オーストリアのバイクメーカー KTMが送り出すライトウェイトスポーツカー『KTM X-BOW』。登場から既に10年が経ちますが、KTMの積極的なワンメイクレース開催やFIA-GT4マシンの登場など、活躍が目ざましいモデルです。現在は多くのユーザーから支持されており、これからも多くのレースで活躍する事が予想されます。
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KTM X-BOWは多くのメーカーの共同開発により生み出されたリアルスポーツカー
KTM X-BOWはオーストリアのバイクメーカーKTMが製造しているスポーツカーで、X-BOWの読み方は『クロス ボウ』です。
2007年、スイスで開催されたジュネーブモーターショーで発表され、他バイクメーカーに比べて小規模なKTMが開発したスポーツカーということで、多くの注目を集めました。
しかし、走るためだけに割り切った設計と、小規模なバイクメーカーが初めて開発したスポーツカーということで、本当に売れるのか半信半疑だった方も少なくないと思います。
それでも、当初KTMは年間500台の製造を計画していましたが、想定以上の受注が入り、生産工場を新設するなど生産体制を拡充。
その後もX-BOWの人気は継続し、さまざまな仕様を発売したことやKTMがモータースポーツで積極的に活動を行ったことから、ブランド力は年々向上。
今年で製造開始から10年が経過しますが、ライトウェイトリアルスポーツカーのカテゴリーでは高い支持を得ています。
アウディ製エンジンとカーボンモノコックシャシーの組み合わせが究極のライトウェイトスポーツを生み出す
X-BOWは、一般的に見ると少々奇抜に思えるデザインとなっています。
二人乗りのオープンカー仕様で、トランクスペース、エアコン、オーディオ、クーラーは装備されておらず、デビュー当時は降雨時の後付けルーフも用意されていませんでした。
現在、X-BOW GTにはオプションで、ソフトトップが用意されています。
エンジンは、アウディに使用されている2リッター直噴TFSIエンジンを搭載していますが、最高出力300馬力と驚くほどのハイパワーではありません。
しかし、わずか847kgという軽量さを武器に、現行のX-BOW GTでは0-100km加速4.1秒を実現。
以前に販売されていたスタンダードモデルのX-BOW Rは3.9秒と、大排気量スーパーカーと同等レベルの加速を実現した上で、ここまで車体を軽量に仕上げられたのは、バイクメーカーならではと言えるところではないでしょうか。
名門レーシングカーコンストラクターによるシャシー設計
X-BOWの開発には、エンジンを供給したアウディの他に、シャシー開発にはダラーラ(Dallara)社も携わっています。
ダラーラ社はイタリアのレーシングカーコンストラクターで、現在F1に参戦するハースのシャシー製作やスーパーフォーミュラのシャシー製作も行なっている老舗コンストラクターです。
そんなダラーラ社がX-BOWのシャシー開発に協力し、F1マシン開発で培ったノウハウをフィードバックさせたカーボンモノコックシャシーをX-BOWに搭載。
車体デザインは、KTMのバイクデザインを担当しているKISKA・DESIGN(キスカ・デザイン)社が担当。
サスペンションのプッシュロッドダンパーやサイレンサーは空力をも考慮したデザインとなっており、簡素化したヘッドライトやボディーパネルにバイクのカウルのような『フローティング・エレメンツ』を採用したあたりには、バイクメーカーKTMのこだわりを感じます。
現行モデルは3車種、公道仕様モデルにウインドスクリーンが採用
現在、KTMのカタログにラインナップされているX-BOWは『X-BOW GT』『X-BOW RR』『X-BOW GT4』の3モデルです。
その中でもX-BOW GTは公道走行を目的としたモデルのため、ウインドスクリーンを装着。
今までのX-BOW Rにはウインドスクリーンがなかったため、風圧や飛んでくる小石を顔面に受けることがありましたが、X-BOW GTではその心配もなくなった上に、シートヒーターも装着され、やや快適になった感じです。
また、X-BOW RRはワンメイクカップ『X-BOW BATTLE』に出場できるカップカーとされており、日本導入の情報はありませんが、おそらく公道走行はできないものと見られます。
KTM X-BOW GTはGT4カテゴリーレースの上位常連マシン
X-BOW GT4はFIA-GT4カテゴリー規格の完全なレーシングカーです。
GT3に続く人気をみせるGT4カテゴリーでは、世界中の自動車メーカーがGT4マシンを販売し、FIA規格のレースカテゴリーの中では相当な激戦区。
それでも、2009年/2011年ブリティッシュ・GT・チャンピオンシップと2016年ピレリ・ワールド・チャレンジのGT4クラスで優勝を果たし、X-BOWのポテンシャルの高さを証明させました。
また、最近では2017年24H Series Hankook12H RED BULL RINGでクラス優勝。
2018年Liqui-Moly Bathurst 12 Hourでクラス3位を獲得するなど、GT4マシントップクラスの速さを見せつけています。
2018年モデル KTM X-BOW GTのスペック
KTM X-BOW GT | ||
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 3,738×1,915×1,202 | |
ホイールベース(mm) | 2,430 | |
車重(kg) | 847 | |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC16バルブターボ | |
排気量(cc) | 1,984 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 220[300]/6,400 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 420[42.8]/3,200 | |
トランスミッション | 6速マニュアル | |
駆動方式 | MR | |
タンク容量(ℓ) | 40 | |
タイヤサイズ | 前 | 205/40 R17 |
後 | 255/35 R18 |
まとめ
KTMが踏み切った4輪車製作は見事大成功をおさめ、新興メーカーとは思えない出来の良さに多くのユーザーから支持を得ています。
同カテゴリーではケータハムやロータスなど老舗メーカーがライトウェイトスポーツモデルを出していますが、この2台と比較してもその性能は負けじと劣りません。
X-BOWが登場して10年が経過したため、そろそろフルモデルチェンジがあるのか、またはX-BOWに続く新モデルを登場させるのか。
KTMの4輪部門から今後も目が離せません。
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