初代セリカと同時にデビューした『足のいいやつ』カリーナも、21世紀を目前にして7代目に突入。兄弟車コロナは既にコロナプレミオとサブネームも入って再出発への過渡期にありましたが、7代目カリーナは原点回帰でスポーツエンジンを搭載。31年に渡る歴史の最後を飾りました。
時代の変化で販売の主力から滑り落ちた、最後のカリーナ
1996年8月、兄弟車であり兄貴分のコロナから7ヶ月遅れでモデルチェンジしたカリーナは、7代目T210系となります。
しかし、コロナがサブネームを得て『コロナプレミオ』を名乗るようになり、現在のプレミオへと至る過渡期的存在となって、後にトヨタ初の直噴エンジン『D-4』2リッター直4の3S-FSEが追加されたのとは対照的に、メカニズム的にはオーソドックスでした。
まだ衝突被害軽減ブレーキなど予防安全技術が発達する前だったにので、その種の装備はABS程度。
あとは衝突安全ボディ『GOA』が4代目P90系スターレット(1995年12月)などに続いて採用され、エアバッグを全車標準装備化していましたが、当時の日本ではABSと運転席&助手席SRSエアバッグを標準装備化しているだけでも『先進的』と言われたものです。
ちなみに、コロナと寸法やデザインが少々異なる兄弟車のようでいて、以下の違いは先代から共通していました。
・2リッターガソリンエンジンは4WDのみで、コロナプレミオと異なりFFの2リッター車は無し。
・コロナプレミオには無い1.5リッターガソリンエンジンを設定。
・1.6~2リッタークラスのコロナプレミオに対し、1ランク低い1.5~1.8リッタークラスセダンがカリーナ。
最後の最後にスポーツエンジン復活!
先代に設定されて『燃費のいいやつカリーナ』となっていた、1.6リッターのリーンバーン(希薄燃焼)エンジン版4A-FEは廃止されました。
そして、1.8リッターリーンバーンの7A-FEは残りましたが、低燃費エンジンの目玉はコロナプレミオに1996年12月に追加された、直噴エンジンD-4(3S-FSE)が担うこととなります。
では、カリーナの1.6リッターエンジンは、コロナプレミオ同様にオーソドックスな普通のハイメカツインカム4A-FEが搭載されたかといえばさにあらず。
先々代のT170系以来4年ぶりに1.6リッタースポーツエンジンの4A-GEが復活し、『カリーナGT』が登場。
ハイオク仕様で140馬力だった16バルブ仕様(1気筒4バルブ)ではなく、165馬力の20バルブ仕様(同5バルブ)で断然パワフルになり、1998年8月のマイナーチェンジでは5速MTから6速MTに変更されます。
ちなみにモデルチェンジ当時、4A-GE復活に当たってはよりパワフルな2リッタースポーツエンジンの3S-GE(当時180馬力)も検討されましたが、まだ3代目カリーナED(1993~1998)が販売されていたこともあってか『時期尚早』という判断で、4A-GEに決まったようです。
ただ、カリーナEDの廃止後も結局3S-GEは搭載されず、カローラ / スプリンター系全車に搭載されたのと同じ4A-GE搭載に終始したのが惜しまれるところ。
元来セリカの兄弟車として『足のいいやつ』をキャッチコピーにしたスポーツセダンだったカリーナとしては、久々に本来あるべき姿を取り戻したと言えるのではないでしょうか。
主なスペックと中古車相場
トヨタ AT210 カリーナ GT 1998年式
全長×全幅×全高(mm):4,495×1,695×1,400
ホイールベース(mm):2,580
車両重量(kg):1,160
エンジン仕様・型式:4A-GE 水冷直列4気筒DOHC20バルブ
総排気量(cc):1,587
最高出力:121kw(165ps)/7,800rpm
最大トルク:162N・m(16.5kgm)/5,600rpm
トランスミッション:6MT
駆動方式:FF
中古車相場:20万~79.8万円
まとめ
7代目カリーナは2001年12月にトヨタ店向け小型セダンの後継、『アリオン』が登場したことにより廃止され、カリーナとしての約31年の歴史に幕を閉じました。
また、アリオンも当初はカリーナのキャラクターを受け継ぎ、トヨペット店向けのコロナプレミオ改め『プレミオ』とは異なり、エアロパーツはサスペンションパーツが充実した若干スポーティな仕様に。
ただし、エンジンラインナップの統一などデザイン以外でプレミオと区別できる部分は無くなったため、『コロナの兄弟車だけど、コロナとはひと味違う』と言える程の個性は、7代目カリーナが最後となりました。
同時期にカローラGTやサニーVZ-R、ブルーバードSSS-Zなど『大衆向けセダンに高性能エンジンを搭載したスポーツセダン』が排ガス規制により搭載エンジンを失うなどして相次ぎ廃止されましたが、カリーナGTもまた歴史の転換点に消えていった1台となったのです。
もっとも、後に残された日産プリメーラ20Vやホンダ・シビックタイプR(FD2)が販売不振やマニア向け過ぎるとの評価もあってその代を最後に消えた(シビックは近年復活しましたが)ことを考えると、カリーナの引き際は『潮時』を心得たものだったかもしれません。
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