自分の愛車を少しでも良い状態に保つために、日々、整備にいそしんでいる方は多いと思います。そんな中、「どこまで自分でやっていいのだろう?」「ここは素人が手を出してはまずいのでは?」といった疑問が、頭をよぎったことは無いでしょうか?今回は、プロではない個人がどこまで自分の車の整備を行っていいのか、解説します。
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個人でやると違法な整備は存在する?
チューニングやドレスアップなどに関する違法or合法問題はさておき、個人が行うと違法となってしまう「整備」は存在するのでしょうか?
結論からいうとそのような整備は存在せず、保安基準を定める「道路運送車両法 第47条」には以下のように記載されています。
「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。」
つまり、自分の車は自分で整備してくださいと言っている訳で、法律上NGな整備項目が存在する訳ではありません。
とはいえ、車のメンテナンスには専門知識を必要とする箇所が沢山存在し、その為に整備のプロである整備士という職業があるのです。
認証工場と未認証工場の違い
個人はともかく、工場に整備を依頼する場合はもう少し知っておくべきことがあります。
それは、「認証工場」と「未認証工場」の違いで、自動車の「分解整備」を行おうとする場合は、地方運輸局長の「認証」を受けなければならないという決まりが存在するという点です。
認証工場かどうかを見分けるには、画像の黄色い看板が目印となっています。
ここでの「分解整備」とは、以下の項目が当てはまります。
第3条 法第49条第2項の分解整備とは次の各号のいずれかに該当するものをいう。
(1)原動機を取り外して行う自動車の整備又は改造。
(2)動力伝達装置のクラッチ(2輪小型除く)、トランスミッション、プロペラシャフト又はデファレンシャル、を取り外して行う自動車の整備又は改造。
(3)走行装置のフロントアクスル、前輪独立懸架装置(ストラット除く)、又はリヤアクスルシャフトを取り外して行う自動車(二輪小型除く)の整備又は改造。
(4)かじ取り装置のギヤボックス、リンク装置の連結部、又は、かじ取りホークを取り外して行う自動車の整備又は改造。
(5)制動装置のマスタシリンダ、バルブ類、ホース、パイプ、倍力装置、ブレーキチャンバ、ブレーキドラム(二輪小型除く)もしくはディスクブレーキキャリパを取り外し、又は二輪の小型自動車のブレーキライニングを交換するためにブレーキシューを取り外して行う自動車の整備又は改造。
(6)緩衝装置のシャシバネ(コイルバネ及びトーションバー除くスプリング除く)を取り外して行う自動車の整備又は改造。
(7)けん引自動車又は被けん引自動車の連結装置(トレーラヒッチ及びボールカプラを除く)を取り外して行う自動車の整備又は改造。
簡単に言うと、未認証工場において上記項目に当てはまる分解整備をした場合は、その工場の従業員が整備士資格を持っていようと工賃を請求してはいけないのです。
自己責任が問われますので、車検等を依頼する際は依頼先が認証工場なのか確認が必要です。
初心者にもおすすめな整備その1・タイヤ交換
ここからは、DIY初心者でも注意して取り組めば、安全な整備項目を紹介します。
1つ目は、タイヤ交換です。
用意するものは輪止め・ジャッキ・ホイールナットを外す十字レンチ、トルクレンチの4点です。
安全な場所にサイドブレーキをかけて車を停めて、安全の為に交換するタイヤの対角線上に輪止めを置きます。
そしてホイールキャップを外してジャッキアップしたら、ホイールナットを緩めて取り外し、タイヤの交換を行った後、メーカー指定のトルクにトルクレンチを設定し、ナットを締めます。
1度覚えておけば、急なパンクの際や、経年劣化で交換時期が来た時にも安心です。
初心者にもおすすめな整備その2・バッテリー交換
バッテリーの交換も、定番メンテナンスの一つです。
気を付けたいのは端子を外す順番で、マイナス端子を外してからプラス端子を外し、取り付けの際はプラス端子を付けてからマイナス端子を付けてください。
この順番を間違えるとショートや火災などの危険な事故に繋がる恐れがあるので、十分に気をつけましょう。
初心者にもおすすめな整備その3・エンジンオイル交換
バッテリー交換やタイヤ交換と比べると少々難易度がアップするのが、エンジンオイルの交換です。
主にエンジンルームからオイルチェンジャーを使って吸い上げる方法と、ジャッキアップして車体下から排出して交換する方法がありますが、初心者にはオイルチェンジャーを使う方が安全です。
また、オイルを吸い出す前にはエンジンをかけてオイルを暖める必要がありますが、その際に火傷をしないよう、耐熱・耐油手袋を着用するのも忘れないでください。
最も怖いのはオイル漏れで、オイルを抜いた後にドレンボルトを閉め忘れたりするとそこからオイルが漏れ、エンジンの故障に繋がってしまいますので、気をつけましょう。
生死に直結するブレーキ周りのメンテナンス
経験豊富なプロでない限りは、身の安全に関わるブレーキ周りの整備には手を出さない方が無難だと言えるでしょう。
例えば劣化したブレーキフルード等は気泡が発生しやすくなってしまう為、定期的な交換が必要ですが、ピストン内にフルードを入れた後に行う「エア抜き」と呼ばれる作業を行う必要があります。
確実にエアを抜かないとフルード内に気泡が残っている状態となり、最悪の場合はブレーキが効かなくなってしまう「ペーパーロック現象」と呼ばれる状態に陥る事も!
ショップに頼んでも5000円から10000円程度で交換してくれるので、安全の為にもプロに任せた方が安心です。
※ブレーキ(制動装置)の脱着を伴う整備は、国の認証がとれていない自動車整備工場で整備を行った場合、違法行為になるほど重要な整備です。
ジャッキアップが必要なサスペンション周辺のメンテナンス
例えばサスペンションのダストブーツが破れていて交換しようと思ったら、まずジャッキアップをしてタイヤを外す作業から始まります。
その後、ショックアブソーバーを取り外してダストブーツを交換し、元に戻す作業を行う事を考えると、かなりの手間と知識が必要となってきます。
サスペンションの正しい取付順序などを知らない場合、1歩間違えると脱輪等の事故に繋がってしまう可能性も!!
そのため、足周りのメンテナンスも、腕に自信の無い方は専門店にお願いするのがベターと言えるでしょう。
まとめ
一口に車の整備といっても、さまざまな種類のものが存在します。
また、工具を扱う以上、全く危険がない作業は存在しないため、DIYによる整備を行う際はしっかりと下調べを行ってから取り組むことをお勧めします。
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