今年も5月26~29日までニュルブルクリンク24時間レースが開催された。44回目を迎えた今回のレースは、雹(ひょう)が降って赤旗中断になったり、最終ラップでトップが入れ替わったりと、超劇的な展開が連続したレースになった。内容盛りだくさんだった今回のレースを振り返っていく。

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いきなり雨からスタート!予選は新型GT3マシンがしのぎを削る

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現地時間の26日から走行セッションが始まったニュル24時間。予選1回目が始まるといきなり雨が降り始めるなど波乱の幕開けとなった。そんな中、最高峰SP9クラスは新型FIA-GT3マシンがしのぎを削るバトルを展開した。

以前はプライベーター主体の「草レース」という位置付けだったが、ここ数年はGT3マシンが世界的に主流に。この影響でメーカーのワークス格のチームも参戦するなど、年々レベルも上がっている。

現地時間27日午前に行われた予選2回目ではメルセデスAMG GT3勢が速さをみせ、総合結果でトップ4を独占。

このまま決勝に向けて主導権を握るかと思われたが、最終のトップ30予選でBMWの新型マシン「M6 GT3」も肉薄した。

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#18シューベルトモータースポーツが2番手に食い込み、メルセデス勢の上位独占を阻止。ポールポジションは#9ブラックファルコンのAMG GT3が獲得した。

日本勢では#35日産GTアカデミーチームRJNが総合24番手。2年連続のクラス優勝を目指す#106スバルWRX STIはSP3Tクラス2位(総合56位)につけた。

10年目の挑戦を迎えたTOYOTA GAZOO RACINGは3台がエントリー。#36レクサスRC Fは総合38番手。#188レクサスRCはSP3Tクラス4位で総合81番手につけた。まだ発売前の車両で臨んだ#326レクサス『C-HR Racing』はSP2Tクラス5位総合148番手となった。

スタート直後から土砂降り!雹!1時間足らずで赤旗中断

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現地時間の28日15時30分。注目の決勝レースがスタート。序盤から総合トップ争いは#9メルセデスAMG GT3と#18BMW M6 GT3の白熱したバトル。その他にもコース各所で白熱したバトルとニュルならではの混走が展開された。

ところが、開始40分を過ぎたあたりからノルドシェライフェを中心に大雨になり、コースオフするマシンが続出。さらに雨が雹に変わりコース上が真っ白になるほど。開始49分を経過したところで赤旗中断となった。

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結局3時間にわたってレースは中断。現地時間の19時20分に再開されるが、コースはまだフルウエットの状態。それでも過酷なニュルを走り抜くべく、各車とも力強く周回していった。

あのオペル・マンタが5年ぶりにリタイア!

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毎年ニュル24時間では隠れて人気を集めているオペル・マンタ。近代化が進む昨今の参戦車両の中で、粘り強く参戦を続けている名車の1台。しかし経験豊富で実力もあり、昨年はSP3クラスで見事優勝を果たした。

今年も連覇を目指したが、レース開始早々に、SP9クラスのハリボーレーシング(メルセデスAMG GT3)に追突されかけるシーンも。

幸いマシンに大きなダメージはなかったようだが、今度は別のトラブルで3周を終えたところでピットイン。ミッションを外すなど大掛かりな修復作業が行われたが、残念ながら今年はリタイアという結果に終わった。

マンタがリタイアするのは、2010年以来のこと。ファンとしてはマンタのいないチェッカーシーンを寂しく思う声も多数上がっていたが、これで諦めることなく来年も元気な姿をニュルで見せてほしい。

https://youtu.be/qnlZ5ixPOBE

[序盤のハリボーレーシングとの接触シーン]

BMW勢にトラブル続出。レース後半はメルセデス勢が上位独占

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今年は優勝争いの一角として新型M6 GT3を投入していたBMW勢。順調に周回を重ねるメルセデス勢とは対照的に不運なアクシデントやトラブルに巻き込まれてしまう。

レース序盤から優勝争いを展開していた#18シューベルトモータースポーツ(BMW M6)は本格的なナイトセッションに突入する前にマシンから白煙を上げストップ。

さらに粘り強くメルセデス勢と戦っていた#100シューベルト・モータースポーツ(BMW M6)も、残り6時間になろうかというところでクラッシュ。

ちょうど他クラスのBMWがバトル中にコントロールを崩しコースオフ。その進行方向に運悪くシューベルトのマシンがいたのだ。ドライバーに怪我はなかったが、マシンは大破しリタイアを余儀なくされた。

これでトップ4はメルセデスAMG GT3が独占することになった。

優勝候補の一角#88ハリボーもペナルティを受け後退

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夜が明けてからは#88ハリボーレーシング(メルセデス AMG GT3)。毎年かわいいキャラクターが描かれたマシンで登場し、こちらもオペル・マンタ同様にコアなファンが多い。

今年は新型AMG GT3を得て予選でも3・4番手につける活躍。決勝でもレース後半には#88がトップを快走していた。しかしイエロー区間で違反があったとしてストップ&ゴーペナルティを受けてしまい大きくタイムロス。トップから約1分50秒遅れの3位へ後退してしまった。

これで総合優勝争いは#29HTP-モータースポーツと#4ブラックファルコンのAMG GT3同士の一騎討ちに。近年では例がないほどの壮絶なトップ争いが最後の最後で繰り広げられることになった。

ファイナルラップで決着!24時間後に繰り広げられたスプリントバトル!

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残り30分を切っての首位は#29HTP-モータースポーツ。このまま総合優勝に向かっていくのかと思われたが、残り10分になって燃料が足りなくなり最終ピットインを行う。必要な分だけを給油しすぐコースへ復帰。その時には2位の#4ブラックファルコンが背後に迫っていた。

例年ならこの時点で勝敗が決まっており、最後はクールダウンしてチェッカーを受けることが多いが、今年はわずか1秒前後の差での戦い。もちろん2台ともアクセル全開で各コーナーを駆け抜け、もうゴールモードに入っている他のクラスのマシンをかき分けていった。

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そして残り30秒でコントロールラインを通過しファイナルラップへ。ここで#4が勝負をしかけグランプリコース内でインに飛び込んでいく。#29をトップを譲るまいと応戦するが、ラインの主導権は#4にあり、トップが交替。ノルドシェライフェでも全開バトルが行われたが#4の方が勢いに乗っており、そのまま逃げ切ってトップチェッカー。最終的に5.6秒差という僅差で決着。

3位には#88ハリボーレーシング、4位には#9ブラックファルコンが入り、終わってみればトップ4がメルセデス勢。陣営としても2013年以来の総合優勝に喜びを爆発させていた。

日本勢も活躍!スバルは見事クラス2連覇!

波乱続きのレースの中、日本勢も粘り強く戦い続けた。

SP9クラスの#35ニッサンGTアカデミーRJNは総合11位。#106スバルSTIは序盤の大雨でコースオフするシーンがあったものの、その後はほぼノートラブル・ノーアクシデンドで見事SP3Tクラスで2連覇を獲得。総合でも20位に入る大活躍だった。

TOYOTA GAZOO RACINGは#36レクサスRC Fは総合24位。新型マシンである#326トヨタC-HR Racingはレース後半にガス欠で止まってしまうハプニングがあったものの、見事最後まで走りきり総合84位(SP3Tクラス3位)。

#188レクサスRCは、ナイトセッションに入ってトラブルが発生。エンジンやミッションを降ろしてマシンを直し、完走を目指したが、その後もトラブルが再発。残り10分でリタイアを決断した。

まとめ

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ここ数年はマシン、チーム、ドライバーの大幅なレベルアップもあり、耐久レースでもスプリント化の傾向が見られる。そんな中、伝統のニュル24時間も、最終ラップまで白熱した戦いになるほどのレベルアップが感じられた。