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モータースポーツには欠かせない「ヘルメット」本気で走るなら本気で安全を考えよう!

多くの場合、一般公道での走行よりはるかにクルマの限界を目指すモータースポーツでは、ドライバーに限らず搭乗者やスタッフなどの安全性確保が必須です。そのため、レースやほとんどの競技では、そのレベルに応じた安全装備の装着徹底が原則となっています。自分はドライバーじゃないという方でも、スポーツ走行に同乗走行する機会があれば無縁とは言えないでしょう。今回はそんな安全装備から、「ヘルメット」をご紹介します。

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Photo by Aurimas

モータースポーツにおける「ヘルメット」とは?

出典:https://wikimedia.org/

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日常の公道でヘルメット着用場面を見かけるのは、どんな時でしょうか?

・原付自転車やオートバイの搭乗者

・交通機動隊など一部のパトカー

・緊急走行をしている緊急車両の搭乗者

・校則その他の理由でヘルメットを着用している自転車の搭乗者

大体、こんなところだろうと思います。

しかし、モータースポーツの世界は「非日常」の世界で、公道とはまた違った意味でヘルメットが必要です。

「安全性と規則による義務」という意味では同じですが、異なるのはそのドライバーやマシンの限界に近い走行を行う中で、搭乗者がはるかに高いリスクを負っている事。

特に4輪自動車など、公道では通常必要とされていない乗り物でもモータースポーツではヘルメットが必要な理由が、ここにあります。

 

ヘルメットの形状と適性

ヘルメットと一口に言ってもさまざまな種類がありますが、2輪車・4輪車用で代表的な形状と、モータースポーツに対する適性を紹介します。

 

【フルフェイス】

出典:http://static.sparco.it/

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顔、というより頭部全体を覆うのがフルフェイスと呼ばれるタイプです。

衝撃や路面との接触による摩擦からの頭部保護、2輪車や屋根が無いなど一部の4輪車で頭部が風雨などにさらされる環境での安定性ではもっとも優れています。

搭乗者の頭部が空力に影響を与えるような乗り物の場合は、その空力安定性も重要です。

さらに4輪車の場合は転倒時に側面のガラスが砕けて搭乗者に降り注ぐ事や、車内で火災に遭う危険もありますから、そこまで考えた頭部保護ではフルフェイスに勝るものはありません。

一見重そうに見えますが、モータースポーツ用では軽量かつ強靭なヘルメットも販売されています。

ただしデメリットが全く無いわけではなく、視界はもっとも狭くなっています。

 

【ジェットヘルメット】

出典:http://static.sparco.it/

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通称「ジェッペル」「ジェットヘル」とも言われるジェットヘルメットは、酸素マスク装着のため口の部分を空けておくジェット戦闘機パイロット用ヘルメットのイメージで、フルフェイスからアゴの部分を取り去ったものです。

頭部保護性能や風雨からの保護、空力安定性でフルフェイスに劣りますが、物理的・心理的圧迫感が少なく呼吸などもしやすい、ラリーなど同乗のナビがいる場合、通話用のインカムが壊れても大声でコミュニケーションを取れる、などのメリットがあります。

比較的低速で、車室が完全に閉鎖可能な4輪車用であれば、モータースポーツに使う人も結構多いです。

 

【システムヘルメット(フリップアップ)】

出典:http://jp.shoei.com/

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ジェットヘルメットのシールドにフルフェイス同様のアゴ部分を設けて一体化し、シールドを下げればフルフェイス、上げればジェットヘルメットになるという、いいとこ取りの製品です。

ただしどうしても重くて高価な事から、2輪・4輪ともにモータースポーツで選ぶ理由は無いかもしれません。

 

【オフロードヘルメット】

出典:http://www.arai.co.jp/

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アゴの部分を強化して、衝撃防御力を向上させたフルフェイスヘルメットで、公道・モータースポーツともに2輪のオフロード走行で多用されます。

4輪のモータースポーツで使う意義は特に無く、かえって使用が制約される場合もあるほどですが、形状の自由度が高い事によるファッション目的や、普段オフロードバイクに乗っているという理由で使う人も。

 

【ハーフヘルメット】

出典:http://palstar.co.jp/

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通称「半ヘル」で、公道でも125cc以下の原付規格でしか製造されておらず、安全性はもっとも劣ります。

開放感や脱着の容易さで抜きん出ている事から、モータースポーツで使おうとする人もいますが、多くの場合シールドが無いのみならず、耳など側面も全く保護されないので、よほど規則の緩い競技会やサーキットで無ければ走行自体許可されません。

「耳当て」のある製品もありますが、あくまで耐候性のためで安全性には寄与していないため、耳当てがある製品だからとサーキットに持ち込むのは無謀だと考えましょう。

同種で工事用ヘルメットや軍用鉄帽を被ろうとする人もいますが、これも同様です。

 

【セミジェット(スリークォーターズ)】

出典:http://www.weblead.co.jp/

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ハーフヘルメットとジェットヘルメットの中間で、やや保護範囲が広がったのがセミジェットで、ハーフ(半分)に対して3/4程度は保護しているという意味で、スリークォーターズと呼ばれることもあります。

安全性に関してはハーフヘルメットと大差無く、モータースポーツ向きではありません。

 

2輪車用と4輪車用では何が違う?

以上、紹介したヘルメットの中でも、フルフェイスとジェットヘルメットには4輪車用があります。

一見同じように見える2輪車用と4輪車用のヘルメットですが、実際には大きな違いがあり、2輪車用を4輪車に使用するケースもありますが、逆はまずありません。

 

【形状】

出典:http://static.sparco.it/

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フルフェイスヘルメットの場合が顕著で、目の部分の開口部は2輪用が大きく、4輪用が狭くなっています。

これは4輪用の場合、車両火災が発生したまま閉じ込められる事もあるため、耐火性能を最大限に発揮するのがその理由です。

また、2輪車用では空力特性も考慮してフィンや空気抜きの穴が設けられているのは、車室が密閉された4輪車用としては意味がありません。

 

【素材や機能】

同様に、耐火性を高めるため4輪車用フルフェイスは衝撃でシールドが外れたり開いたりしない対策が施されたり、シールドそのものも厚くなっています。

また、内部やアゴひもにも難燃性素材が使われており、2輪車用とはかなり性格が違う事がわかるでしょう。

 

【ジェットヘルメットはフェイスマスク着用】

出典:http://www.sparcousa.com/

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以上、視界が狭くなる事や使い回しのため2輪車用を使う人もいますが、火災の際に脱出困難の恐れがある4輪車で生存性を高めようと思うならば、あえて2輪車用を選ぶ意味はありません。

なお、ジェットヘルメットはそもそもアゴや首の保護性能が無いためモータースポーツ用では4輪専用と思った方が良いですが、その場合でも火災の危険性が高い競技では耐火繊維製のフェイスマスク着用が義務付け、あるいは推奨されています。

 

全てモータースポーツで使用できるとは限らない

出典:https://wikimedia.org/

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なお、2輪ならフルフェイスまたはオフロードヘルメット、4輪ならばフルフェイスかジェットヘルメットがモータースポーツ用ヘルメットとして原則になりますが、その形状ならば何でも使えるわけではありません。

特にJAF公認レースや競技会では使用できるヘルメットの種別や規格、耐用年数が厳格に定められており、都度更新されています。

そのため、2017年にJAF公認イベントに出場するならば、「JAF国内競技車両規則2017年 第4編 付則」を参照した上で、自分が参加するイベントはどれに当てはまるかを確認しましょう。

また、JAF公認以外のモータースポーツイベント、あるいはオートテストなどJAF公認でも基準の緩いイベントではここまで厳格ではありません。

いずれにせよ、参加する前にイベント主催者の開示した規則書を熟読し、特に安全性に関する部分については、必ず主催者の指示に従わなければいけません。

 

まとめ

かなり堅苦しい話も書いてしまいましたが、実のところモータースポーツでもっとも大事なのは、「誰よりも速く走ること」でも「誰よりも確実にポイントを稼ぐこと」でもありません。

「確実にゴールして帰ってくること」と、「規則を守ること」です。

ゴールできない人はどれだけ速く走っても結果に繋がりませんし、帰ってこれなければ次のイベントに参加することもできません。

そして規則を守れない人は、結果的に他の人にも危険を及ぼしますから、参加をお断りしなければいけないのです。

その中でヘルメットは、他の安全装備と並んで、とてもとても大事な役割を果たしていると言えるでしょう。

たとえ遊びであっても、本気で遊ぶなら本気で安全性を高めなければならない。

モータースポーツもまた、「紳士のスポーツ」というわけです!

 

Writer Introduction
713R

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 現在はサザンサーキット(宮城県仙台市)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっています。http://www.713r-garage.jp/

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