モータースポーツを足元から支えてきたブリヂストンモータースポーツ。もちろんSUPER GTでも欠かせない存在です。レースにおいてタイヤがかなり重要な事は皆さんご存知だと思います。しかし、タイヤをマシンに装着すれば、エンジニアの仕事は終了!そんな事はありません。タイヤエンジニアはレースWEEK中も重要な仕事をしているのです。

 

©Chika Sakikawa

 

 

タイヤエンジニアのレースWEEKスケジュール

 

©Chika Sakikawa

 

搬入日、予選日、決勝日と3日間で構成されているSUPER GTのレースWEEK。

もちろん、ブリヂストンモータースポーツもレースタイヤのサプライヤーとして搬入日からサーキットに入り、サービステントを設営し、タイヤを組む準備をします。

 

DAY1:搬入日

 

©Chika Sakikawa

 

まずは、お昼過ぎぐらの到着を目指し、サーキットへ向けて出発。

翌日から使用するタイヤを組まなくてはいけないので、どのタイヤを何本組むのかなど各チームのエンジニアと相談しながら準備を進めます。

そして夕方、レースの公式セッションで使用できる6セットのタイヤマーキングを受けなくてはいけないので、それまでに決定したタイヤの組み付けを終わらせ、各チームに引き渡すのです。

 

鈴鹿1000kmの場合の搬入日タイム介シュール

 

また、今回持ってきたタイヤの特性や予選、決勝での使い方、そして注意点などをチーム側とミーティングし、翌日の走行に備えます。

という事は、搬入日のタイヤエンジニアのコアタイムは正午過ぎからタイヤマーキングが開始される15時頃まで!

その約2時間ぐらいの間に、一気に全てのサポートマシンに必要なタイヤ数を組み上げていくのです。

ちなみに、タイヤエンジニアは、各メーカーごとに担当が1人!

という事は・・・現在ブリヂストンモータースポーツで5台のサポートという、一番台数の多いメーカー、LEXUS担当はかなり大忙しなのかも!?と思ったら、サブ担当もいるので、そんな事もないそうです。

 

DAY2:予選日

 

©Chika Sakikawa

 

予選日は、朝9時とか9時半ぐらいから練習走行があるので、当日の走行メニューの予定を確認したりしながら、タイヤのテスト内容を話し合います。

その直前の天気によって、ウェットを組む提案をする事も!

走行が始まると、チームとしては車のセットアップをしっかりする事と、用意したタイヤのスペックをキッチリと比較して、予選で使用するタイヤを決定する事が重要なので、それに向けて話し合いをしながらテストを進めていきます。

 

 

そして、公式練習の走行中に全てがキッチリ決まる事は少ないので、走行後もその話し合いは続きます。

その後、各メーカー担当達のメーカーごとの情報なども総合し、ブリヂストンとしての推奨などの提案も行い、午後に控えた公式予選に備えていくのです。

予選用タイヤが決定すると、そのまま公式予選へ。

Q1からQ2へと進める上で、タイヤ変更の必要があれば話し合う事もありますが、決勝のスタートタイヤになる事を考えると、基本的にはどちらも同じタイヤで走行する事がほとんど。

そして予選終了後は、ブリヂストン社内でのミーティングを経て、メーカーごとのミーティングを行い、予選での結果と決勝に向けての方向性を決定していきます。

1日の終わりにはブリヂストンモータースポーツとして、練習走行、予選でのタイヤの使われ方やタイヤのスペックの比較結果などを整理し、社内にフィードバックしていくのです。

 

DAY3:決勝日

 

©Chika Sakikawa

 

決勝日の午前中は、各チームのタイヤも決定済なので特別な仕事は無いのですが、直前で天気予報が変わる事も多々あるので、その場合の対策を相談したり、ウォームアップ走行時にチェックするポイントを話し合ったりします。

ちなみに、ウォームアップ走行で履いているタイヤは前日の練習走行で履いていたタイヤを使う事が主だそう。

なぜなら公式練習では、主に公式予選の事を考えるので比較的軽い状態で速く走れるようにセッティングしますが、ウォームアップ走行では長距離を走った時に速く走れるセッティングを考えるので、ガソリンを積み、レース用のセットでタイヤが想定通り機能するか、思った通りグリップするかなどを確認するからです。

そして、その結果を受けてレースでのセットを最終決定!

 

また、決勝レースがスタートする時のタイヤは、予選で使用したタイヤを使用する事がレギュレーションで決められているので、雨など天候の変化がない限り、そのままスタート進行へ。

レース中は、スティントごとに戻ってきたマシンのタイヤを確認し、内圧やキャンバーを含めて、推奨通りに使われているかをチェックしたりしています。

そして、レース展開や結果を見ながら思ったようにタイヤがグリップしてるかしてないか、垂れるとか垂れないとかと言うのを見ながら、予想外の事が起こった時にその後の対応を検討する事も重要な仕事です。

レース終了後は、使用したタイヤの温度や内圧、摩耗状態などを見たり、内部が壊れてないかをチェックしたりして、各メーカーのタイヤの状態から見たレース結果をまとめ、今回持ち込んだタイヤの良かった部分、悪かった部分をレポートし、今後のタイヤ開発に生かしていくのです。

 

まとめ

ただ単にタイヤをサポートチームに供給するだけではなく、そのチームが勝つために尽力を惜しまないタイヤエンジニア。

レースに大きな影響を及ぼすタイヤのプロは、走行後のタイヤの摩耗状態から普通の人には想像できない量の情報を得る事ができるそうです。

そんなタイヤエンジニア達のレースWEEKは、こんなにも忙しい事を皆さんは知っていましたか?

レース観戦と合わせて、裏方のスタッフたちの戦いにも是非注目してみてくださいね。

 

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