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F1におけるセーフティーカー
モータースポーツの頂点であるF1のセーフティーカーは、かなりのスペックが必要となるようです。
SC使用車種:Mercedes-AMG GT S
F1には、1996年よりメルセデスAMGが専用車両を提供しています。
2015年から現在まで、最新フラッグシップモデルであるAMG GT。その中でもハイパフォーマンスモデルに位置するSの名を持つAMG GT Sが採用されているのです。
エンジンは4L V8ツインターボエンジンで、510psという一般車としてはハイパワー!
それでも先導相手は世界の最高峰を走るF1マシンなので、実際にペースコントロール中のF1マシンから、無線でペースアップを指示する声を聞くことも少なからず有るようです。
しかし、ヘビーウェットのなどの粗悪な路面コンディションの上では、F1マシンより速い事もあり、高いポテンシャルを誇っているのも事実です。
セーフティカーの専属ドライバーがいる!
2000年より、セーフティーカードライバーは専属でベルント・マイランダーさんが担当しています。
F1のSC先導では常に全力で走行することが求められます。
そこで、DTMやFIA-GT選手権などに主にメルセデスベンツから出場していた実績のある、生粋のレーシングドライバーのマイレンダー氏を専属ドライバーに抜擢!
2000年には世界一過酷とも言われるニュルブルクリンク24時間レースで総合優勝するほどの実力者です。
やはり、しっかりとしたスキルを持ち合わせていないと、F1のセーフティーカードライバーは務まらないという事がわかります。
また、セーフティーカーの助手席にはレースディレクター(審判長)と交信するスタッフが同乗しており、レースを再開するタイミングなどのやり取りや、車体に取り付けられているランプの操作などを行っているのです。
バーチャルセーフティーカー(VSC)
2014年の日本GPで起きたジュール・ビアンキ選手の死亡事故を受け、レース運営上の安全性向上を目的に、2015年より導入されたのがバーチャルセーフティーカー(VSC)です。
「コース上のいずれかのセクションで、ダブルイエローフラッグが振られる必要があり、競技者あるいはオフィシャルが危険にさらされる可能性があるものの、実際のセーフティカーを使用しなければならない状況ではない場合に使用される。」
FIA 2016 F1 スポーティングレギュレーション 第40条より
具体的には、発動するとマーシャルライトパネルに「VSC」が表示され、該当のセクションをFIAが定めた最低タイム以上を維持して走らなければなりません。
今までのダブルイエローフラッグに相当するものとなり、発動中の不必要な低速の運転や不規則な動きは禁止されています。
VSC導入以前はダブルイエローフラッグが振られていても、その減速具合はドライバーに一任されていました。しかし、規則によって定める事で、全員が安全な速度まで減速する為、安全性は格段に向上する事になりました。
F1は安全性のためにマシンを規制するのではなく、ルールにより深刻なアクシデントを未然に防ぐ働きが重要になっているのです。
WECにおけるセーフティーカー
排気量やパワーの異なったクラスのマシンが混走で、6時間や24時間といった長距離を争う世界耐久選手権。30台を超えるモンスターマシンたちを先導するのはル・マンで生まれたあの車です。
また、長丁場のレースを安全に進めるため、WECで使用されるセーフティーカーでは驚きの最先端安全技術が搭載されているのです。
SC使用車種:AUDI R8 V10 plus
1999年に参戦して以来、撤退を発表した2016年シーズンまでにル・マン24時間レースで歴代2位の13勝を記録したアウディ。
耐久レースの中で培われた技術が最もフィードバックされているであろう、アウディのフラッグシップスーパースポーツ、AUDI R8がWECのセーフティーカーを務めています。
2008年より採用されているR8は、アウディ独自の4WDシステム「クアトロ」を搭載し、どんな条件でも安全にかつスピーディにマシンを先導しています。
フルコースイエロー(FCY)
WECではセーフティカー導入以外にフルコースイエロー(FCY)というものがあります。
これは、デブリの撤去といったセーフティーカーの出動が必要ではないアクシデントの場合に行われる安全措置です。
レース中にフルコースイエローが発動した場合、コース上を走る全車が同時に80km/hまでスローダウン。
車間距離などは保たれるため、レース展開を崩さず安全な状態を作り出す最先端の安全技術です。
日本のSUPER GTにも導入されるという噂が出ていますが、一説によると一戦に数千万円かかるシステムとも言われているため今後の動向が注目されています。
スーパーGTにおけるセーフティーカー
日本が誇る世界最速のハコ車レース、スーパーGT。そのセーフティーカーはもちろん日本が世界に誇る国産スポーツカーが採用されているのです。
SC車種:LEXUS RCF
2014年までの日産GT-Rに変わり、2015年よりLEXUS RCFが採用されました。
LEXUS RCFは、ダウンサイジングターボという自動車業界の流れに逆行する、5リッターV8NAエンジンをフロントに搭載し、大排気量のエンジンは最高出力477psを発揮します。
そしてFRレイアウトを採用することで、ダイナミックな走りを実現しているのです。
クラス順に隊列を形成
GT500・GT300クラスが混走するスーパーGTでは、SCが導入されると一旦メインストレート上でクラス順に隊列を形成し直すという独自のルールが存在します。
SCの先導で一周回った後、メインストレート上でスタッフが掲げるボードの前に一列に整列します。
そして、GT300はアウト側、GT500はイン側に分かれて停車させるのです。
全てのマシンがメインストレート上に停車すると、SCはクラス毎の隊列の先頭がクラスのトップを走行中のマシンになるように整理を行われます。
MotoGPにおけるセーフティーカー
世界最高峰の二輪車レース、MotoGP。モンスターバイク達を先導するには、やはり相当な運動性能が要求されるので、長年の提携によりこだわり抜かれたセーフティーカーが使用されてきました。
SC採用車種:BMW M2
1999年よりパートナーシップ契約を結んだBMW。
BMWはMotoGPに参戦はしていませんが、毎年スポーツラインナップであるMモデルをセーフティーカーとして供給。2016年シーズンは、M2クーペが採用されました。
ショートホイールベースの車体に370psと47.4kg-mという強烈なパワーとトルクを発生するエンジンを搭載。
後輪駆動という、かなりアグレッシブなBMWらしいスポーツモデルという、十分に魅力的なM2ですが、エクステリアはカタログオプションのMパフォーマンスパッケージが施されています。
白地にBMWの特徴的なレッドとブルーのストライプが入っており、トリムもしっかりゴールドで仕上げられているこだわりの仕様です。
インテリアからも余計なものは取り払われ、ロールケージ、レカロ製バケットシートに消火器など、まるでレースに参戦するかのような、気合の入ったパッケージとなっています。
とにかくBMWがこだわり抜いたMotoGPのセーフティーカー!レースを観戦する際は要チェックですね。
まとめ
今回は、レースにはなくてはならない存在であるセーフティーカーに注目してみました。
主要カテゴリー別に見てみると、それぞれ特徴的なルールが存在したり、セーフティーカーに採用されている車種も異なっていたりと、面白い結果になりましたね。
ただ一つ言える事は、レースのペースをコントロールするセーフティーカーは、やはり「速く」なければ務まらないという事です。
これからレースを観戦する際には、レーシングカーだけでなく、レースを見守るサポートカーにも注目すると新たな発見があるかもしれません。
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