中古車の購入時に、車の状態を判断する基準のひとつになるのが「修復歴」の有無。しかしこの言葉だけでは、どこをどう修復しているか分からないという方も多いと思います。またもうひとつ、「事故車」という言葉もありますが、これと修復歴ありとの違いはどういった点なのでしょうか。

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「修復歴あり」とは、どんな状態の車をさす言葉か

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一般的に中古車販売店では売られている車は、状態によって「修復歴」ありとなしとに分けられています。

この修復歴というのは「一般財団法人 日本自動車査定協会」の設けた基準に沿って設定されており、その定義は「自動車の骨格(フレーム)部分を交換、または修復したかどうか」です。

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ただし修復歴ありとされるのは、フレームの溶接接合された箇所を交換、または修復した車であり、その他のネジ止め部分を交換していても修復歴ありとはなりません。

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また例外もあり、「ポルシェ911(Type964)」のように構造上、車体ボトムのフロントパネルとフロアパネルを軽く擦っただけで修復歴ありになってしまう車も存在します。

そのため基本的には、車の強度を維持する部分ではないバンパーやフェンダー、ドアなどを損傷・交換しても修復歴ありとはされず、フレーム部分にダメージは及んでいないと考えられます。

事故車は一般用語であり、自動車業界では使われない言葉

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一方の「事故車」とは、「交通事故に遭ったり修理が必要になったりした車」を表す言葉であり、自動車業界以外で使われています。

つまりは先の修復歴ありの車だけでなく、修復歴なしに該当する車も自動車業界以外では事故車と呼ばれているので、この言葉は事故に遭ったり修理が必要になったりした車を大雑把に形容する言葉だといえるのです。

そのため中古車を購入する際は、修復歴のあり・なしに注目すればよいということになるわけですが、後述するように修復歴の有無だけでは車体の安全性を確認できないといった場合も存在します。

修復歴ありの車を購入するメリットは?

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では、修復歴ありの車を買うメリットはあるのでしょうか。

近年は修復技術の向上により、オートオークションで流通している修復歴ありの車の走行性能には、問題のないものが多くなっています。

修復歴ありの車のほうがそうでないものよりも、値段は数十万円単位で安くなっているので、場合によってはよいクルマを少ない費用で手に入れられてお得にも見えます。

しかし価格面で非常に安くなっているということは、それだけデメリットが付随しているということ。

先に述べたように、修復歴ありの車はボディの強度を支えるフレームが損傷し、それを修理・交換する必要が出た車両だということです。

損傷の度合いや修復に掛けられた費用によっても異なりますが、一度骨格に及んだダメージを、なにも問題のなかった頃と同じ状態にまで回復させることは、非常に困難。

修復歴ありの車のほとんどは、走行中にハンドルをとられて真っ直ぐ走らなくなるという後遺症に見舞われており、安価な値段に惹かれて購入したとしても事故に遭う可能性が増加することも。

また整備工場によって「フレーム修理が必要」と判断されたとしても、元オーナーの加入していた保険会社が「フレーム修理の必要なし」としたことで骨格の修復がなされず、修復歴ありの扱いにならなかった車もあります。

ほかにも事故によって深刻なダメージを受けた車でありながら、修理が十分に行われていないことが再販まで確認さず、走行中にエンジンが落下したという例も。

そのため修復歴ありの車を買うメリットはあまりなく、たとえ修復歴なしとされていたとしても、購入前にエンジンを始動してコンディションの確認や試乗が必要だといえます。

まとめ

今回は修復歴ありと事故車という、ふたつの言葉の違いを説明しました。

先に述べたように近年の中古車の修復技術は上がっているものの、それでもフレームにまでダメージの及んだ車を購入するメリットはほとんどありません。

また、たとえ修復歴なしと書かれていたとしても、実際はフレームを修理・交換しているケースもあり、修復内容が不十分なこともあるので、確認を怠ると思わぬ落とし穴にはまってしまうことも。

中古車を購入する場合は、必ず車のコンディションや内外装の確認を念入りに行い、購入後に起こる予想外のトラブルを避けるようにしてくださいね。

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