マセラティ・ギブリってどんなクルマなの?という質問に対し、一言で説明するのは困難です。なぜなら、「マセラティの高級車」であることには変わらないのですが、ある時は2ドアクーペ、ある時はノッチバック、またある時は4ドアセダンと、時代に合わせてパッケージングを変えてきたクルマだからです。

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出典:https://bringatrailer.com/listing/1970-maserati-ghibli-2/

“初代”ギブリはスーパーカー

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出典:https://www.wsupercars.com/maserati-1970-ghibli-ss.php

初代モデルは、前年に生産を終了した「5000GT」と呼ばれる2ドアGTモデルの実質的な後継車として1966年に発表。

1973年に生産を終えるまでに、累計1274台が生産されました。

FRの2シーター・2ドアというパッケージングで、エンジンは330馬力の4.7リッターV8を搭載。

最高速度は、265km/hというモンスターマシンです。

日本国内に本格的なスーパーカーブームが訪れる以前の話ですが、当時の最高速度や人気の高さを争っていたのが、ライバル車にあたるフェラーリ デイトナやランボルギーニ ミウラP400といった名車たちでした。

典型的なジウジアーロ・デザイン

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出典:https://www.mecum.com/lots/CA0815-225246/1971-maserati-ghibli-ss/

スタイリングは当時カロッツェリア・ギアに在籍していたジョルジェット・ジウジアーロが担当しており、低い車高にウェッジシェイプといったジウジアーロデザインの特徴が際立ったギブリは、氏の代表作でもあります。

典型的なロングノーズ・ショートデッキのプロポーションにリトラクタブルライト(当時のマセラティとしては初採用)を組み合わせた姿はどこから見ても美しく、正にスーパーカーといった出で立ちです。

“2代目”ギブリはツアラーカー

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出典:https://www.maserati.com/international/en/brand/our-story/maserati-classic-cars/biturbo-and-derivates/ghibli

1992年、初代モデルの生産終了からおよそ20年後に「ギブリ」の名前が復活します。

名前は同じでも先代モデルとはパッケージングが異なっており、2ドアの4シーターノッチバックというスタイルをとっていました。

1981年にマセラティが初めて量産車として製造していたビトゥルボと呼ばれるモデルがベースとなっており、その実質的な後継車となっているのが2代目ギブリです。

先代よりも快適性と扱いやすさを重視

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出典:https://en.wheelsage.org/maserati/ghibli/ii/pictures/k6zabw/

ビトゥルボと同じくV6ツインターボエンジンを搭載しており、ミッションは6速MTに加え4速MTも追加されました。

先代のようなスーパースポーツと違って快適性も考慮された設計となっており、インテリア等はコノリーレザーやウッドトリムを採用するなど、ラグジュアリーである事を押しだしたデザインとなっています。

“3代目”ギブリは4ドアセダン

出典:https://www.carmagazine.co.uk/car-reviews/maserati/maserati-ghibli-diesel-2013-review/

2代目の生産が終了した1997年から15年後、またも長い時間を経てギブリの名称が復活することとなります。

車格としてはいわゆるEセグメントに値する高級スポーツセダンとして生まれ変わり、当時のマセラティが掲げていた「2015年までに年間5万台を生産する」という計画の屋台骨を支えるモデルでした。

唯一無二のイタリアン・セダン

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出典:https://www.maserati.com/international/en

ライバルにあたるメルセデス EクラスやBMW 5シリーズ、アウディA6等が質実剛健なデザインであるのに対し、ギブリはマセラティならではの濃い味付けがなされたエクステリアデザインが特徴的です。

大きく口を開けたフロントグリルやつり上がったヘッドライトは迫力に溢れ、トライデントロゴやフロントフェンダー後方のダクト等、ディテールにもマセラティらしい表現が随所に現れています。

まとめ

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出典:https://fineartamerica.com/featured/2-1967-maserati-ghibli-emblem-jill-reger.html

同じ車名を使いつつ、ここまでパッケージング・デザインを大きく変えたモデルは珍しいかと思います。

興味深いのは、どのモデルチェンジにおいても15年以上の間隔をあけてから「復活」させたという点です。

長い時間を経てからだと、「後継」と言うよりも、伝統的な名称の「復活」という印象が強くなり、ファン心理としては往年の名車の復活として期待が強くなります。

ギブリという名前が現代まで残り続けているのは、伝統を重んじるイタリアという国だからこそなのかもしれません。

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