今年も19台で熾烈な争いが繰り広げられている全日本スーパーフォーミュラ選手権。コーナリングスピードはF1よりも速く、F1経験者やル・マン勝者も参戦し、レベルが高いと言われている。多くのファンの間では「レース中のオーバーテイクがなくつまらない」という見方もあり、その固定概念から注目していないファンも多いだろう。しかし、注目ポイントをしっかり見極めればスーパーフォーミュラの観戦は今までの2倍以上楽しいんです。

Photo by Tomohiro Yoshita

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優勝争いは公式予選から始まっている

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現在のSFでは全車が同じマシン「ダラーラSF14」を使用。エンジンはトヨタ、ホンダで2社あるものの、性能の差はほとんどない状態。よってドライバーの腕が勝敗を大きく左右する鍵になる。

その点でいくと、今年はドライバー間の差がほとんどないことが大きな特徴。実際に昨シーズンは4月の開幕戦でも半分以上のマシンが予選タイムで1秒以内にひしめくことがある。

過去にはトップ2台が0.001秒まで同タイムだったこともあるほどだ。

これだけタイム差が少ないと、当然レースペースも互角になるため、オーバーテイクの機会も少なくなりがち。予選結果がほぼそのまま決勝結果になってしまうというレースも年に何度かはある。

また使用しているマシンとタイヤが同じこと、さらにドライバー間のレベルの差が少ないため、コース上での順位の入れ替わりが少ないのが特徴だ。

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やはりファンの皆さんとしては、迫力あるオーバーテイクシーンを期待するあまり、順位変動が少ないスーパーフォーミュラを「つまらない」と決めつけてしまいがち。しかし、その“こう着状態”こそが、一番目が離せない瞬間なのだ。

レベルが拮抗しているがゆえに、些細なミスが大きな差になる。例えばラインを数cm外す程度だけでも、隙を突かれオーバーテイクにつながってしまう。

その瞬間は、レース中に一度あるかないか。わずかなチャンスをつかむべく、平均して10~20周は緊迫した接近戦を繰り広げることは当たり前だ。普通に外から観ているだけでは伝わらない部分ではあるが、実際にはミスが許されない精度の高い走りが求められている部分にも注目していただきたい。

レース中に5回使える「オーバーテイクシステム」

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現在のスーパーフォーミュラには、オーバーテイク機会をアシストするため「オーバーテイクシステム」というものが導入されている。これを使うと、1度につき約20秒間、エンジンパワーがアップする(厳密には燃料流量が一定量多くなり、パワーアップすることができるのだ)。

2015年から流量設定が見直され、実際にラップタイムで比較してみると使用時は0.3秒程度速くなる。決勝レース中には1人あたり5回使用でき、勝負どころで使うとかなりの効果を得られるのだ。

このシステムは、バトル中に追う側だけでなく、逃げている側も使用可能。

最近ではライバルのオーバーテイクを防ぐ為(逃げるため)に使用するケースや、順位変動のチャンスが多いスタート時には大半のドライバーがボタンを押している。

さらにはピットストップで順位を争っている際に、少しでもタイムを稼ぐために単独走行時でも使用するなど、その用途は様々。

使用時はコックピット上部のLEDランプが点滅するため、観戦しているファンからも一目でわかるようになっている。

メカニックも勝敗を大きく左右する鍵!レース中のピットストップ

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そして、特にレベルが拮抗してきている今シーズンは、ピットストップでのメカニックの動きも勝敗を大きく左右するポイントとなっている。

スーパーフォーミュラでは、特にピットストップ義務はないが、燃料タンクの容量が足りないため1回はピット作業が必要なのだ。

コース上で差がつかない分、このピットストップでの作業時間で順位が入れ替わる可能性は十分にある。

さらに作業人数が4人までと制限されているのも特徴のひとつ。人数無制限のF1では作業項目が1人ひとつだけなのに対し、スーパーフォーミュラでは1人でジャッキアップ、タイヤ交換、ロリポップ(ドライバーにGOサインを出す人)も兼務しなければならない。

その中で0.1秒のタイムロスも許されないので、各メカニックの腕が光る場所にもなってくるのだ。

実際に今年の開幕戦でも、このピットストップが勝敗を分けたケースがあり、第2戦以降も目が離せない場面になるだろう。

まとめ

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今年はマクラーレン・ホンダでF1デビューを果たしたストフェル・バンドーンが参戦。そのため、日本のみならずヨーロッパをはじめ世界中からも注目を集めている。

ただ、SUPER GTとは異なり目に見えたバトルが少ない分、興味を持つまで時間がかかるかもしれないが、いざ真剣に観てみると国内のどのカテゴリーよりも面白いレースなのだ。