筆するべきレースは多くあるのですが、この中でも筆者のイチ押しがマレーシアGPでの彼の走りでした。
予選で4番グリッドを獲得した彼はスタートから新人離れした動きで、ライコネンだけでなくポールポジションから発進したフェリペ・マッサをも交わし、オープニングラップで僚友のアロンソと共に1-2体制を築き上げます。
これだけでも新人であることを考えると十分過ぎると言えるのですが、彼の本領が発揮されたのはここからでした。
レースペースに優れていたフェラーリの2台は順位を取り戻そうと懸命なチャージを見せ、ハミルトンは防戦を強いられる展開となったのです。
しかし、ハミルトンは再三オーバーテイクを仕掛けてくるマッサに対し冷静な走りに徹し、時にはクロスラインを用いるなど接触のリスクの少ない守備的な走りを披露。
後方から追い立てるマッサはこの巧みな走りに動じてしまい、追い抜きのチャンスの多い3コーナーで再び仕掛けるも自らがコースアウト。
https://youtu.be/Jv6LBytDZp8
マッサが後方に下がると今度はライコネンからの詰め寄られるという苦しい展開となったのですが、ここでハミルトンは仕掛けるチャンスを与えずフェラーリ勢を見事に完封。
マクラーレンの1-2フィニッシュ達成に大きく貢献してみせたのです。
デビュー戦で初表彰台を獲得した際にも鮮烈な走りを見せたハミルトンですが、彼にとって2戦目となったこのマレーシアGPでは優勝候補を相手に大バトルを制し、改めて彼の才能を多くの人達に知らしめた一戦となりました。
水中戦となったモンツァで完全勝利を収めた21歳
先ほどご紹介したハミルトンとチャンピオン争いを展開している、セバスチャン・ベッテルも若き日に印象的な走りを見せています。
彼はF1参戦を開始した2007年から速さを披露しており、デビュー戦となったアメリカGPでの8位入賞や日本GPでは一時3位を走行するなどすぐに才能を示してきましたが、彼が最も大きな注目を集めたのは2008年のイタリアGPでしょう。
彼が所属していたトロロッソはチームの規模が小さく、当時はまだ参戦2年目といこともあり、トップチームと戦えるような状況にはありませんでした。
しかし、この年は入賞争いを繰り広げる機会も増え、ベッテルはレースで多くのリタイアを喫しながらも、予選では上位に食い込む速さを披露。
そのなか迎えた第14戦イタリアGPで、ベッテルは周囲に衝撃を与える走りを見せたのです。
ウェットコンディションとなったモンツァで予選Q1から3番手タイムを叩き出すなど好調ぶりを見せたベッテルは、優勝候補が次々と脱落を喫するなかでQ3まで進出。
最後はトップチームであるマクラーレンのヘイキ・コバライネンとの争いを0.076秒差で制し、ハミルトンが持つ史上最年少ポールシッターの記録を更新したのです。
これで勢いに乗ったベッテルは翌日のレースでも快走。
スタートダッシュを見事に成功させると、若手とは思えない盤石なドライビングでレースをコントロールし、非力なマシンにも関わらず2位のコバライネンに約12秒を超えるリードを築いてF1初優勝を達成しました。
これはトロロッソの前身に当たるミナルディの頃を含めてチームにとってもF1初優勝となる快挙であり、ベッテル自身も初優勝と初表彰台を同時に獲得するという珍しい記録を樹立することに。
翌年からトロロッソの兄弟チームであるレッドブルに昇格を果たすと、その後の活躍はご存知の通り。
史上最年少で4連覇を達成するなど数多くの勝利を積み上げて来ましたが、この勝利はその後の活躍を予感させる驚異的な速さを見せつけた一戦でした。
まとめ
このようにトップドライバーへと成長した選手たちは、多くの人の記憶に残る鮮烈な走りを披露してきました。
常に勝負の世界であるF1の場合、選手やスタッフの移り変わりが激しいのと同時にたった1レースで無名の選手がスターへと変貌を遂げるという事もあるのです。
その厳しい戦いを勝ち抜いてきた選手だけが長年に渡ってF1で戦うことを許され、例えトップドライバーであっても成績を上げることが出来なければ厳しい声が上がることも少なくありません。
今季も多くのドライバーがコース上で激しい戦いを繰り広げていますが、もしかすると次のレースに新たなスターが誕生するなんて事も、この世界では不思議なことではないのです。
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