昔に比べて、新車価格が高くなったと言われています。実際にフルモデルチェンジを経るごとに、車の価格は高くなっており、時代が進むにつれて新車の値段が引き上げられていることは確かです。では、一体なぜ新車価格は、高くなってしまったのでしょうか。そこには環境、安全性能、政府の経済政策などが関係していたのです。
昔と今の新車価格を比較
では、新車価格はいつ頃から上昇しはじめたのでしょうか。
21世紀に入ってから新車価格は高騰し続けており、実際にスポーツカー、高級車、軽自動車など多くの車種が値上げされているのです。
スポーツカーを例に上げると、2002年に販売された『日産・シルビア(S15型)』の最上級グレードは239万円。
それに対し、現行のエントリースポーツカー、『トヨタ・86』の標準グレードの価格は262万3320円で、その差額は23万円。
次にマツダ・ロードスターで比較してみましょう。
2001年に販売された2代目となるNB型では、1.8Sと呼ばれる標準グレードで235.2万円なのに対し、2017年販売のNDロードスターのベースグレード1.5Sは、249万4800円です。
NBロードスターには排気量的にもほぼ近い1.6リッターのベースグレードも存在しており、こちらの値段は価格199.8万円。
NDとの差額は49.68万円となります。
続いて高級車では、SUVの『ボルボ・XC90』が旧型だと677万~729万円の価格帯だったのに対し、新型では774万~1299万円となりました。
さらには、手に入れやすい価格設定が魅力の軽自動車でさえも、値上げは行われており、2001年に94.5万円で販売されたワゴンRのベースグレード「FG」に対し、2017年式のワゴンRは標準グレード「FA」でも、107.8万円に上がっています。
21世紀に入ってから消費者の財布が厳しくなっている傾向は、現実も変わりませんが、新車価格はどんどん上がり、若者が容易に車を買える状況ではなくなっているのです。
何故新車価格が高くなったのか
このように、21世紀に入ってから新車価格は上昇しており、「若者には買える車があまりない」という状況が続いています。
では、何故新車価格は高騰したのでしょうか。
それには以下のような原因が挙げられます。
環境性能の向上
近年、ハイブリッドカーやマツダの「SKYACTIV TECHNOLOGY」など、地球環境に配慮した車や技術が多く登場しています。
ハイブリッドカーをつくるにはバッテリーやモーターを装備する必要があり、ガソリン・ディーゼルエンジン車でも環境性能を向上させようとすれば、技術開発や機関部の新設計などが行われます。
そのために、開発コストが高くなり、自然に新車価格が高騰してしまうのです。
安全性を考えた装備の追加
昨今の車には、自動ブレーキやバックモニターなどの安全装備が多数装着されています。
これは安全性という面では良いのですが、装備が追加されるということは、それだけ車両本体価格が上がるということ。
ドライバーや歩行者の安全を考えて追加される装備の存在が、その代償として家計への負担を増加する結果となっているのです。
しかし安全装備が不要というわけではなく、ドライビングアシストや自動ブレーキ機能など、ドライバーと歩行者の安全性を高めるためには大事なもの。
問題は、労働の平均賃金がさほど上がらないため、装備が追加されて値段が上がった車を買わなくては行けないことでわす。
経済政策
日本の経済政策も、新車価格高騰の一因です。
2019年時点の日本では、政府主導で「アベノミクス」と呼ばれる経済政策が実施されています。
この政策を簡単に説明すると、景気がよくなった場合は物価が上昇するので、金融緩和と円安を起こして意図的に物価を上げ、景気をよくしようとするものです。
しかしら政策の実施以降、2013年から3年間だけでも物価は4.8%上昇しており、そのうち2.8%は円安が原因です。
このアベノミクスによって、国家の基幹産業である車の値段は上昇しました。
しかし新車価格は上がっても、国民の実質賃金が上昇していないので、多くの人々にとって車は、手が出しにくいものとなっています。
元々消費を促すことを目的として実施されたアベノミクスですが、現実には国民の消費を停滞させているのが現状で、「若者の車離れ」が加速する原因にもなっています。
まとめ
2019年時点では新車価格が上がり、景気も良くならない社会状況が続いています。
そして一向に安くならず、二重課税とも言われている自動車関連税の存在。
これらによって、車は人々にとって簡単に手が出しにくいものとなり、若者の多くは車を買うことを諦めて、何が起こるかわからない将来を見据え、て貯金をしています。
「トヨタ 86」や「NDロードスター」など面白い車は多く販売されているのですが、若者の多くはそれを買えず、遠くから眺めるだけ。
こんな状況を改善しなければ、いつか売れるものも売れなくなってしまうのではないでしょうか。
今後の自動車業界がどうなっていくのか、注目していく必要がありそうです。
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