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354km/hを目指したスーパーカー!究極のジャガー『XJ220』

1970年代のスーパーカーブームからおよそ10年後の1980年代末、日本のバブル経済と時を同じくして、欧米では数々の過激なスーパーカーが登場しました。今回紹介するジャガーXJ220も第二次スーパーカー黄金期とも呼べる、その時代ならではの1台です。イタリアンスーパーカーとはひと味もふた味も違う、イギリスメーカーならではの独特の世界観を帯びた1台でした。

XJ220

出典:https://sg.news.yahoo.com/not-one-two-jaguar-xj220-090000713.html

就業時間後の自主プロジェクトとしてスタート

XJ220

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%BBXJ220#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:JagXJ220.JPG

事の発端は当時、ジャガーのエンジニアだったジム・ランドル氏が思い描く「理想のクルマ」からスタートしたと言われています。

正規のプロジェクトとして始まった訳ではなく、社内の有志を集めて就業時間後に開発が始まったのが、1987年頃の出来事でした。

多方面から好評価を受けたプロトタイプ

xj220

出典:https://www.supercars.net/blog/1988-jaguar-xj220-prototype/

1988年にバーミンガムモーターショーでプロトタイプがお披露目されると、たちまち好評価を受け、市販化が決まっていないにも関わらず、1500台にも及ぶ注文が殺到します。

流線が美しいシェイプ型のボディデザインは、過去のレーシングプロトタイプであるXJ13がモチーフでした。

ラグジュアリーを犠牲にしないジャガーらしさ

xj220

出典:https://www.pinterest.jp/pin/216595063303188670/?lp=true

内装はコノリーレザーをあしらった高級トリムやウィルトン製の高級カーペット等、ジャガーらしさに溢れる豪華な仕様となっています。

スペック自体はレーシングカー並ですが、あくまでロードゴーイングカーとしての快適性を損なわないというスタンスは、同時期にデビューしたF40とは対照的でした。

XJ220=220マイル

xj220

出典:https://myautoworld.com/brand/jaguar/jaguar-gallery/jaguar-xj220-is-powered-by-a-twin-turbo-v6

車名の220は、最高速度が220マイル(約354km/h)であることを示しています。

プロトタイプで搭載されたエンジンは、6リッターV12DOHCをミドシップに搭載した4WDとなる予定でしたが、このままのスペックでいくと車重が1700kgを超えてしまうことが判明。

220マイルでの快適走行という数値の達成が危ぶまれたこともあり、大幅な軌道修正が行われます。

そして最終的に生産型で搭載されたのは、グループCを走行していたXJR-10に用いられていた3.5リッターV6DOHCツインターボエンジンとなりました。

そのため、最高速度は当初の目標値には届かず、216マイル(347km/h)という数値に終わりましたが、当時としてはそれでも世界最速です。

迫力ある巨大なボディサイズ

xj220

出典:https://www.pistonheads.com/gassing/topic.asp?h=0&f=23&t=1619168&i=120

XJ220が他のスーパーカーとは異なる点が、もうひとつあります。

それは4930×2220×1150mmという、かなり大柄なボディサイズです。

1993年から1995年までの間、ル・マン24時間レースにも参戦しましたが、レーシングカーとしては大きすぎるボディサイズが不利となり、戦績は振るいませんでした。

経済情勢に翻弄された販売台数

xj220

出典:https://www.pinterest.jp/pin/349169777330233981/?lp=true

1991年の東京モーターショーで、待望の市販モデルが発表されます。

車名にちなんで当初は限定200台を生産予定でしたが、当時は世界的な好景気。

急遽、350台にまで生産台数が引き上げられました。

ところがエンジンの変更に伴う遅れが大幅に生じてしまい、実際のデリバリーは1992年までずれ込むことになってしまいます。

そのため日本のバブル崩壊しかり、一気に世界経済が冷え込んでしまい、最終的な販売台数は281台ほどだったと言われており、まさに時代に翻弄された1台と言えるでしょう。

まとめ

xj220

出典:https://procarsclub.com/jaguar-xj220.html

イルカやクジラ等の海洋生物を連想させる大柄なボディに、流線型のシルエットは非常に優雅で美しく、イタリアやドイツのスーパーカーとはまた違った世界観を醸し出しています。

セールス面でこそ成功とは言えませんでしたが、80年代後期〜90年代初期という激動の時代だったからこそ存在し得た稀有な1台であることには、間違いありません。

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著者:石井 義平

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