今年はハッピーエンドに?…大奮闘のエヴァRT初号機トリックスター

Photo by Tomohiro Yoshita

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現在では鈴鹿8耐の名物にもなっている#01エヴァRT初号機TRICKSTAR。今年は大会期間中に2017世界耐久選手権へのフル参戦を発表。さらに国内外から注目を集めるチームとなった。

鈴鹿8耐では大人気のアニメ「エヴァンゲリオン」とコラボし7年目。ピットウォークでは登場キャラクターを模したコスチュームを身にまとったレースクイーンが登場するなど、今年も相変わらずの大人気ぶりだった。

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しかし、いざレースになると、ここ数年は不運続き。残り5分のところでマシントラブルでストップしたり、レース終盤に転倒を喫してしまうことも。

昨年は決勝朝のウォームアップで2台のバイクがクラッシュし破損。スタート2時間前にして走行可能なバイクが1台もない危機に陥った。

それでも、必死でチームはマシンを応急処置し、グリッドにつくタイムリミット30秒前にコースへ。満足に走れる状態ではなかったが、なんとか8時間を走りきり、大きな感動を呼んだ。

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迎えた2016年。カワサキの新型ZX-10Rを導入したエヴァRTは、予選ではトップ10トライアル入りを逃したものの、決勝では着実に順位を上げ一時は4番手を走行。

夕方以降はペースを落としてしまったが、ここ数年の不運を全て払拭するかのような力強いライディングを披露し、7位でフィニッシュを飾った。

昨年までをバッドエンドとすると、今年はハッピーエンドだったのか?

そうすると、答えはYesともNoとも言い難いが、間違いなく全国で応援しているエヴァRTファンを魅了する走りを今年もみせてくれた。

来年は世界耐久選手権に参戦し、チャンピオンがかかった最終戦で鈴鹿8耐を迎える。もしかすると、彼らが世界耐久王をかけて争っている姿が、見られるかもしれない。

 

トップ快走から、まさかのトラブル連発…TeamKAGAYAMA

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「なんでここまで不運に見舞われなきゃいけないんだ?」

レース前半、あるチームに対して、思わず筆者が心の中で叫んだことだ。

#17 TeamKAGAYAMA。今年も加賀山就臣が率いて参戦。ライダーは昨年同様清成龍一と期待の若手である浦本修充。

予選でもトップ10トライアルに入る速さを見せていたが、圧巻だったのはスタート。今年も清成がトップバッターを務め、見事なホールショットを披露。その後、追いついてきたヤマハ・ファクトリー(中須賀)にわずかな隙も与えない走りをみせた。

しかし、予想以上の暑さに徐々にペースを落とし始め18周目に先行を許してしまうが、着実にトップ争いに食い込み、1回目のピットストップへ。

そこで「まさか」の事態が発生した。

ジャッキのトラブルか何かで、フロントタイヤの交換が思うようにいかず、1分30秒以上もタイムロス。8耐の場合は、約15〜20秒程度で作業を終えてしまうため、このタイムロスは致命的となってしまった。

なんとか作業を終えて、チームオーナーである加賀山がコースイン。挽回に努めたが、ここでさらにまた不運が発生する。

今度はホイールリムからタイヤが外れてしまうトラブルが発生。これで、再び緊急ピットインを余儀なくされてしまう。

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幸い大きなダメージはなかったが、2つの不運が序盤に重なってしまったことにより、28位までポジションダウン。彼らの勝負は完全に終わってしまったかに思えた。

しかし、そこから浦本、清成の頑張りもあり順位を挽回。残り2時間でトップ10まで挽回すると、さらにペースを緩めることなく上位のマシンに接近。特に最終ライダーを務めた加賀山は鬼神のような走りをみせ、前を行くマシンを猛追。ついに残り3分のところで01番エヴァRTまで追いつきオーバーテイク。

執念の追い上げで6番手まで取り戻してチェッカーを受けた。

3年連続3位で、今年は何としても優勝を目標に掲げていたチームからすれば、この6位は不本意だが、8時間応援し続けたファンから見れば、「応援してよかった」と言えるような最後の追い上げだっただろう。

まとめ

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今年、決勝でスタートを切ったのは68台。そのうち完走扱いとして順位認定を受けたのは54台だった。

それぞれのところで、それぞれのチームが、それぞれの思いを胸に戦った8時間。だから、今回ご紹介した以外にもたくさんのドラマが鈴鹿では起きていた。

そして、そのドラマは…2度と同じ筋書きで鈴鹿8耐に登場することはない。2016年大会、これ1回きりのストーリー・ドラマなのだ。

果たして、来年はどんな展開が待ち受けているのか?こうやって1年間考えながら過ごすから、鈴鹿8耐はいつになっても待ち遠しいレースイベントなのかもしれない。