1981年に登場してハイソカーブームの波に乗った初代ソアラ。初のモデルチェンジで1986年に登場した2代目もデザインこそキープコンセプトでしたが、より洗練されて豪華になり、さながら『70スープラのラグジュアリーGT版』となってバブル景気の渦中を謳歌しました。
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超キープコンセプト!しかしそれが良かった2代目ソアラ
ヒット作となった初代ソアラの登場から約5年、1986年1月に発売された2代目Z20系ソアラは、よほど詳しくなければ遠目には区別がつきにくいほどの、超キープコンセプトデザインででした。
初代のデビュー当時(1981年)には、まだフェンダーミラー規制があったのですが、1983年にそれが撤廃されたこともあり、2代目ではドアミラー装着車が増えたくらいで、2リッター車は5ナンバーサイズに収まるボディサイズも初代譲り。
ハイソカーの象徴たるスーパーホワイトがよく似合うロングノーズ・ショートデッキボディに、ゆったりしたシートと豪華装備を備えた内装をあつらえた人気のラグジュアリーGTには、そうそう変わる必要は無かったのです。
ただし、メカニズム面で兄弟車と言えるA70系スープラ(この代から先代A60系までのセリカXXではなく、海外名と共通になった)同様、エンジンやサスペンションなどは一新されました。
そして、スープラが『トヨタ3000GT』を名乗って高性能スポーツをアピールする一方、同じエンジンとサスペンションを持つソアラは、より長いホイールベースによる高速安定性を活かし、スープラ譲りの動力性能でさらに長距離クルージングを快適にしていたのです。
それにより、スポーティな走りを好む層だけでなく、クラウンやマークIIよりもっと優雅で、豪華で高価とはいえ輸入車より安く、それでいて日本人好みのスタイリッシュさで安心感を与えるビジュアルが、バブル時代の高級デートカーとしてもうってつけ。
ホンダ プレリュードや日産 シルビアは若者向けデートカーとして人気でしたが、ちょっとお金持ちをアピールする国産車ならソアラという時代でした。
レースやラリーとはほとんど無縁ながら、A70スープラ譲りの走りと豪華装備の組み合わせ
先に超キープコンセプトと書きましたが、3次曲面ガラスを採用した各ウィンドーや空力最適化によって、ややカクカクした初代よりもなめらかな曲線デザイン。
当時のトヨタというより日本車全体で流行っていた『角を取った流面形ボディ』を、初代のデザインテイストを保ったまま適用した形となりました。
先代のフロント:ストラット / リア:セミトレーリングアームから、路面追従性が高く運転感覚も良好な4輪ダブルウィッシュボーンの採用、トップグレードで230馬力を誇る3リッターDOHCツインターボ(7M-GTEU)などエンジンラインナップも、A70系スープラと共通。
初代末期のトップグレード用エンジン、2.8リッターDOHCの5M-GEUがネット換算で145馬力程度だったので、比べれば85馬力、約63%ものパワーアップを果たしたことになります。
そして廉価グレードのエンジンがSOHCの1G-EUからハイメカツインカムの1G-FEへ、その他のエンジンもA70系スープラと同様の変化をしていきますが、スープラのターボAのようなグループAホモロゲーションモデルはもちろん設定されません。
また、A70系スープラでは7M-GTEUに代わって末期に設定された2.5リッターツインターボエンジン1JZ-GTEは、ソアラには搭載されませんでした。
ソアラはあくまでラグジュアリークーペなので、レースやラリーでも多用されたスープラとは、進化の形が異なるのは当然のことです。
従って、装備面でも世界初の電子制御エアサスペンションや、狭い場所での乗り降りを容易にするために開けた時にヒンジ側が外に膨らみ、開閉を最低限にできる”イージーアクセスドア”など、快適性を重視したものがメインになりました。
また、時代を感じさせる装備としては、エレクトロマルチビジョンで表示する道路地図や車両取り扱い説明書をダウンロードするメディアが、磁気カセットテープだったこと(当時はまだデータの読み込み/書き出しに使われるのが当たり前)。
オーディオにはCDチェンジャーなどが装備されていきますが、その一方でDAT(デジタルオーディオテープ)プレーヤーも採用されていました。
伝説のレア車”エアロキャビン”
2代目ソアラといえば忘れてはいけないのが、もはや伝説レベルのレア車、3000GTをベースに作られた、500台限定販売の”エアロキャビン”です。
現在では軽自動車のダイハツ コペンにすら存在する電動格納式メタルトップですが、ルーフとリアウィンドウ部分のみとはいえ当時としては超豪華装備!
後の本格的な電動格納ルーフ車や、ソフトトップ車と異なりB / Cピラーやリアサイドウィンドウがオープン時も残り、さりとてリアウィンドウは格納(ウィンドウ内側の枠は残る)されているので、”タルガトップ”とも言えない独特のオープンカーとなります。
これは側面からのデザインを崩したくなかったからとも言われていますが、Cピラーの角度は若干異なるとは言え、確かにクローズ時には一見オープンカーには見えません。
フロントバイザー付近に2箇所、リアに1箇所のロックを外し、オートマをPレンジにしてサイドブレーキをかけてスイッチON!警報と共にルーフとリアウィンドウが折り畳まれて、トランクとCピラーの間に格納されていきます。
4シーターオープンカーを好む層には残念なことに、この格納場所を確保するため後席は潰されて2シーターとなっていますが、逆にいえば『最も贅沢なソアラ』と言えるかもしれません。
主要スペックと中古車相場
トヨタ MZ21 ソアラ 3000GT-LIMITEDエアサスペンション仕様車 1986年式
全長×全幅×全高(mm):4,675×1,725×1,335
ホイールベース(mm):2,670
車両重量(kg):1,520
エンジン仕様・型式:水冷直列6気筒DOHC24バルブ ICターボ
総排気量(cc):2,954cc
最高出力:230ps/5,600rpm
最大トルク:33.0kgm/4,000rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FR
中古車相場:25万~279万円(各型含む)
まとめ
まさにバブル景気で、この世の春だった日本の中で大人気となった2代目ソアラ。
1991年5月に、まるでバブル崩壊の始まりを見届けるかのようにモデルチェンジし、3代目にバトンタッチしたことで、まさに『バブルの時代の申し子』のような存在となりました。
しかし、まだ日本展開以前で勃興期のレクサスを支える高級パーソナルクーペ、レクサス SCが3代目ソアラとなり、デザインテイストが大きく変わったことや、空前の不景気時代の突入によって、ソアラの販売台数も地位も急激に失速していきます。
そのためか、今でもソアラといえば2代目までを好む人が多いのですが、途中で日本でもレクサス SCとなった4代目でも依然としてソアラは憧れのブランドで、SC納車時に「ソアラのエンブレムに変えてくれ。」とオーダーするユーザーがいた程だそうです。
姿形が変わっても、”いつかはソアラ”を夢見たかつての若者にとって、2代目までのソアラはそれほどに鮮烈な存在だったのだろうと思います。
まだ国際化の波が押し寄せる前、『日本だけの、日本のためのパーソナルクーペ』だったがゆえに、2代目ソアラは初代ともども、今でも日本の風景によく似合うクーペです。
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