「5ナンバーサイズのゴキゲンなFRスポーツセダンが欲しい」と思ったら、貴方は何を思い浮かべるでしょうか?日本車、ドイツ車…いろいろと名前は上がると思いますが、ココ一番で忘れてほしくない車があります。それは、トランスアクスルで重量バランスもバッチリなFRアルファ。DOHCのツインスパークエンジンはギュンギュン唸り、限定のターボ・エボルツィオーネもある、アルファロメオ 75です!

 

アルファロメオ 75  / 出典:https://www.museoalfaromeo.com/en-us/collezione/Pages/Alfa-75-2-0-TS-A-S-N.aspx

 

フィアットによる買収直前、アルファロメオ75周年を記念した最後のFR大衆セダン

 

アルファロメオ 75 出典:https://www.museoalfaromeo.com/en-us/collezione/Pages/Alfa-75-2-0-TS-A-S-N.aspx

 

1970年代、アルファロメオは貧困な南部問題解決のためにナポリ近郊の新工場で生産された『アルファスッド』(1971年発売)の特に初期型で顕著だった、超低品質問題に始まる一連のブランドイメージ低下と、その回復策に苦しんでいました。

さらにはアルフェッタ(1972年)の高性能ながら妙に凝ったメカニズムと信頼性の低さに苦しみ、北米から始まった厳しい排ガス規制による性能低下にも苦悩。

それでいて技術偏重な開発方針により高コスト体質にも苦しめられるなど、あらゆる苦難に悩まされていたのです。

そんな中、1930年代以来国営だった同社は1986年にフィアットに買収されて民営化されますが、その直前の1985年「オールド・アルファ時代に発売された最後のモデル』として登場したのが、アルファロメオ75でした。

同社の苦しい台所事情を反映し、アルフェッタ以来のメカニズムと先代にあたる2代目ジュエリッタ同様に著しいウェッジシェイプ形状の角ばったデザインの75でしたが、さすがにこの時期の信頼性や品質はスッド時代の比ではありません。

フィアット時代になってから導入された技術も使い、素晴らしいスポーツセダンとして評価された75はヨーロッパや北米でヒット作となり、見事にアルファロメオのブランドイメージを回復させました。

しかしアルファロメオを傘下に収めたフィアットは、プラットフォーム共通化を進めて後継の155以降しばらく全車をFF化。

同社の独自開発によるFR車は、2015年に発表される2代目ジュリアまでしばらく途絶える事となります(2007年デビューの8Cコンペティツィオーネはマセラティ3200GTベース)。

 

アルフェッタ以来のメカニズムを熟成した最終進化系スポーツセダン!

 

アルファロメオ 75 / Photo by D – 15 photography

 

75のデザインは、先代にあたる2代目ジュリエッタから採用された引き絞られたフロントからリアへ向かって駆け上がるようなクサビ型デザインをさらに昇華させたもので、より角ばった上に後席ドア直後からさらにピン!と跳ね上がる躍動感が特徴でした。

ショルダーラインにアクセントを与える黒いモールも同じところで飛び跳ね、後端へ達しするとそのままリアスポイラー上にトランクリッドを囲むデザインなど秀逸です。

これには尻下がりデザインを極度に嫌う日本人ならさぞかし満足するかと思いきや、意外にも不評だったようですが、どのみち万人受けするデザインではツマラナイと言い出すものなので、あるいは愛情の裏返し?かもしれません。

メカニズム面ではアルフェッタで初採用されて以来、エンジンから等速回転されるプロペラシャフトの振動や長くて最悪とも言われたシフトロッドの操作性が克服され、リアにトランスミッションを配した事で優れた重量バランスを得るトランスアクスルのメリットが最大限に生きました。

しかもド・ディオン・アクスルのリアサスペンションやインボードタイプのリアブレーキなど贅沢なメカニズムを持つ4ドアFRスポーツセダンで、しかも特に高級スポーツというわけでも無い大衆車という夢のような存在は、もっと注目されてしかるべきでしょう。

また、エンジンはアルファロメオ至高のエンジンとされた2.5/3.0リッターV6エンジンのほか、1.6/2.0リッター/1.8リッターターボの直4エンジン、さらに欧州仕様では2.0リッターディーゼルターボを搭載。

そして1987年、2.0リッター直4自然吸気エンジンは1気筒あたり2つのスパークプラグを持ち、量産車としては世界初の可変バルブ機構(位相可変型)を持つDOHCエンジン『ツインスパーク』へと発展します。

 

WTCCなどグループAレースで強豪たちと戦った75ターボ・エボルツィオーネ

 

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アルファロメオ 75 ターボ・エボルツィオーネ / 出典:http://www.webcarstory.com/voiture.php?id=1566

 

75の特別なモデルとしては、1987年春にグループAレース向け500台限定ホモロゲーションモデル『75ターボ・エボルツィオーネ』が発売されています。

ベースとなったのは1.8リッターターボエンジンを搭載する75ターボで、排気量は1,779ccからFIAで定められているターボ係数1.7を掛けても3,000ccへ収まる1,762ccへとダウン。

レーシングベースとして内装各部の装備が変更されたほか、大型スポイラーと一体型の前後バンパーや大きく張り出した前後フェンダーなどは迫力満点で、サイドには『EVOLUZIONE』の文字も輝かしく、トランクリッドのエンブレムも『75TURBO E』と特別でした。

そんなエボルツィオーネを駆ったアルファロメオのレース部門『アルファコルセ』は、1987年シーズンからWTCC(世界ツーリングカー選手権)に参戦したほか、ワークス/セミワークスにより数々のレースへ参戦していきます。

 

あああアルファロメオ 75 ターボ・エボルツィオーネ IMSA  / 出典:https://www.museoalfaromeo.com/en-us/news/Pages/FCAMilanoAutoClassica2016.aspx

 

そしてグループAレース仕様の75エボルツィオーネは、324馬力と十分なパワーと元から持っている良好な重量バランスを武器とした有力マシンで、実際1987年WTCC第1戦(モンツァ500)の選手権クラスで優勝(総合7位)などの記録が残っています。

しかし当時のライバルといえばBMW M3やフォード シエラRSという超強豪揃いだったため、その後はなかなか勝ち星に恵まれず、ラリーでもフランス国内ラリーなどへ参戦記録があるものの、あまり派手な成績は残されていません。

もっとも輝かしい成績といえば、1988年のイタリアツーリングカー選手権でジャンフランコ・ブランデカリがシリーズを制覇した記録が残っています。

 

主なスペックと中古車相場

アルファロメオ 75 / Photo by TuRbO_J

アルファロメオ 75 ツインスパーク 1990年式

 

全長×全幅×全高(mm):4,330×1,660×1,400

ホイールベース(mm):2,510

車両重量(kg):1,190

エンジン仕様・型式:水冷直列4気筒DOHC8バルブ

総排気量(cc):1,961

最高出力:107kw(145ps)/5,800rpm

最大トルク:186N・m(19.0kgm)/4,000rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:FR

中古車相場:99.9万~150万円

 

まとめ

 

アルファロメオ 75 ターボ・エボルツィオーネ IMSA / 出典:https://www.museoalfaromeo.com/en-us/news/Pages/01122016_LaStoriaMotorsport.aspx

 

好みのわかれるデザインで当時のアルファロメオが持たれていたネガティブなイメージや、アルフィスタのエンスージアストがよく好む1960年代のジュリアなどとは大局的な雰囲気、そして155ほどの活躍では無かったツーリングカーレースでの実績。

75というとどうもパッとしない印象が多いのですが、それにしても5ナンバーサイズで2リッタークラスのエンジンを搭載。

MTを駆使して痛快な走りをする4ドアスポーツセダンを語る時、アルファロメオ 75の話があまりにも少ないのは寂しい感じがします。

数は少ないものの中古車の価格も手頃であり、末期にはフィアット系日本法人による正規輸入販売も行われていたので、「コンパクトな輸入スポーツセダンが欲しい!」というユーザーは是非検討してほしいところ。

可能であれば75ターボ・エボルツィオーネを狙ってみても良いのですが、何しろ全世界500台限定なので、日本でもそうなかなか見ることはできないようです。

 

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