モータースポーツに参加するには、おおむねどのくらいの費用がかかるのでしょうか。それは、その方の資金力などにもよりますが、一応の目安として規則書などからわかる範囲の費用を、カートを除く4輪車のエントリーイベントから解説します。

 

ネッツカップヴィッツレース2018関西シリーズ第2戦 / COPYRIGHT© TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

おそらく4輪モータースポーツでもっとも敷居が低いオートテスト

2018SUGOオートテストチャレンジシリーズ第1戦 / Copyright ©SUGO. All rights reserved

 

『オートテスト』とは数年前からJAF(日本自動車連盟)が敷居の低いモータースポーツとして勧めている競技で、1台ずつ決められたコースを走ってゴールするところは後述するジムカーナとちょっと似ています。

ただし走るだけでなく、決められた場所で停止しなければいけなかったり、ドリフトやターンは禁止などという点はジムカーナと大きく違う点。

また、競技中の走行速度もかなり低くなるようにコース設定がされているため、安全装備も『純正でいいからシートベルトを締めて、運転しやすい服装で』くらいの軽装備で参加可能となっています。

それゆえ「レース初参戦だ!」と意気込んでくると肩透かしにあうかもしれませんが、決められたコースを決められた通りに、正確に素早くゴールするのは案外難しいもので、日頃自分がどれだけ運転の基本を身につけているか、運転している車を理解しているかが問われる競技。

そんな、オートテストの参戦費用ですが、2018年は3回開催された『2018SUGOオートテストチャレンジシリーズ』の特別規則書を一例としました。

【参加費】

事前申込:4,000円(JAF会員3,500円)

当日申込:5,000円(JAF会員4,500円)

同乗者は事前申し込み1,000円 / 当日申込1,500円

もちろん車両費、ガソリン代、会場までの交通費などは別途かかりますが、ヘルメットやグローブを買う必要すら無く、極端な事を言えば当日いつも乗ってる車で出かけて5,000円払えば出場可能です。

だいたいこのオートテストが日本のモータースポーツにおける『初参戦の下限』かと思いますが、あとは主催者が会場を貸切るのにいくらかかるのか、運営のための人件費など諸条件で多少の上下はあるかもしれません。

 

車とドライバーの限界に挑戦する中で最安のジムカーナ

 

JAFカップ オールジャパンジムカーナ2016 / ©2019 Sumitomo Rubber Industries,ltd.

 

オートテストが『ドライバーの基本姿勢』を問うモータースポーツだとすれば、『車とドライバーの限界』を問うモータースポーツの入口に位置するのがジムカーナです。

1台ずつの走行なので『競争』はしませんが、設定されたコースを可能な限り速く効率的に走り、そのためならどのような走り方をしても構わないという意味では、オートテストより迫力があるかもしれません。

しかしその反面、当然車やドライバーの限界を超えてクラッシュや転倒といった事故がつきものになってきます。

通勤などに使用する車でクラッシュすると生活に支障をきたすので、きちんと損害保険をかけるなど、アクシデントへの対策を考慮した計算も必要です。

ここではその名の通り初心者向けジムカーナの『2018ビギナーズジムカーナin筑波』共通規則書を参考にしてみます。

【参加費】

10,000円

-ただし下記の条件で割引あり-

開催当日22歳未満および60歳以上:8,000円

EXクラス(地区戦入賞ドライバー):7,000円

はじめてクラス(未経験、超初心者など自己申告):7,000円

レディース割引(EX、はじめて以外):1,000円引き

当日参加受付:それぞれ2,000円増し

この種のJAF非公認イベントは、2017年まで筆者や仲間が主催していた『DCTMダイチャレ東北ミーティング』もそうでしたが、エントリー費の設定に柔軟性を持たせている上に、ステップアップ先を持たないので、”参加することに意義がある”エンジョイ系イベントと言えます。

ただし現状では、JAF公認の全日本ジムカーナ選手権がピラミッドの頂点となってしまっているのですが、『頂点に登ったからといって、その先に世界大会があるわけでも無い』という意味ではJAF非公認イベントと同じ状況で、これは日本のジムカーナ競技界が抱える問題でもあります。

ちなみにJAF公認ジムカーナは競技人口の激減により、地域によっては入門イベントが事実上壊滅。

いきなり全日本選手権以下の地区選手権が入門イベントという例もあり、筆者の住んでいる東北でも地区選手権と1ランク下のJMRC東北シリーズ戦はほぼ併催です。

ここでは2018年のJAF東北地区戦およびJMRC東北戦のうち、菅生スポーツクラブ(SSC)開催分の規則書を参照します。

【参加費】

14,400円(地区戦) / 12,400円(JMRC東北) / 9,300円(クローズドクラス)

クローズドクラスというのはJMRC東北戦に設定されており、JAFの競技ドライバーB級ライセンスを持たない選手でも参加可能なクラスです。

つまりクローズド以外は全て、最低でもJAFのB級ライセンスが必要であり、車両もJAF(あるいはJMRC)の定めた規則でガッチリ縛られているので、勝ち負けを考えて出場するなら、その車両が参加可能なクラスでどの程度のポテンシャルを持っているかがまず重要となってきます。

 

オフロードの一発勝負ならダートトライアル

 

全日本ダートトライアル第5戦 / ©2019 Sumitomo Rubber Industries,ltd

 

ジムカーナと同様のタイムアタック競技ながら、フカフカ・ドロドロの路面から硬質フラットダートまでとにかく非舗装路を走るのがダートトライアルです。

砂煙をあげたり泥まみれになってコースを走りきるマシンの姿に憧れ、まずここからモータースポーツを始める人もいるのではないでしょうか。

何しろ、ハンドルを切れば曲がり、ブレーキ踏をめば止まるという世界では無いだけに危険度はジムカーナとは比べようも無く、初心者なら速度も遅いから大丈夫かと思えば『カンどころを抑えないまま疾走』するので、普通にクラッシュするレベル。

そのため車両はオカワリ(買い替え)前提で、多少のダメージを受けても走りきり、激しくクラッシュして車が半分以上ペシャンコになってもドライバーは生還できるだけの装備が必須なので(最近ジムカーナも安全面に厳しくなりましたが)、参戦費用はやや高めとなっています。

時間は短くともスリル満点を求める人向きなダートトライアルですが、ジムカーナ同様の理由と、「オカワリしなきゃならない車両価格の高騰」など、参戦ハードルの高さによって、やはり競技人口は激減。

全日本の下はJMRCイベント併催の地区選手権のみという地区が増えているようです。

ここではJAF東北地区戦2018第7戦(JMRC東北ダートトライアルチャンピオンシリーズ第7戦併催)の特別規則書を参考にします。

【参加費】

13,000円 / クローズドクラスのみ10,000円

 

ラリーならトヨタ系のGAZOOでラリーチャレンジに出るのが安価

 

ラリーチャレンジ2017年第8戦 丹後半島  / COPYRIGHT© TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

舗装路も非舗装路も走り、距離も長く、ただ一発の速さだけでなく指定タイムを守るなど、モータースポーツのあらゆる要素が詰まっている競技がラリーです。

国内格式の場合はジムカーナやダートラと同じく、B級ライセンスのみで走れるのはありがたいところ。

ただし完走の事を考えず、張り切りすぎてクラッシュすれば、安全マージンの取られたコース内を走るイベントとは違い、公道を使った競技のため危険度もMAXなです。

それゆえ損害保険の類はかなり高額。

また、ひと言でラリーと言っても決められた地点でクイズなどの課題をクリアするタイプの『コマ図ラリー』や、ダカール・ラリーに代表されるような『アドベンチャーラリー』など種類は様々。

最もポピュラーなWRCのようなラリーは『スプリントラリー』と呼ばれ、その中ではプライベートな非公認ラリーを除けばエントリーイベントと言えるのが、トヨタGAZOOレーシングが行っているラリーチャレンジで、これも2018シリーズ規則書を参照。

【参加費】

(一般)37,800円 / (学生)32,400円

保険料は別途かかりますが、参考までに過去に同ラリーへ参加した人の例だと1戦あたり12,630円。

現在加入している任意保険の内容をラリー当日のみ変更する形だと、1戦2,540円という記録がありますが、審査にかなり時間がかかるようです。

それでも筆者が以前聞いた話では、もっと上級のラリー(全日本か国際ラリーかは忘れました)競技では、1戦20万円の保険をかける例もあるとかで、車種やイベント形式によっても変動します。

なお、ラリーチャレンジの参戦可能車両は基本がアクア、ヴィッツ1500(NCP91/131)、86で、その他トヨタ車、他メーカー車クラスも様々。

規則に適合するための改造費用がかなりかかるので、多彩な車の中から選べるのは有難いところです。

 

ベース車は安価なものの、MT車がだんだん入手しにくくなってきた東北660選手権レース

 

東北660選手権2018特別戦  / Copyright ©SUGO. All rights reserved

 

次は、サーキットイベントです。

これから何かレースに参加したい!というのであれば、コンパクトカーより安い軽自動車、それも新規格660cc自然吸気エンジン車に限定されたレースがもっとも安価でハードルが低いと言えるでしょう。

そんな660ccレースの発祥である『東北660選手権』の2018年大会規則では、参加費は以下のようになっています。

【参加費】

(SSCM:SUGOスポーツクラブメイト主催レースで、SSCM会員)17,500円

(それ以外)19,200円

年に1度の特別戦のみ、SSCM会員19,600円 / 非会員22,200円

レースの参戦費用としてはかなり格安で、当初はサスペンションや最低限の安全装備以外ほぼ無改造に等しい車両の参戦も認められていたのですが、そのルールも徐々にに厳しくなっています。

現在は見た目こそ軽自動車なものの、事故時に首のダメージを保護するHANSの装着が強く推奨(ジェットヘルの場合は義務化)されるなど、660レースも『本格レースを学ぶ登竜門』となってきました。

それゆえ「ちょっとイジった車で手軽に参戦」とはいかず、軽自動車のマニュアルミッション車も年々中古車のタマ数を減らしていることからも、参戦のハードルは年々上がってきていますが、致し方ないところでしょう(ATクラスもありますが)。

 

エントリーレースの定番、ネッツカップ ヴィッツレースはベース車が高い!

トヨタ ヴィッツGR SPORT “Racing””パッケージ  / Copyright(c) TOYOTA CUSTOMIZING & DEVELOPMENT Co., Ltd. All Rights Reserved.

 

かつてはトヨタ スターレットや日産 マーチ、スズキ アルトワークスにホンダ シビック、三菱 ミラージュと各メーカーが初心者向けの入門ワンメイクレースを設け、広くモータースポーツへの門戸を開けていましたが、今やその数も激減。

その中でもFFマシンを使ったワンメイクレースで生き残り、大規模に開催されているのが、トヨタのヴィッツレースです。

初心者入門レースと言えどJAF公認レースなので、まずはJAFの国内ドライバーA級ライセンスの取得が絶対条件となります。

また、現在は『ヴィッツGR SPORT “Racing”パッケージ』を新車で245万4,840円(北海道を除く、MT車)で買ってくるか、それ以前のヴィッツRSレーシングを購入する必要があります。

ちなみに、ヴィッツRSレーシングは中古車サイトを見ると128万円程度で見つかりますが、流通はほとんど皆無なので、上記車両を新車購入するか、レース屋などで売りに出ているものを探さなければなりません。

それらを踏まえてヴィッツレースの『参戦方法』を参照し、初回参戦費用の目安をまとめてみました。

【参加までの費用】

ライセンス取得:JAF入会金2,000円+年会費4,000円

Aライ取得までの費用:2012年以降はBライ持ちが公認競技に出るかJAF公認サーキットで25分以上走行、Bライ無しは50分以上スポーツ走行で『時価』

Aライ取得:20,000円(座学と筆記試験、旗の意味などを理解しているかの走行実技)

新車購入:ヴィッツGR SPORT “Racing”パッケージ:MT245万4,840円・CVT266万9,760円)

参加費:37,800円

他にレース保険や各種装備、メンテナンス、練習費用、消耗品、参戦のための交通費などはもちろん別途かかるので、車両込みで300万円ほどの費用が発生します。

そこを乗り越えることで初めて、本格的なハコ車の「レース」を楽しむことができるのです。

 

まとめ

 

今回は『日本のエントリースポーツ、初参戦費用』をまとめてみましたが、ここに書いただけでも初戦にたどりつくまで最低3,500円(オートテスト)から、約300万円(ヴィッツレース)までだいぶ幅があります。

中には300万円なら安いもんだ、何ならその上の86レースで始めようという人もいると思います。

また、カートから始めてフォーミュラにステップアップしようという人には全く無縁かもしれません。

モータースポーツへのアプローチの仕方は、100人いれば100通り!!

今回は「あくまで一例」。

モーサースポーツ参戦を考えている方は、是非参考にしてみてくださいね。

 

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