1970年代からのスーパーカーブームで子供たちの心をわしづかみして以来大人気。そして現在のランボルギーニ車のスタンダードを確立したと言える名車がカウンタックです。そしてそれまで市販車によるレースにあまり縁が無かったランボルギーニ車が、レースへ深く関わっていくキッカケを生んだスーパーカーでもありました。
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ランボルギーニ カウンタックが生まれた時代
パワフルな大排気量V型多気筒エンジンをリアミッドシップに搭載、ペッタンコと言えるほど低いルーフに、「後ろなど振り返る必要は無い」といわんばかりの、無きに等しい後方視界。
それゆえバックする時には上方に開くシザーズドアを開け、上半身を乗り出して後方を確認する独特の「カウンタック・リバース」と呼ばれるバック方法は、特殊性だけでなく特別感をアピールする材料になりました。
V12DOHCエンジンを横置きした流麗なスーパーカー、ミウラの後継として1971年のジュネーブモーターショーでコンセプトカー的なLP500が発表され、初の市販車LP400が1974年に発売されてから生産終了する1990年まで16年もの長いモデルライフを誇っています。
その間に1970年代中盤からの「スーパーカーブーム」にて、最高速300km/hを誇る性能も超ド級のスーパーカーとして大人気となり、そのスタイルは後のディアブロやムルシエラゴ、ウラカンなどランボルギーニのスーパーカー全てに受け継がれていきました。。
そして「ランボルギーニらしさ」を確立したのと同時に、F1用エンジンはともかく市販車でのレースに積極的と言えなかったランボルギーニが市販車レースに深く関わるキッカケともなり、ランボルギーニの歴史を変えた1台とも言えるでしょう。
なお、本国式にイタリア語で「クンタッシ」と呼ばれる機会も増えていますが、この記事では一般的に通用することが多い「カウンタック」の名でご紹介します。
最高速だけを誇る直線番長では無い!ミッドシップスポーツとしても魅力的
成功作だったミッドシップ・スポーツのミウラですが、横置きされたV12エンジンにより重量配分がリア寄りでバランスが悪く、複雑な構造のミッションによるシフトフィールの悪さなど、スポーツ性を考えればまだ完成形とは言い難いものでした。
そこでより車体中心部へ近い位置へエンジンを縦置きすることで前後重量配分を改善するとともに、ギアボックスはエンジン前方、つまりコックピット左右席中間に配して直接シフトレバーを装備、ダイレクトなソフトフィールを実現するなど、ミウラの欠点を解消。
また、公称300km/hと言われた最高速にはかなりのインパクトがあり、4~5.2リッターのV12DOHCエンジンによる大パワーも合わせ、直線番長的なイメージがあると思います。
しかし、2,450mmとミウラより短いホイールベース(LP400)や、前後ダブルウィッシュボーンで路面追従性の高いサスペンションによりコーナリングマシンという一面も持っており、実際には最高速よりその運動性を評価し、楽しむ車だったと言えるのです。
また、マルチェロ・ガンディーニがオリジナルデザインを担当したボディの美しさや、とにかく低く地を這うように空気の壁を切り裂きながら進むような姿は「難しく考えなくともカッコイイ」の一言で、そのわかりやすさも人気となった原因かもしれません。
そして512BBやテスタロッサと人気を二分し、「跳ね馬 (フェラーリ) vs 猛牛(ランボルギーニ)」のスーパーカー対決という、ヒーロー対決のようなロマンもまた魅力でした。
JGTCに参戦したカウンタック
昔はあまりレースに縁の無かったランボルギーニですが、日本ではオーナーズクラブ「JLOC」によるJGTC(現在のSUPER GT)参戦などから始まり、今ではウラカンのワンメイクレースなどが当然のように行われています。
現在は世界中でランボルギーニ車によるレース活動が行われていますが、日本では1994年から開催開始されたJGTC(全日本GT選手権)にJLOCがカウンタックを走らせたのが、大きな転換点でした。
もっとも、最初は全勝したカウンタックの残ったシャシーを補強し、オリジナルのFRPボディを載せて参戦の予定でしたが、スポンサー不足で予算も限られている状態では、どうにも開幕に間に合いません。
しかし、既に「カウンタックがレースを走る!」というニュースは大々的に伝えられており、JGTCとしても注目を集めるマシンをなんとか走らせたいところ。
そこで、関係者の尽力によりノーマルのカウンタックが1台提供され、レースのために不要な装備を剥ぎ取り、ブレーキとタイヤホイールだけでもレース仕様にしてスポンサーにレインXをつけ、どうにか富士スピードウェイでの開幕戦に間に合わせました。
エンジンや駆動系などはノーマルなのでレースマシンとしては重すぎ、十分な活躍を期待するにはほど遠い状況でしたが、それでも同年のJGTCでは全5戦中2回完走するという立派な結果を残したのです。
何しろ市販車でのレース活動に熱心ではなかったランボルギーニだったので、FIAやJAFのレース用公認を取得していたわけでも無く、特認車両としての扱い。
レーシングパーツなどは無いので手探りもいいところでしたが、それでも改良を受けながら1994年シーズンを戦うという、翌年のディアブロ以降レーシング・ランボルギーニが活躍していく為の世界的偉業だったと言えました。
ランボルギーニ カウンタック 代表的なスペックと中古車相場
ランボルギーニ カウンタック LP400 1974年式
全長×全幅×全高(mm):4,140×1,890×1,070
ホイールベース(mm):2,450
車両重量(kg):1,065
エンジン仕様・型式:水冷V型12気筒DOHC24バルブ ウエーバー45DCOEキャブレター×6
総排気量(cc):3,929cc
最高出力:375ps/8,000rpm
最大トルク:36.8kgm/5,500rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:MR
中古車相場:5,800万円~ASK
まとめ
カウンタックは初期量産型のLP400からLP500シリーズ、5000QV(クアトロバルボーレ)、25thアニバーサリーなど長い歴史の中でさまざまなバージョンが存在し、ウォルター・ウルフ・カウンタックなどスペシャルモデルの存在も知られています。
そのネームバリューや喧伝された性能だけでなく、誰が見てもスーパーカーとわかり、実用性皆無でも所有するだけで、あるいは所有しなくとも目にするだけで高い価値があると言える、「スーパーカーの中のスーパーカー」でした。
現在のランボルギーニ車も基本的なデザインはカウンタックの延長線上にあるとはいえ、現在の視点で見ても「特別な1台」であることには変わりはありません。
ある意味スーパーカーの概念を変える、あるいはスーパーカーとはこれだ!と定義することに成功した、歴史的な1台と言えるのです。
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