近年、レーシングカーに近いエクステリアデザインを持ち、ハイブリッドやモーター技術を組み合わせた、極端に少量しか生産されないハイパーカーが盛り上がっています。今回紹介するアストンマーティンの「ヴァルハラ」もその1台で、同社が持つ先端技術の全てが注ぎ込まれた特別なクルマに仕上がっています。
セカンド・センチュリー・プロジェクトの大本命
アストンマーティンは2015年のジュネーブモーターショーで、「セカンド センチュリープラン」なる中期経営計画を発表しました。
セカンドセンチュリープランは、100年先までの成功への道を示し、アストンマーティンが真のラグジュアリーブランドとして成長していく為に、CEOであるアンディ・パーマー氏が掲げた中期計画です。
これに則り、アストンマーティンは続々と新型車を投入しており、V12エンジンをミッドに搭載した究極のロードゴーイングカー、ヴァルキリーを発表したかと思えば、2019年3月のジュネーブモーターショーで、ヴァンキッシュ・ビジョン・コンセプトを発表するなど、その開発スピードの速さは驚異的といえます。
そんなアストンマーティンの本気度が垣間見えるこのプロジェクトの大本命が、この「ヴァルハラ」と呼ばれる、北欧神話に由来する名前を持った1台なのです。
超アグレッシブなエクステリアデザイン
ヴァルハラのエイやサメの様な海洋生物を想起させる有機的なボディラインには、最先端の軽量化技術と空力向上の為のエアロダイナミクステクノロジーが投入されています。
また、この他にもFlex Foilと呼ばれる、ウイングの角度を変更せずに全体をしならせるように変形させることでダウンフォースを変化させる、最先端のエアロ技術を搭載。
こうした技術関連は、提携関係にあるレッドブル・アドバンスドテクノロジーズとの共同開発によるものとなっています。
さらに、跳ね上げ式のドアはルーフも一緒になって開くLMP1と同構造のものを採用。
サイドからリアに向かって大胆な抉れが施されたカーボンファイバー製のボディは、次世代航空機のモーフィングテクノロジーと呼ばれる技術を用いており、ヴァルハラはこれが応用された世界初の自動車です。
ちなみに、リア周りは巨大なディフューザーがほとんどのスペースを占めており、ロードゴーイングカーとしては桁外れのダウンフォースを発揮すると言われています。
公道走行の為の快適性も確保されたインテリア
インテリアは、ハイパーカーとはいえ公道走行を前提にしているため、ヴァルキリーよりも余裕のあるスペースが確保されています。
そしてコクピットは大胆且つ斬新なデザインとマテリアルが採用されており、アストンマーティンが「スペースクラフト」と呼ぶ、宇宙時代における先端テクノロジーと伝統工芸の融合を目指したコンセプトとなりました。
さらに、「アペックス・エルゴノミクス」と呼ばれる、シート、ステアリング、ペダル類の中心が完全に整列するレイアウトが採用されており、優れたドライバビリティも確保。
小さいながらもラゲッジスペースも存在し、シート後方のフロアからアクセスすることが可能です。
1000psのハイブリッドパワーユニット
超軽量のボディに搭載されるパワーユニットは、ジュネーブモーターショーでAM-RB 003の発表時にアナウンスされたものと同じく、V6ツインターボのハイブリッドとなります。
詳細についてはまだ発表されていませんが、目標最高出力は1000psで8速DCTが組み合わされるとの事。
オイルシステムには、Nexcelシーリング・オイル・システムと呼ばれるカートリッジ式で90秒以内に交換可能かつ、交換されたオイルは精製して再利用する事も可能な最先端のシステムを採用。
ヴァルハラは、このNexcelシーリング・オイル・システムを搭載した世界初の市販車となります。
まとめ
刺激的な最先端テクノロジーを惜しげも無く盛り込んだアストンマーティン・ヴァルハラは、世界限定500台。
2021年後半から、デリバリーを開始予定です。
価格は公表されていませんが、およそ1億5000万円程を想定。
また、2020年公開予定の「007」シリーズへの登場も決定しており、走る姿を見るのが楽しみな1台です。
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