マツダが開発しているEV専用車には、レンジエクステンダーとして小型のシングルロータリーエンジン(以下RE)が搭載され、話題になっています。REは小型で静かで高出力なため、スポーツカーに最適なエンジンで、近年ではRXシリーズを中心に搭載されてきました。しかし、それ以外のマツダ車にも数多く搭載されていたのです。
掲載日:2019/10/22
CONTENTS
マツダ カペラ
まずは歴代のRXシリーズを、振り返ってみましょう。
2代目ファミリアの上級車として企画されたカペラは、RE搭載車の上級移行の受け皿でした。
搭載されたREの12A型は、初代カペラのために開発され、基本寸法は10A型と同一ですがローターの厚みを10mmアップ。
ロータリーハウジングの容積を増やし、排気量を上げました。
ちなみに、カペラがREを搭載したのは1970年登場の初代モデルと、1974年発表の2代目モデルだけ。
初代モデルのRE搭載車は「RX-2」として輸出され、マツダ車として初めてRXの符号が与えられました。
マツダ サバンナ
サバンナRX-7の前身であるサバンナは、セダン・クーペ・スポーツワゴンの3ボディが用意されたRE専用車で、輸出名は「RX-3」。
1971年の発表当初はコスモスポーツ譲りの10A型、1973年のマイナーチェンジ以降は昭和50年度排ガス規制に適合した12A型REを搭載しています。
サバンナは2代目ファミリアのロータリークーペの実質的な後継車であり、姉妹車にはレシプロエンジン専用車のグランドファミリアが設定されました。
マツダ ルーチェ
マツダのフラッグシップセダンであったルーチェは、代々REエンジンを搭載しています。
輸出名に着目するなら、注目すべきは2代目と3代目モデルです。
2代目ルーチェ
1966年に誕生したルーチェは、1972年に初のモデルチェンジを行いました。
2代目モデルは当初、12A型REのみが搭載されたRE専用車として誕生。
ボディタイプは4ドアセダンと2ドアハートトップに加え、輸出仕様にのみ5ドアワゴンが設定されて合計3種類が用意されました。
モデルライフが昭和50/51年度排ガス規制とオイルショックの真っただ中だったためか、後にレシプロエンジンと13B型REの追加や、度重なる排ガス規制と燃費向上の改良が繰り返されます。
また、2代目ルーチェのRE搭載車は、「RX-4」の名称で輸出されました。
3代目ルーチェ
3代目ルーチェは、ルーチェとロードペーサーの間を埋めるルーチェの上級モデルというコンセプトで、「ルーチェレガート」の名で登場しました。
ロードペーサーの販売終了後にルーチェに改名され、正式に3代目ルーチェになります。
搭載REは13B型で、昭和53年度排ガス規制をクリアし、最高出力も140PSにまで向上。
RE搭載車の輸出名は、「RX-9」でした。
マツダ コスモ
初代コスモAPはルーチェの姉妹車で、マツダのフラッグシップクーペでした。
ラグジュアリーなグランドツーリングカーとしてデビューし、北米で人気のあった高級馬車のトップを模したコスモL(Lはランドウトップの意)も追加。
搭載REは12A型と13B型で、ともに2ローターの自然吸気エンジンでした(他に2.0/1.8リッターのレシプロエンジンも搭載)。
RE搭載車は「RX-5」として、輸出されています。
RXシリーズ以外のロータリーエンジン搭載車
名称にRXが付かなくても、REを搭載した名車に事欠かないのがマツダの特徴です。
マツダ コスモスポーツ
初代モデルの前にコスモを名乗ったマツダ車が、1967年に誕生したコスモスポーツです。
日本初のRE搭載量産車で、2ローター自然吸気の10A型を搭載。
量産型REとしては世界初のマルチロータリーエンジンでした。
ユーノス コスモ
3代目コスモは、マツダ販売店の多チャンネル化によって生まれたユーノス店のフラッグシップクーペです。
ロータリーターボ専用車で、搭載されたのは2ローターの13B-REW型と世界初量産となる3ローターの20B-REW型。
20B-REW型は圧倒的なパワー、12気筒レシプロエンジンに匹敵する静寂さとシルキーさが売り物でした。
マツダ ファミリア
最近、ネーミングが世界統一された『MAZDA 3』のルーツが、ファミリアです。
2代目ファミリアがフルモデルチェンジした11か月後に、コスモスポーツ譲りの10A型を搭載したロータリークーペが追加されました。
マツダ車としては2番目のRE搭載車で、北米に「R100」の名称で輸出されています。
ロータリークーペ追加の10か月後にはセダンボディにもREが搭載され、2代目ファミリアはシリーズで唯一のRE搭載車となりました。
マツダ ロードペーサー
ロードペーサーは、1975年から1979年にかけて販売された、かつてのマツダフラッグシップセダンで、トヨタ センチュリーや日産 プレジデントと同クラスのショーファードリブンです。
当時大型車を開発できるだけの企業体力がなかったマツダは、豪州ホールデンのHJシリーズの内外装に、13B型REと3速ATを搭載しました。
まとめ
1970年代のマツダは、REモーターリゼーションを掲げ、REをフルラインナップしようとしていました。
そのため1970~1978年のRE搭載車は、累計30万台以上もの販売数を誇ります。
現代ではEV車の発電用として使用されるREに、再び普及のチャンスが巡ってきたのかもしれません。
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