2017年のジュネーヴ・ショーで、「アルピーヌ」の新型市販モデルが正式発表されました。その名称は1970年代にラリー界を席巻した伝説的名車「A110」。先代の活躍から今回の復活までの流れを振り返るとともに、今回のモデルは一体どんなクルマなのか探ってみました。

©︎Groupe Renault

WRCで名を馳せた名車「アルピーヌ・ルノー・A110」

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世界ラリー選手権(WRC)が初めて開催された1973年、ルノーはそのチューナーとして実績のあった「アルピーヌ」を買収し「アルピーヌ・ルノー」を発足させました。

彼らは既にグループ4レースで速さを見せていた「A110」のラリー仕様をWRCに投入、フィアットやフォードといった強豪に勝負を挑みます。

A110は高剛性のバックボーンフレームにFRP製ボディを採用し、車重わずか620kgという驚異的な軽さを持ったマシンでした。

加えてRR(リアエンジン・リアドライブ)の強烈なトラクションも大きな武器となり、WRC初年度をシリーズ6勝という圧倒的な強さで制覇するのです。

その後もアルピーヌは数多くの名車を生み出したものの、1995年の「A610」生産終了を最後にブランドが途絶え、しばらくクラシックカーの世界でのみ語られる存在となっていました。

 

アルピーヌ復活への道筋

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それから12年後の2007年、ルノーは「アルピーヌ」ブランドの復活を正式発表します。

2012年にはコンセプト・スーパースポーツ「A110-50」が発表され、大きな話題となりましたが、ファンの関心は常に最大のアイコンであるライトウェイトスポーツ「A110」復活でした。

年々期待が高まる中、グループ・ルノーは2015年のルマン24時間レースでアルピーヌ設立60周年を祝うコンセプトカー「アルピーヌ・セレブレーション」を突如発表。

A110を彷彿とさせる完成度の高いフォルムは、ファンの期待は高まります。

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さらに、翌2016年には市販化を意識した新たなコンセプトカー「アルピーヌ・ビジョン」を公開。

ひときわ目を引く4灯式ヘッドライトもさることながら、ボンネット中央やサイドにあしらわれたキャラクターラインなど、一目でA110の”後継車種”と分かるデザインにまとめ上げられていました。

 

蘇ったアルプスの覇者「アルピーヌ・A110」

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2017年のジュネーヴ・ショーで待望の市販モデルが公開。その名称は予想通り「アルピーヌ・A110」でした。

このクルマ最大の特徴は、先代が武器とした「軽さ」をとことん突き詰めている点。

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モノコックとボディーパネルはすべてアルミ合金が採用されている他、オールアルミ製ブレーキ・キャリパーの採用や、一脚わずか13kgというワンピース構造の専用バケットシートなど、細かい部分まで重量を削り落とす工夫が凝らされ、車体重量は1080kgを実現しました。

またミッドシップに搭載されるエンジンは、252psを発生する軽量・コンパクトな1.8L 直列4気筒ターボユニットを採用。

加えてダイレクト感のある軽快な走りを演出する為、ミッションにはクロスレシオの7速デュアルクラッチ(DCT)が組み合わせられています。

 

筋金入りのレース屋「アルピーヌ」のこだわり

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アルピーヌがルノーのラインナップから姿を消した後も、彼らの工場は「ルノー・スポール」ブランドの製造を担当し、そのモータースポーツ活動を支える存在であり続けていました。

これらのノウハウを生かした隙のないこだわりも、A110の魅力を大きく高めている要素と言えるでしょう。

たとえば、市販車では処理の難しいアンダーフロアは限りなくフラットに形成され、リアアクスル前方からディフューザー形状を採用。効率的にダウンフォースを得ることに成功しています。

サスペンションも当然の如く前後ダブルウィッシュボーン式が採用され、A110が決して見かけ倒しではないリアル・スポーツに仕上がっていることが伺えます。

 

感性に訴えるクルマの”味付け”へのこだわり

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また、A110にはドライバーの気分やモチベーションに合わせ「ノーマル・スポーツ・トラック」という3つの走行モードが用意されています。

ボタンを押すだけでシフトタイミングやステアリングフィール、ESCのトータルバランス、メーター表示などが一度に連動し、クルマのフィーリングを変化させることが出来る仕組みになっています。

車体の物理的な軽さを生かしたフィーリングをドライバーがより味わえるように、ソフトの部分にも工夫が凝らされているのです。

 

まとめ

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新生A110のデビューを飾る「プレミア・エディション」は、1,955台が生産されることが既にアナウンスされています。

2017年中にはヨーロッパで順次販売が開始され、価格は本国フランスで58,500ユーロ(日本円で約704万円)とのこと。

日本での予約も間もなくスタートする様ですので、購入を考えている方はしばらくA110の続報から目が離せない日々が続きそうですね。

 

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