様々な新車に試乗したり自動車の記事を書き続け、古今東西のクルマを知り尽くした自動車雑誌の編集長がマイカーを選ぶ決め手は、いったいどんなポイントなのでしょうか?また、数あるクルマの中からなぜこの1台を選んだのか。そんな疑問を紐解く為の連載第4弾!今年で50周年を迎える老舗の月刊誌『CARトップ』の加藤 元章 編集長に、愛車であるスカイラインR33GT-Rの魅力を存分に語ってもらいました。
加藤編集長の簡単な経歴
名前:加藤 元章(カトウ モトアキ)
1982年 愛知県瀬戸市出身。
大学進学を機に上京。在学中は自動車部へ入部し、オイルまみれの学生生活をエンジョイ(?)する。
自動車部の先輩の紹介で、大学4年時にバイトでポジ整理やロケの手伝いなどから出版社に出入りするようになり、その流れで自動車雑誌の編集業務に携わるように。
大学卒業後は交通タイムス社に入社し、CARトップ編集部へ配属。
同社の『GT-R Magazine』へ異動。
2016年にCARトップ編集部へ戻り、2017年から同誌の編集長に就任。
現在36歳という若さのカトーさんは、いわゆるバリバリの”頭文字D世代”。
ご両親はクルマ好きではなかったそうですが、青年時代は自然とクルマ好きとなっていたそうです。
そんなカトーさんがクルマにベッタリとハマっていったのは、やはり大学の自動車部に在籍してから!
同じ大学のOBにラリーストで自動車ライターの三好 秀昌氏などがいて、部のイベントにゲストで来てもらったり、精力的に活動していたようです。
そして偉大な先輩達の影響や、出版社でアルバイトをしている経緯もあり、以前から興味を持っていた雑誌の世界に飛び込む事を決意しました。
加藤編集長の愛車遍歴
CARトップ編集部に配属され、様々な新車に乗り続けてきたカトーさんですが、実は(だからこそ?)これまで所有してきた愛車は数えるほどなのだとか。
「初めて買ったクルマは大学在学中に買ったNAの初代MR2(AW11)です。
程なくして部品取り用に不動のスーパーチャージャー付きの後期のAW11が出てきたので、これも購入したのですが、若気の至りでNAの方を直ぐに全損させちゃって……(苦笑)。
部品取りのMR2はドライブシャフトが折れちゃってて動かなかっただけだったので、先輩に手伝ってもらいながら直して、そっちに乗り続けていました。
そして、これもまた若気の至りでスバルのWRブルーに自家塗装でオールペンしたりしたのですが、社会人になった20代もずっとこのクルマを所有してたんですよ。
それで、このR33を手に入れた際にMR2は売りました。」
これまでの愛車はMR2(AW11)が2台と、このR33の3台というカトーさん。
それではカトーさんはなぜ、R33を選んだのでしょうか?
「自分でもまさかGT-Rを買うとは思っていなかったのですが、GT-Rマガジンに携わるようになって、恥ずかしながら当初はあまりGT-Rに詳しくなかったもので、もっとよく知りたいなという気持ちもあって購入したんです。
半分仕事みたいな目線もあったので、なるべく純正に近いものにこだわってクルマを探しました。
どちらかというとカスタムされたオーナーさんのGT-Rを取材することが多かったので、まずはノーマルを知っておかないとオーナーさんと語れないですからね。
R32、R34、R35は編集部で所有しているクルマがあったのですが、R33だけはなかったので、マイカーとしてR33を購入した、という理由もあります。
でも、R33を買った途端にGT-RマガジンからCARトップに異動になっちゃったんですよね(笑)。」
加藤編集長のR33をチェック!
過去にはGT-Rマガジンに在籍し、GT-Rをこよなく愛するカトーさんのR33はやっぱりスゴいクルマでした。
という事で、ここからは少し細かくカトーさんのBNR33をチェックしていきます。
GT-Rに乗りたいなら、R33がオススメ!
国産車の中でも、もはや神格化されてると言っても過言ではないほどに強いブランド力を持つ『GT-R』というクルマ。
日本のクルマ好きにとって、どこか特別な存在であることは間違いありません。
かくいう筆者もそこまで詳しくはないですが、常に心のどこかで気になる存在ではあります。
そんな心のモヤモヤを紐解くせっかくの好機なので、カトーさんにGT-Rの素晴らしさを存分に語っていただきました。
「やっぱりGT-Rというクルマは闘いの中から生まれた血統ですので、基本的にはドライバーを”その気にさせる”んですよね。
自然と肩に力が入っちゃうというか、目が三角になってしまうというか。
特にR34なんかは超体育会系な感じです。
ボディ剛性が高いから余計そうさせるんですが、98年デビューとかなのに全然古さを感じさせない、本当にしっかりとしたクルマです。
逆にR32は、いま改めて乗ると「やっぱり古いなー」って感じです。それがまた良いんですが。
R33って他のGT-Rに比べると人気が無いのですが、ル・マンやN1耐久などに参戦していますし、作り手の気合いが入っているクルマなんですよ。
ただ乗ってみて感じたのは、どちらかというとグランドツアラー寄りというか、乗り手に優しいクルマだなって思いました。
ステアリングを握ると思わず笑みが溢れるような、そんな感じです(笑)。
長く付き合うのであればR33がオススメです!
GT-Rは人気の車種なのでパーツが豊富な点はオーナーとしてはありがたいですね!
特にR33は人気がないので、純正パーツが当時の値段で在庫されていることもあります。
R32、R34はその手のパーツも高騰しちゃってるので、R33はそういう点でもオススメです!
とはいえ、愛とお金が無いと乗り続けられないクルマであることは念を押しておきますが……。」
やっぱりGT-Rはお金がかかる子なんですね……(笑)。
「うーん。付き合っているウチにだんだんと体力を吸われる感じですかね(笑)。
とあるGT-Rオーナーさんを取材した際に感銘を受けたのですが、「やれないことよりも、何事も出来る前提でやってみよう」ってその方はおっしゃっていて。
普通に家庭もあって、お子さんもいるオーナーさんだったのですが、見事に趣味も両立されている姿をみて、「言い訳はイカンイカン」と思いました。
実はそんなこともあってR33買ってみようと決意したんですよね。
当たり前と言えば当たり前なのですが、お金をかける分キレイになっていくし、私は貯金だと思ってスカイラインにお金を使うようにしてます(笑)
もしGT-Rに強い憧れがある方にアドバイスをするならば「とりあえず買ってから考えちゃえ!」という所ですかね(笑)。
自分もそうでしたが、勇気を出して買ってみて、意外となんとかなってます。
買っちゃえば意外となんとかなるものですよ!
……ってアドバイスになってないですかね(笑)。」
CARトップってどんな本ですか?
1968年創刊のCARトップは、今年50周年を迎えた老舗の自動車専門雑誌です。
「幕の内弁当みたい。」とカトーさんがおっしゃる通り、新車情報からモータースポーツや、旧車を振り返るコラムまで内容はバラエティに富んでおり、どんなクルマ好きもお腹いっぱいに満足できる1冊となっています。
競合他誌と比べて若干”走り系”に寄っているのが特徴で、伝統の筑波テストは今年で37年目を迎える同誌の名物企画。
筑波サーキットを貸し切って軽トラからスポーツカーまで、とにかく新車を走らせてその運動性能をテストしているのですが、これまでにテストした車両は1000台以上にも登ります!
また自動車雑誌ながら、表紙にはその時代を彩る女性を起用しているのも同誌の特徴で、書店などで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
過去に表紙を飾った女性の中には山口百恵さんや工藤静香さん、仲間由紀恵さんなどの姿もありました。
まとめ
今回はCARトップのカトー編集長にGT-Rの素晴らしさを語って頂きました!
他に比べてR33がオススメなのは、乗り手に優しいクルマである点、パーツ代もお手軽な点、そして何より”GT-R”だという点だそうです。
そんなカトーさんのGT-R愛に少しだけ圧倒されつつも、終始クルマトークで盛り上がる楽しい取材となりました。
また、取材後は近くの駅までR33で送って頂いたのですが、その車中では若い世代のクルマ好きならではの話にも。
「意外と若い子って、それこそR32GT-Rとか初代NSXみたいな古いクルマも好きですよね。
なので、そういう世代も意識しつつクルマ好きが好きそうな’80年〜’90年代くらいの名車を振り返る連載も、カラーでちょっとページを多く取ったりしています。
その他にも自動車大学校に潜入して、整備の道を志す若い子に直撃する連載も行なったり、若い世代に人気で”実はクルマ好きだ”という芸能人の方に誌面にご登場頂いたり……色々と企画を練っている最中です。
正直自分がCARトップの編集長に任命された時はプレッシャーも感じていたのですが、せっかくならば自分らしく、自分にしかやれないことを精一杯やろうと思って!!
この素晴らしい日本のクルマ文化を次の世代へ伝えていく仕事が出来たら良いなって思っています。」
業界を代表する1冊なだけに、次の世代へクルマの楽しさを伝えることも使命であるとカトーさんは考えているようです。
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