ランフラットタイヤとは、空気が抜けてもすぐにはパンクしない魔法のようなタイヤです。開発当初は現金輸送車を強盗から逃がすことが目的だったそうですが、実は、第二次世界大戦で戦闘用タイヤとして技術が確立しており、2000年ごろから現在のように一般でも購入できる商品となりました。そんなランフラットタイヤの構造、メリット、デメリットなどをご紹介します。
掲載日:2019.8/21
CONTENTS
ランフラットタイヤの構造
通常のタイヤとランフラットタイヤには、構造的にどのような違いがあるのでしょうか?
①サイドウォール
通常のタイヤは内部に空気を入れ、空気が密閉されることで車両重量を支えています。
ランフラットタイヤは内部の密閉された空気に加えて、ホイール外面周囲のゴム(サイドウォールといいます)にも強度を持たせ、車両重量を支えている点が構造上の特徴です。
もし走行中に釘が刺さるなどしてパンクした場合、通常のタイヤなら空気が抜けて車両重量を支持できなくなって走行不能に陥ります。
しかしランフラットタイヤの場合、空気が抜けてもサイドウォールが車両重量を支えるため、時速80km以下で80km程度の走行が可能です。
②空気圧センサー(TPMS)
ランフラットタイヤを標準採用する車種は、必ずタイヤ空気圧センサー(TPMS)を装備しています。
ランフラットタイヤはサイドウォールが頑丈なためパンクに気付きにくく、パンクを修理しないまま、放置してしまう可能性が高いのです。
そこでランフラットタイヤ標準装備車には、空気圧センサー(TPMS)が必須となります。
もし通常のタイヤからランフラットタイヤに履き替えるなら、空気圧センサー(TPMS)はアフターパーツとしても販売されているので、タイヤと合わせてチェックしておきましょう。
ランフラットタイヤのメリット
パンクしても走行できるランフラットタイヤの、メリットをご紹介します。
①パンクしても走行できる
何度もお伝えしていますが、ランフラットタイヤはパンクしても走行できます。
そのため、パンク時には近隣のカー用品店や整備工場までの自走での移動が可能。
またパンクを引き金にした交通事故も、未然に防ぐことができます。
そのため、空気圧センサー(TPMS)が異常を検知したら、速やかに速度を落として修理に向かいましょう。
②スペアタイヤの積載必要なし
通常のタイヤを標準装備する車種は、必ずスペアタイヤをラゲッジに積載しています。
しかしランフラットタイヤ装着車は、パンク修理キットを積載する場合が多く、スペアタイヤは積載しません。
これにより車両重量の低減、燃費の向上、二酸化炭素排出量の低減、ラゲッジルームの容量拡大に貢献します。
ランフラットタイヤのデメリット
いいことづくめのランフラットタイヤですが、もちろんデメリットもあります。
①パンク修理が困難
空気圧センサー(TPMS)が空気圧異常を検知し、近隣の整備工場まで走行したとします。
この場合、パンクしたランフラットタイヤは修理不能な状態になっている場合があり、買い替えを余儀なくされてしまいます。
ランフラットタイヤを装着する車種は高性能車が多い傾向にあり、1本だけ新品にすると電子制御されている現在の自動車ではデータに狂いが生じる恐れもあり、1台分交換になることもあります。
②乗り心地が硬い
通常のタイヤならクッションとして使用するサイドウォールを頑強にしているため、同じ車種でも通常タイヤ採用車と比べると、乗り心地が硬くなる傾向にあります。
しかし最近のランフラットタイヤの新製品は、サイドウォールの支持機能とクッション機能を両立できるように設計されており、ごつごつした硬さではなくしなやかな硬さに変化していると、試乗の度に筆者は感じます。
③高価で流通量が少ない
通常のタイヤと比較すると、ランフラットタイヤは2割程度高額で、ブランドも少なく、流通量も多くはありません。
加えてタイヤチェンジャーが専用品のため、ランフラットタイヤ取り扱い店舗も限られます。
そのため、パンク修理で個人経営の整備工場に飛び込んでも、対応ができない場合もあるかもしれません。
④通常タイヤへの履き替えが困難な場合も
ランフラットタイヤの乗り心地は、通常タイヤより硬めです。
そのため、足回りのセッティングもタイヤの硬さを見越した設定となっています。
しかし、乗り心地が硬いからといって通常のタイヤに履き替えても、予想以上に乗り心地が柔らかくなることも。
また通常タイヤはコーナリング時に横Gを、サイドウォールを変形させて吸収するため、運転感覚がガラリと変化することもあり、慣れるまでは要注意です。
まとめ
パンクしても一定距離を走行可能なランフラットタイヤは、パンク時の安全性や環境性能に秀でています。
反面、乗り心地が硬い、パンク修理が効かない場合などもあり、長所と短所が明確です。
ランフラットタイヤをお考えなら、ぜひ参考にしてみてください。
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