オーストリアのバイクメーカー KTMが送り出すライトウェイトスポーツカー『KTM X-BOW』。登場から既に10年が経ちますが、KTMの積極的なワンメイクレース開催やFIA-GT4マシンの登場など、活躍が目ざましいモデルです。現在は多くのユーザーから支持されており、これからも多くのレースで活躍する事が予想されます。

 

 KTM X-BOW R

2017年モデル KTM X-BOW R / © Asset Bank 2018

 

KTM X-BOWは多くのメーカーの共同開発により生み出されたリアルスポーツカー

 

 KTM X-BOW R

2017年モデル KTM X-BOW R / © Asset Bank 2018

 

KTM X-BOWはオーストリアのバイクメーカーKTMが製造しているスポーツカーで、X-BOWの読み方は『クロス ボウ』です。

2007年、スイスで開催されたジュネーブモーターショーで発表され、他バイクメーカーに比べて小規模なKTMが開発したスポーツカーということで、多くの注目を集めました。

しかし、走るためだけに割り切った設計と、小規模なバイクメーカーが初めて開発したスポーツカーということで、本当に売れるのか半信半疑だった方も少なくないと思います。

それでも、当初KTMは年間500台の製造を計画していましたが、想定以上の受注が入り、生産工場を新設するなど生産体制を拡充。

その後もX-BOWの人気は継続し、さまざまな仕様を発売したことやKTMがモータースポーツで積極的に活動を行ったことから、ブランド力は年々向上。

今年で製造開始から10年が経過しますが、ライトウェイトリアルスポーツカーのカテゴリーでは高い支持を得ています。

 

アウディ製エンジンとカーボンモノコックシャシーの組み合わせが究極のライトウェイトスポーツを生み出す

 

 KTM X-BOW R

2017年モデル KTM X-BOW R / © Asset Bank 2018

 

 KTM X-BOW R

2017年モデル KTM X-BOW R / © Asset Bank 2018

 

 KTM X-BOW R

2017年モデル KTM X-BOW R / © Asset Bank 2018

 

X-BOWは、一般的に見ると少々奇抜に思えるデザインとなっています。

二人乗りのオープンカー仕様で、トランクスペース、エアコン、オーディオ、クーラーは装備されておらず、デビュー当時は降雨時の後付けルーフも用意されていませんでした。

現在、X-BOW GTにはオプションで、ソフトトップが用意されています。

エンジンは、アウディに使用されている2リッター直噴TFSIエンジンを搭載していますが、最高出力300馬力と驚くほどのハイパワーではありません。

しかし、わずか847kgという軽量さを武器に、現行のX-BOW GTでは0-100km加速4.1秒を実現。

以前に販売されていたスタンダードモデルのX-BOW Rは3.9秒と、大排気量スーパーカーと同等レベルの加速を実現した上で、ここまで車体を軽量に仕上げられたのは、バイクメーカーならではと言えるところではないでしょうか。

 

名門レーシングカーコンストラクターによるシャシー設計

 

KTM X-BOW カーボンモノコックシャシー

KTM X-BOW カーボンモノコックシャシー / Copyright 2018 KTM Sportmotorcycle GmbH, all rights reserved

 

X-BOWの開発には、エンジンを供給したアウディの他に、シャシー開発にはダラーラ(Dallara)社も携わっています。

ダラーラ社はイタリアのレーシングカーコンストラクターで、現在F1に参戦するハースのシャシー製作やスーパーフォーミュラのシャシー製作も行なっている老舗コンストラクターです。

そんなダラーラ社がX-BOWのシャシー開発に協力し、F1マシン開発で培ったノウハウをフィードバックさせたカーボンモノコックシャシーをX-BOWに搭載。

車体デザインは、KTMのバイクデザインを担当しているKISKA・DESIGN(キスカ・デザイン)社が担当。

サスペンションのプッシュロッドダンパーやサイレンサーは空力をも考慮したデザインとなっており、簡素化したヘッドライトやボディーパネルにバイクのカウルのような『フローティング・エレメンツ』を採用したあたりには、バイクメーカーKTMのこだわりを感じます。

 

現行モデルは3車種、公道仕様モデルにウインドスクリーンが採用

 

KTM X BOW GT

KTM X BOW GT / © Asset Bank 2018

 

KTM X BOW RR

KTM X BOW RR / © Asset Bank 2018

 

KTM X BOW GT4

KTM X BOW GT4 / © Asset Bank 2018

 

現在、KTMのカタログにラインナップされているX-BOWは『X-BOW GT』『X-BOW RR』『X-BOW GT4』の3モデルです。

その中でもX-BOW GTは公道走行を目的としたモデルのため、ウインドスクリーンを装着。

今までのX-BOW Rにはウインドスクリーンがなかったため、風圧や飛んでくる小石を顔面に受けることがありましたが、X-BOW GTではその心配もなくなった上に、シートヒーターも装着され、やや快適になった感じです。

また、X-BOW RRはワンメイクカップ『X-BOW BATTLE』に出場できるカップカーとされており、日本導入の情報はありませんが、おそらく公道走行はできないものと見られます。

 

KTM X-BOW GTはGT4カテゴリーレースの上位常連マシン

 

12H Bathurstに出場するKTM X BOW GT4

2017年 12H Bathurstに出場するKTM X BOW GT4 / © Asset Bank 2018

 

X-BOW GT4はFIA-GT4カテゴリー規格の完全なレーシングカーです。

GT3に続く人気をみせるGT4カテゴリーでは、世界中の自動車メーカーがGT4マシンを販売し、FIA規格のレースカテゴリーの中では相当な激戦区。

それでも、2009年/2011年ブリティッシュ・GT・チャンピオンシップと2016年ピレリ・ワールド・チャレンジのGT4クラスで優勝を果たし、X-BOWのポテンシャルの高さを証明させました。

また、最近では2017年24H Series Hankook12H RED BULL RINGでクラス優勝。

2018年Liqui-Moly Bathurst 12 Hourでクラス3位を獲得するなど、GT4マシントップクラスの速さを見せつけています。

 

2018年モデル KTM X-BOW GTのスペック

 

KTM X BOW GT

KTM X BOW GT / © Asset Bank 2018

 

KTM X-BOW GT
全長×全幅×全高(mm) 3,738×1,915×1,202
ホイールベース(mm) 2,430
車重(kg) 847
エンジン種類 直列4気筒DOHC16バルブターボ
排気量(cc) 1,984
最高出力(kW[PS]/rpm) 220[300]/6,400
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) 420[42.8]/3,200
トランスミッション 6速マニュアル
駆動方式 MR
タンク容量(ℓ) 40
タイヤサイズ 205/40 R17
255/35 R18

 

まとめ

 

 

 

X BOW Battle and Rookies Challenge Red Bull Ring

2018年4月30日に行われた X-BOW Battle and Rookies Challenge Red Bull Ring / © Asset Bank 2018

 

KTMが踏み切った4輪車製作は見事大成功をおさめ、新興メーカーとは思えない出来の良さに多くのユーザーから支持を得ています。

同カテゴリーではケータハムやロータスなど老舗メーカーがライトウェイトスポーツモデルを出していますが、この2台と比較してもその性能は負けじと劣りません。

X-BOWが登場して10年が経過したため、そろそろフルモデルチェンジがあるのか、またはX-BOWに続く新モデルを登場させるのか。

KTMの4輪部門から今後も目が離せません。

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