2017年のジュネーヴ・モーターショーで、昨年アストンマーティンが発表したハイパーカー「AM-RB001」の正式名称が発表されました。その名は「アストンマーティン・ヴァルキリー」。神に仕える侍女たちの名を与えられたこのハイパーカーには、F1における天才デザイナー エイドリアン・ニューウェイのノウハウが全て注ぎ込まれているのです。

©Aston Martin Lagonda Limited

イニシャル”V”を持つ特別なアストンマーティン

©Aston Martin Lagonda Limited

1913年に創業した、イギリスを代表する自動車メーカーである「アストンマーティン」。

職人気質で、時に採算度外視でこだわりを守り続ける彼らですが、その中でも「V」の名を持つラインナップは特別な存在として位置付けられています。

1951年、DB2の最上級グレードに「Vantage(ヴァンテージ)」と名付けた事を皮切りに、「Virage(ヴィラージュ)」、「Vanquish(ヴァンキッシュ)」、そして最近ではサーキット専用モデル「Vulcan(ヴァルカン)」がブランドの最高峰を飾るスペシャリティカーとして登場してきました。

 

エイドリアン・ニューウェイが生んだ新たな傑作

エイドリアン・ニューウェイ(©︎RedBull Content Pool)

アストンマーティンは既に2016年、「レッドブル・ハイパフォーマンス・テクノロジーズ」とのコラボレーションで「AM-RB001」と呼ばれるコンセプトモデルを発表していましたが、ジュネーヴ・モーターショーでついに正式名称が公開されたのです。

その名は「アストンマーティン・ヴァルキリー」。

北欧神話に登場する、天空を翔ける鎧を纏った侍女「ワルキューレ(Valkyrie)」に由来する名前です。

天才・エイドリアン・ニューウェイがデザインしたこのモデルは、彼が20年のF1キャリアで培ったエアロダイナミクスの全てが注がれていると言っても過言ではありません。

©Aston Martin Lagonda Limited

サイドのシルエットはスポーツカーですが、良く見るとフォーミュラカーにカウルを被せたような構造を持っていることが分かります。

©Aston Martin Lagonda Limited

正面から見ると、カウルの下にはドライバーの足元からノーズ先端まで伸びたモノコック構造が見えてきます。

複雑な形状の”フロントウィング”で整えられた気流はノーズ下に入り、そのまま後部のディフューザーと側面に抜け、強力なダウンフォースを生んでいる様です。

©Aston Martin Lagonda Limited

モノコックはリアアクスル前方から車体後部が大きく跳ね上げられ、かつてのグループCカーのような「ベンチュリー構造」を作り出している様にも見えます。

レギュレーションに縛られる現代のレーシングカーでは実現出来ない、まさに”ニューウェイの描く理想”が詰まった1台と言えるのではないでしょうか。

 

1000馬力オーバーのV12ハイブリッドを搭載

©Aston Martin Lagonda Limited

 

注目のエンジンは、コスワースがチューニングを施す6.5L V12自然吸気ユニットを搭載。

そこにリマック社製 エネルギー回生システム(KERS)が搭載され、エンジンパワーを補助!総出力は実に1000馬力に達するといわれています。

組み合わせられるトランスミッションは、実績のあるリカルド社製7速パドルシフトを採用しています。

また、マフラーエンドがエンジンフード後端に設置されているのも非常に特徴的です。

車体はコクピットを収めるカーボン・モノセル構造を中心に、シャシーとカウル類はすべてカーボンファイバー製で車重は1000kgフラットと発表されています。

そして、パワーウェイトレシオは”1.0″!もはや想像もつかないレベルの高いポテンシャルを秘めている様です。

 

まとめ

©Aston Martin Lagonda Limited

2018年からデリバリーが開始され、今のところ販売台数はロードバージョンが99〜150台、サーキット専用のトラックバージョンが25台とアナウンスされています。

価格は250万ユーロ(日本円で約3億円)とのことですが、既に300名を超える購入希望者が殺到しているそう。

トラックバージョンが発生するダウンフォースは、リアウイングのない状態で車重の1.8倍という驚異的な値を達成していると言われていて、あの世紀の名車「マクラーレン・F1」に変わる、乗用車の新たなイノベーションとなる事は間違いなさそうです。

 

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