2018年末にポルシェ911がフルモデルチェンジを果たしました。社内コード『992』と呼ばれる新型は歴代911がそうであったように伝統のスタイルを継承しており、一見先代の991型とさほど変わらないようにも見えます。しかし、シャシーからエンジン、トランスミッションまですべてが一新され、確実に進化を遂げています!
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旧モデルを尊重したタイムレス・マシン!ポルシェ新型911タイプ992が登場
2018年11月26日から12月9日まで開催されたロサンゼルスモーターショーでは、フルモデルチェンジされた『マツダ3(日本販売名:アクセラ)』やマイナーチェンジされたトヨタ プリウスなど注目モデルが多数公開されましたが、その中で最も話題が集中したのは新型ポルシェ911のワールドプレミアムでした。
新型911は社内コードで『992』と呼ばれており、初代901型から数えれば第8世代に相当するモデルです。
911の原型ともなった偉大なるオリジン『ポルシェ356』の生誕から、70周年を迎えました。
それでもリアエンジンの車体レイアウトなど、356から基本スタイルは変わっておらず、これほどオリジナリティに溢れ、基本設計を長年変わらないのは工業製品として見ても非常に稀です。
そんな992は『タイムレス・マシン』をテーマに設計され、一直線上にデザインされたテールランプは993を彷彿させます。
また、フロント20インチ/リア21インチと大径化されたホイールや盛り上がったフェンダーまわり、新型になるにつれて角度が低くなるフロントウィンドウは現代的なスタイルというよりもクラシカルなディテールとイマドキのディテールが上手く調和した、ポルシェ911ならではのもの。
911独自のスタイルを保ちつつ、エアロダイナミクスを積極的に改善し、Cd値0.29を実現してライバルのスーパーカーと同等の値を叩き出しました。
さらに、911の伝統的なスタイルは、外装デザインだけではなく内装にも多く見受けられます。
水平基調のインパネや液晶モニターとアナログ式のタコメーターを組み合わせた5連式メーターは、911伝統のスタイルを上手く表現。
偉大な先祖を現代に蘇らせ、旧ポルシェ911ユーザーから新しいもの好きの若者まで、誰もが一目見るだけでカッコいいと思えてしまう992は、非常に興味深いクルマです。
ポルシェ911とは
ポルシェ911は1963年に登場し、ポルシェが開発・生産している2ドアスポーツカーです。
登場したときの開発コードは『901』でしたが、プジョーが既に商標登録をしていたので『911』と改められ、その後もモデル名911は使用され続けてます。
そして新モデルが登場するたびに、その時の開発コードがモデル名の代わりに呼ばれ、901型→930型→964型→993型→996型→997型→991型、そして今回紹介する992型へと繋がっているのです。
ポルシェ新型911の変更点
992のボディは先代に比べ、全長でプラス20mm、全幅ではプラス44mmとワイドボディ化されましたが、ホイールベースは不変の2,450mm。
シャシーには新世代のMMBプラットフォームでアルミシートの使用率を7%増加し、アルミダイキャストは4%増加。
スチール使用率を33%減少するだけでなく、サイドパネルをアルミ製に変更し、これだけでも12kgの軽量化を実現。
ホワイトボディは991型より、約5%軽量化された250kgとなりました。
また、エンジンはブラケットを使用せずに搭載されたことで、エンジンマウント位置が991よりも168mm前方へ移動しています。
そんなエンジンは、991からのキャリーオーバーですが、タービンを3mm拡大した48mm、コンプレッサー側を4mm拡大の55mmにしてエキゾーストマニフォールドを鋳造化。
これによりロスの少ない排気ガスの流れとなり、理想的なタービンフローを実現し、結果として991より30PS/30N・mのアップを果たしています。
また、エンジンに組み合わせたトランスミッションには、911初の8速PDKを採用。
6速から8速までがオーバードライブとなり、最高速度へは6速で到達できる仕様となっています。
さらに、対応トルクは800N・m、デフロックトルクで1000N・mになるため、ハイパワーチューニングにも対応!
クラッチを油圧式から電子式に変更し、伝達対応トルクを10%アップするだけでなく、軽量化のためにプロペラシャフトはカーボン製となりました。
雨天走行時にも最適なスタビリティを実現させるウェット・モードが標準装備
992で特筆すべき新機能は、標準装備となったウェット・モードです。
ホイールハウス内にセンサーが設置されており、スプラッシュノイズで路面が濡れていることを検知すると、メーターパネル内に警告メッセージを表示。
ドライバーにウェットモードへの切り替えを促します。
そしてドライバーがウェットモードを選択するとPSM、PTM、エアロダイナミクス、PTV(オプション)など、ウェット走行に最適なセッティングへと自動で切り替わり、車両の安定性の改善とスタビリティコントロールが介入し、滑りやすいウェット路面でもスピンを未然に防いでくれるのです。
ポルシェ新型911のスペック
カレラS/カレラ4S | カレラS/カレラ4S カブリオレ | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,519×1,852×1,300 | 4,519×1,852×1,300 | |
ホイールベース(mm) | 2,450 | 2,450 | |
車両重量(kg) | カレラS:1,515 カレラ4S:1,565 |
カレラSカブリオレ:1,585 カレラ4Sカブリオレ:1,635 |
|
エンジン種類 | 水平対向6気筒DOHCツインターボ | 水平対向6気筒DOHCツインターボ | |
排気量(cc) | 2,981 | 2,981 | |
ボア×ストローク(mm) | 91.0×76.4 | 91.0×76.4 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 331[450]/6,500 | 331[450]/6,500 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 530[54.0]/2,300~5,000 | 530[54.0]/2,300~5,000 | |
トランスミッション | 8速PDK | 8速PDK | |
駆動方式 | RR | RR | |
タイヤサイズ | 前 | 245/35ZR20 | 245/35ZR20 |
後 | 305/30ZR21 | 305/30ZR21 | |
燃費消費率(リッター/km) | 市街地走行 | カレラS:10.7/100 カレラ4S:11.1/100 |
カレラSカブリオレ:11.6/100 カレラ4Sカブリオレ:11.1/100 |
高速道路 | カレラS:7.9/100 カレラ4S:7.8/100 |
カレラSカブリオレ:7.6/100 カレラ4Sカブリオレ:7.8/100 |
|
総合 | カレラS:8.9/100 カレラ4S:9.0/100 |
カレラSカブリオレ:9.1/100 カレラ4Sカブリオレ:9.0/100 |
運動性能
カレラS | カレラ4S | カレラSカブリオレ | カレラ4Sカブリオレ | |
---|---|---|---|---|
0-100km/h加速 | 3.7秒 | 3.6秒 | 3.9秒 | 3.8秒 |
0-100km/h加速(スポーツクロノパッケージ装着時) | 3.5秒 | 3.4秒 | 3.7秒 | 3.6秒 |
最高速度 | 308km/h | 306km/h | 306km/h | 304km/h |
車両価格
カレラS | カレラ4S | カレラSカブリオレ | カレラ4Sカブリオレ | |
---|---|---|---|---|
車両価格 | 16,660,000円 | 19,910,000円 | 17,720,000円 | 19,970,000円 |
まとめ
2020/2021 Porsche 911 (992) GT3 RS spied testing – Pictures/spyphotos https://t.co/F51ANyzrFl pic.twitter.com/ElcEUhLpfh
— GermanBoost (@GermanBoost) 2019年2月27日
毎回、必ず前モデルよりも性能をブラッシュアップしつづける911は、まさに”最新が常に最高”のモデルであると言えます。
また、992では8速PDKのみの発表でしたが、2019年秋ごろには3ペダルの7速MTも発売する予定!
他メーカーのスーパーカーでは、2ペダル化が主流となり、3ペダル式MTの存在意義も問われ始めた昨今において、ポルシェは3ペダル式MTファンを重視し続けてくれています。
これこそポルシェファンが離れない理由のひとつ!
今回、カレラS、カレラ4S、カレラSカブリオレ、カレラ4Sカブリオレの4モデルが発表されましたが、今後もさらにラインナップを増やしていく予定です。
911カレラSより3.8リッターまで排気量をアップさせたポルシェ911ターボや、カブリオレよりも手軽にオープンドライブが楽しめる911タルガ。
さらにハイパフォーマンスの911GT3/GT3RS/GT2RSなど、続々と新モデルが登場する見込み!
これからも992から、目が離せません。
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