1980年代カワサキ車を代表するGPz400シリーズ。鈴鹿4時間耐久レースで優勝を果たしたZ400GPから400cc空冷4気筒エンジンを受け継ぎ、GPz400では軽量化やエンジンの出力を向上。カワサキ初となるフレームマウントのフェアリングでも話題を呼び、ビッグバイクと同様にミドルクラスバイクでもカワサキ独自のスタイルを貫きました。そんな80’sに高い人気を博したGPz400を、先代モデルも含めて年式順で詳解します。
掲載日:2020/03/03
CONTENTS
カワサキGPzはビッグバイクだけじゃない!GPz400もインパクト大のモデルだ
80’に登場したカワサキのバイクでは、GPzに強いインパクトを持っている方が多いと思います。
GPz1100、GPz750ターボ、そしてGPZ900Rニンジャなど、世界最速を目指し続けたカワサキを象徴するビッグバイク。
とはいえ400クラスも忘れてはなりません。
GPz400も激戦の400ccクラスのなかで、強烈なインパクトをライダー達に与えていたのです。
しかも、空冷や水冷、4気筒や2気筒などバラエティに富んだバイクが生み出されながらも、GPz400のネーミングは水冷化されたGPZ400Rまで継承。
現行のカワサキ400ccバイクにも、大きな影響を与えています。
カワサキ・GPz400とは
カワサキGPz400は1983年に型式『ZX400Aとして』登場。
当時のライバル車はホンダ CBR400F、ヤマハ XJ400、スズキ GSX400FSインパルスなど、400cc全盛期としてメーカーが最も開発に力を注いだモデルばかりでした。
そして本家GPzとは少々異なりますが、1982年に登場したZ400GPもシートカウルに『GPz400』の表記があり、このときから後に登場するであろうGPz400を予兆していたのかもしれません。
また、400ccクラスではライバルメーカーが毎年のようにモデルチェンジした新モデルを登場させていたため、案の定、Z400GPもわずか1年で生産を終了。
後継モデルとして、GPz400を登場させました。
そんな歴代GPz400は、モデル名の「Z」が小文字と大文字で表記の変化が生じ、空冷エンジンが小文字、水冷エンジンが大文字となっています。
さらにGPz400はエンジンやデザインを変えると共にモデル名の後にアルファベット文字が追加されますが、”GPz400″は1989年モデルのGPZ400R D4/D4Aまで継承され、ストリートからサーキットまでライバル車の400ccに比べても高い人気を得ていました。
そして生産を終了してからも、GPz400ならではのスタイルや空冷エンジン独特のサウンドは強烈なインパクトがあるため今でも高い人気を誇り、90年代の400cc空冷4気筒マシンにその技術が継承されています。
鈴鹿4時間耐久優勝を果たしたベースマシンがGPz400のベース
GPz400の先代モデルは、Z400FX(KZ400E)とZ400GP(KZ400M)でした。
1965年に大型二輪車免許制度ができ、免許取得のための一発試験は合格率1%とごくわずか。
そんな時代にZ1/Z2や750SS/500SSなどを発表し、国内外で成功をおさめていたカワサキですが、国内で乗る事ができる4気筒バイクはZ2かZ650だけ。
しかも、カワサキは400cc以下のラインナップが他3メーカーより圧倒的に少数でした。
しかし70年代後半からの日本で、にわかにバイクブームが盛り上がり、カワサキも400cc4気筒クラス初のZ400FXを1979年に発売。
カワサキZ1やZ2は若者たちの憧れのバイクだったため、Z400FXはZ1/Z2をそのままスケールダウンさせたようなZシリーズ初となる400ccとして注目を集めます。
さらに、当時のホンダCB400FOUR-Ⅰが37馬力だったのに対してZ400FXは45馬力を発揮し、クラス最高峰のパワーを得たことで大ヒット!
この人気により、1982年モデルのKZ400E4が最終モデルであったにもかかわらず、ファンからの熱い要望により1984年に再版され、当時新車だったGPz400と並行して販売される事になりました。
そして、さらにスポーティーに仕上がったシートカウルに、既にGPz400の名をあしらっていたZ400GPは、ちょうどZからGPzへ変わる時期に生産され、パワーは3馬力アップの48馬力を発揮。
Z400FXより13キロも軽量化されただけでなく、GPから採用されたフロントダブルディスクブレーキ、セパレートハンドル、リアモノサスというトリプルアップデートは、まさに峠やサーキットを思いっきり走らせてくださいと言わんばかりの装備でした。
その実力を証明したのが、1982年の鈴鹿4時間耐久レースに出場したチーム38のマシンであるZ400GPが優勝したこと。
しかも上位10位内にZ400GPが5台を占めるという快挙を達成。
当時の鈴鹿4耐は、一度の開催に600チームのエントリーがあり、予選通過すら困難とされていた400ccクラス最高峰のレース。
そこで優勝したと言う事実は、日本中のライダーから400ccマルチクラスで最も速いバイクだと認識され、後継モデルのGPz400のセールスに直結することになりました。
空冷4気筒エンジンの最高傑作を得たGPz400!水冷になる直前まで進化を止めることはなかった
GPz400は1983年発売のZX400-A1からA3まで改良を重ねながら、1985年まで販売されていました。
しかし400ccクラスが劇的に進化していった時代のため、水冷化されたGPZ400Rまでの販売期間はわずか3年間と短命。
1983年にはヤマハXJ400Z/Z-Sがエンジンを水冷化し、1984年登場のスズキGSX-R400に至っては水冷エンジンとレーシングバイクを思わせる大きなフロントカウルを装着。
GPz400でもフレームマウントのフェアリングを装着していましたが、水冷化されるまでには至らず、3年という販売期間は、水冷エンジンを搭載するライバル車に対して不利な空冷エンジンで対抗した我慢の期間だったのかもしれません。
GPz400【型式:ZX400-A1】
そんなGPz400はZ400GPと同じ空冷エンジンをベースにしながら、内径×行程を52×47mmから55×42mmにし、ビッグボアかつショートストロークにしたことで高回転域でのパワーを引き出し、3馬力のアップを実現。
ホンダCBX400Fの登場から400ccスポーツに毎年改良が行われ、ハイパワー化されていた時代。
GPz400も、その流れにのって改良されていきました。
GPz400F【型式:ZX400-A2(1984年)、ZX400-A3(1985年)】
Z400FX→Z400GP→GPz400と1年ごとにモデルチェンジを繰り返しますが、市場では1年の期間ですら長すぎたのか、GPz400の登場から僅か8か月でフルモデルチェンジされ、登場したのがGPz400Fです。
マイナーチェンジとしながら車名の末尾に”F”が付き、パワーも3馬力アップの54PS。
それよりも大幅に改良されたのが車両重量で、GPz400に比べ9kgも軽量化されました。
ちなみに、1983年式のGPz400と1984年式のGPz400Fでは赤く塗られたホイールとマフラーに”Kawasaki”のプレートを貼付。
1985年モデルでホイールは黒になり、マフラーのプレートはなくなっています。
また、GPz400Fが登場したのと同時に、フロントカウルをなくしたGPz400F-Ⅱも登場。
装備された四角型のヘッドランプはCBR400Fでも採用されたため、当時のトレンドとなりました。
また、GPz400F登場の翌年にエンジンは空冷から水冷に変更され、GPZ400R、GPz400-FⅡの後継モデルのネイキッドバイク『FX400R』が登場。
ここでカワサキ400ccマルチエンジンは消えてしまうのかと心配されましたが、ゼファーに搭載されるベースとなり、GPz400Fのエンジンは、カワサキ製400cc空冷4気筒エンジンの完成形といえる完成度の高さを誇っていました。
カワサキ・GPz400のスペック
1983年モデルGPz400 | 1984年モデルGPz400F | ||
---|---|---|---|
型式 | ZX400A-1 | ZX400A-2 | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,165×720×1,255 | 2,165×720×1,255 | |
軸間距離(mm) | 1,445 | 1,445 | |
シート高(mm) | 780 | 780 | |
車両乾燥重量(kg) | 187 | 178 | |
乗車定員(名) | 2 | 2 | |
エンジン種類 | 空冷4ストローク並列4気筒DOHC8バルブ | 空冷4ストローク並列4気筒DOHC8バルブ | |
総排気量(cc) | 399 | 399 | |
内径×行程(mm) | 55×42 | 55×42 | |
圧縮比 | 9.7 | 9.7 | |
最高出力(km[PS]/rpm) | 37.5[51]/11,500 | 39.7[54]/11,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 34.3[3.5]/9,500 | 34.3[3.5]/9,500 | |
トランスミッション | 6速 | 6速 | |
タイヤサイズ | 前 | 100/90-18 | 100/90-18 |
後 | 110/90-18 | 110/90-18 |
まとめ
高校の頃に数ヶ月乗ってたバイク
GPZ400
先輩が卒業するんでタダで貰った
欲しかった理由は単純に学ラン着て単車に乗って学校行きたかったから
(*´▽`)ただそれだけ。
飽きたし補導される前に、更に後輩へ譲ったヽ(^○^)ノ pic.twitter.com/z7uaknKgWP
— あいろん (@YPRjcT9GVDsVw4u) 2018年8月2日
激しい400cc4気筒スポーツバイクの開発競争のなか、ライバル車と追いつけ追い越せのZ400FXからGPz400Fまで進化は止まることなく、毎年のようにマイナーチェンジまたはモデルチェンジを行っていたのは今の時代で考えられないこと。
それだけ開発費にお金を掛けられ、当時のエンジニアは忙しい日々を送っていたのでしょう。
そしてGPz400Fの販売終了後は水冷化されたGPZ400Rが登場し、最高出力が自主規制ギリギリの59馬力時代に入り、フルカウルのレーサーレプリカへと移っていきました。
Motorzではメールマガジンを配信しています。
編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?
配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!