エスプリが「スーパーカー」と呼べるかどうかという議論はさておき、エスプリ程多くのマイナーチェンジが施されたスポーツカーは少ない事でしょう。多くのスーパーカーと呼ばれるモデルたちは頻繁なデザイン変更は行わないものですが、同じくウェッジシェイプにリトラクタブルライトというスーパーカーの定番スタイルを守りつつも数度のデザイン変更を行ってきたエスプリは興味深いクルマです。生産期間は1976年から2004年までなんと28年間に渡ったご長寿モデルであるロータス エスプリの変換を画像でふりかえっていきたいと思います。
掲載日:2019.11/15
初代/S1
初代モデルが発売されたのは1976年。
1972年にイタルデザインが発表したコンセプトモデルの時点ではアルミニウム製だったボディはFRPに変更されました。
当時のFRP成形は、ハンドレイアップと呼ばれる職人による手作業が主流であった為にボディの個体差が大きく、ものによっては面の歪みがあったり、100kg近い重量差があったと言われています。
エンジンは既にロータス・エリートで使用されていた907型と呼ばれる水冷直列4気筒DOHCをミッドに搭載。
高い人気を得て、累計生産台数は994台でした。
S2
1978年にマイナーチェンジが施され、「S2」という呼称に。
主に外観上の変更が大きく、サイドシルがブラックアウトされ、新たにフロントスポイラーが追加されてよりスポーティな雰囲気に。
また、ミッドエンジンの冷却効率を高める為にリアクォーターにインテークが追加、ホイールも冷却性を高めるために4本スポークに変更されました。
その他、リアライトはローバー3500用の大型のものに変更されています。
1978年のF1でロータスがコンストラクターズチャンピオンを獲得したことを記念し、JPSカラーの限定車も100台製造されました。
ターボ
1980年のジュネーヴショーにてターボモデルがデビュー。
エンジンは910型と呼ばれる直列4気筒DOHCにギャレット・エアリサーチ製のターボチャージャーが組み合わされました。
ボンドカーとしてスクリーンを飾ったこともあり、注目を集めたモデルでもあります。
S2.2
1980年5月に912型と呼ばれる、910型からターボを取ったような構成のエンジンが追加されます。
エスプリ・ターボにこのエンジンを搭載したモデルがS2.2という名称となっています。
S3
1981年、S2.2にも用いられた912型エンジンを搭載したS3がデビュー。
これがジウジアーロがデザインした最後のエスプリとなり、デザイン的に最も完成度の高いモデルだと評価する声もあります。
HC/HCターボ/ターボHCPI
1987年にデザイナーがロータス社内のピーター・スティーブンスに変更されたHCとターボHCが発表されました。
ジウジアーロデザインと区別するためにこのHC以降のエスプリは「ニューシェイプ」とも呼ばれ、丸みを帯びたフォルムが特徴的です。
ボディ素材は同じくFRPですが、成形法に真空吸引成形VARIと呼ばれる手法を採用することによって、従来のようなモデル毎のバラツキが無くなりました。
ターボSE
1990年に追加モデルとして登場、「SE」はSpecial Equipmentの略でもあり、フロントスポイラー、リアスポイラー、サイドスカートが装着されているのが外観上の特徴です。
内装もレザーに変更され、その後のスポーツ300の登場まではトップグレードに位置していました。
スポーツ300
1982年に発表されたホモロゲーションモデルで、エスプリをベースとしたIMSA用車両であるX180 をベースに開発されています。
1993年のル・マンにも出場したことのある人気モデルです。
S4
再び内外装に変更がされたモデルで、このS4以降の世代のエスプリを「ニューシェイプ2モデル」と呼ぶことがあります。
個性的な形状のリアスポイラーと17インチに大型化されたホイールが主な外観上の変更点となっています。
V8
1996年には3.5リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、350psまでパワーアップした「V8」が登場します。
OZレーシングのアルミホイールやMOMO製のスポーティなステアリング等、走りの為の豪華な装備が奢られていました。
その後、2004年の「ファイナルランエディション」を最後に生産終了となりました。
まとめ
ジウジアーロによるウェッジシェイプデザインの傑作として名高いエスプリシリーズ。
強烈なパワーや豪華な内装でなくとも、その優れたエクステリアデザインが評価され続けたからこそロングセラーとなった稀有なクルマであると言えるでしょう。
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