日本のツーリングカーレース史上に不滅の50連勝という金字塔を打ち立てたとされるスカイラインGT-Rの伝説はあまりにも有名です。しかし、実は50連勝ではなく49連勝だった事をご存知でしょうか?それは、GT-Rがどうしても勝つことが出来なかった、マツダのロータリーエンジン搭載車、サバンナRX-3が登場し、連勝をストップさせられたからなのです。この、GT-Rでさえ手の付けられない速さを持つRX-3の活躍をご紹介しましょう。

 

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%8A

 

RE第5弾サバンナの誕生

 

Photo by Alex V

 

コスモ、ファミリア、ルーチェ、カペラに次ぐマツダ第5弾のロータリーエンジン搭載車として、1971年9月より発売されたサバンナ。

ボディタイプはセダンとクーペのが用意されたロータリーエンジン専用車であったり、輸出名をマツダRX-3とされ、これがサバンナRX-3として後のレース界に激震をもたらすことになります。

 

モータースポーツへの参戦

 

Photo by Royal Broil

 

デビューそしてGT-Rの連勝を阻止!

 

デビューと同時にレース活動を開始。

初期型は982㏄という排気量の10Aエンジンながらも、レシプロエンジンを圧倒するパワーのため、特別ルールによりスカイラインGT-Rと同じクラスに参戦することになります。

そして、わずか900㎏弱という軽量ボディを活かして常勝GT-R軍団に勝負を挑みました。

1971年10月、富士グランチャンピオンシリーズ(富士GC)第5戦のツーリングチャンピオンレースBにマツダワークスから3台が参戦。

マツダのエース寺田陽次郎によってデビュー戦を4位入賞で飾り、その後のロータリー旋風の予感を誰もが感じることになります。

そして、運命の同年12月12日。

富士ツーリストトロフィ500マイル(富士TT)に参戦。

マツダワークス サテライトチームから出場した増田/加茂組が総合優勝を果たし、ついにGT-Rの50連勝を阻止することに成功したのです。

しかし、なぜかこのレースはカウントされず、翌年に50勝目をあげたことで、後に50連勝という記録になっています。

 

12Aエンジン登場 GT-Rとの名勝負が始まる

 

Photo by Sicnag

 

1972年、輸出仕様のRX3のTS認定が完了(TSの規定生産台数をクリアしJAFの認定取得)して以降サバンナは、12Aエンジン搭載車のRX3でのTSレース参戦が可能となります。

これが俗にいうサバンナRX-3であり、市販車にはこの名称は存在しません。

この年の日本グランプリのサポートレース、TS-bレースにRX3として出場し、マツダワークスの片山はポールtoフィニッシュで優勝!

しかも1~3位まで表彰台を独占し、日産GT‐Rを撃破する結果となったのです。

そして、ワークスチームのフルメンバーで挑んだ日本グランプリで表彰台にもあがれなかったGT-Rの姿を目撃したレースファン達は、本当にGT-Rの時代が終わったことを痛感する事になりました。

この年はその後もRX-3とGT-Rの激闘は続き、名勝負が繰り返されますが、常にRX-3が勝利する展開となったのです。

 

さらなる高みへ

 

出典:Photo by Sicnag

 

1973年にTS規定が変更となり、最低50台の生産でシリンダーヘッド交換(OHCをDOHCへの変更)が認可されます。

REはペリフェラルポートの使用が認可され、スポーツキットにペリフェラルポートを追加したモデルを市販、さらにパワーアップされることになりました。

そして、同年11月4日に行われた富士TT500マイルには、ヨーロッパツーリングカー選手権のチャンピオンのワークスフォードカプリRSが出場!

マツダオート東京からエントリーされたRX-3は国産車で最上位ながらも2位に終わり、総合優勝は、Jマス/DグレムザのワークスカプリRSという結果でした。

 

50勝がなんだ!サバンナRX-3は100勝だ!

 

1974年になると、性能の向上が見込めなくなったライバルであるGT-Rのワークス参戦もなくなり、連勝に次ぐ連勝を重ねます。

その後のRX-3は国内のツーリングカーレースにおいて無敵を誇りました。

そして、1972年5月に開催された「日本GP」で当時絶勝であったGT-Rを破り、1位から3位を独占した後、1976年には単一車種で国内レース通算100勝を挙げ たのです。

 

人気沸騰!しかし燃費が足を引っ張ることに

 

市販車においてのサバンナはスカイラインGT-Rの連勝記録を止めた際、高額なGT-Rに比べ、誰でも手が届く価格のコストパフォーマンスに優れたスポーティーカーとして人気が沸騰します。

その一方で、オイルショックの影響を受けてガソリン代が高騰、燃費の悪さが表面化することになりました。

その後、1975年10月にマイナーチェンジを受けて排出ガス規制に適合しますが、乗用車タイプのロータリーエンジン搭載車はすべて生産が終了し、よりスポーツカーに徹したサバンナRX-7が登場することで1978年に製造を終える事になったのです。

 

まとめ

Photo by Shinnosuke Miyano

筆者はマツダ系のディーラーに勤務していた経験があり、RX-3(市販バージョンはサバンナGTだったと記憶しています)の速さを実際に体験しています。

高速機動隊の覆面パトカーが整備に訪れた際、警察官と話したことがありますが、その速さに大満足していたことも印象的でした。

燃費の悪さ以外にもブレーキが甘いとかオイルの減りが早い、そしてコーナリングが苦手などという欠点はありましたが、その多くはスピードの出しすぎが原因でした。

このように、ハチャメチャで直線番長のような速さを誇る市販車は、もう二度と出る事は無いと思います。

 

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