4代目ジムニー(JB64型)が登場し、注目がJB64に集まる中でも根強い人気を誇るJA11ジムニー。JB64がJA11を彷彿させるデザインとなっていることからも、さらに支持を集めるようになりました。そんなJA11をこれから購入する場合、いったいどのような点に注意すべきなのでしょうか。ジムニーのプロに、注意点などを聞いてみました。

©Motorz

古くてもまだまだ現役!JA11ジムニーを選ぶ注意点とは

©Motorz

JA11やJA12ジムニーは中古車市場でも人気が高く、タマ数が減るにつれて相場価格が上昇しています。

なかでもJA11の魅力は、現代のクルマよりも搭載されている電子制御が少なく、かなりスパルタンな乗り味となっている点です。

しかし、JA11の販売期間は1990~1995年と、25年以上も前に販売されていたクルマなので、車体各所の劣化が進んでいます。

そのため中古車を購入したくても、どの車両を選んでいいのか悩んでしまうのが現状です。

高いお金を払えば状態の良いものが購入できますが、そうなるとJB64を買ったほうが良いのでは?との迷いも出てくるかもしれません。

ある程度安く、そしてトラブルの少ない中古車を手に入れるには、どんなところに注意すべきなのでしょうか。

そもそもJA11とは

JA11 / © SUZUKI MOTOR CORPORATION.

JA11は、2代目ジムニーのなかでも1990年から1995年の間に販売されたモデルです。

それまでは軽自動車規格の550ccだった車体を、法改正により初めて660ccに改良されたジムニー。

ちなみにジムニーはその後、1年ごとに改良が施され、1型から5型までに分けられます。

JA11-1型1990年3月~ (車体番号:JA11-100001〜)
JA11-2型1991年6月~ (車体番号:JA11-150001〜)
JA11-3型1992年7月~ (車体番号:JA11-200001〜)
JA11-4型1994年4月~ (車体番号:JA11-280001〜)
JA11-5型1995年2月~ (車体番号:JA11-320001〜)

©Motorz

今回、JA11について教教えて頂いたオフロードサービスタニグチは、1983年創業の老舗ジムニー専門店。

オリジナルパーツの開発・販売を手掛け、全国にファンがいる名門ショップです。

そして今回の教材車は、オフロードサービスタニグチが手掛けたJA11ベースのデモカーです。

JA11の錆びやすいところは

©Motorz

ジムニーは、オフロードをハードに楽しむ方が多いので、中古車を選ぶ際には通常のクルマではチェックしないようなところにも、気を配る必要があります。

そのなかで、最も注意したいのは錆。

と言っても、ある程度年数が経っている車両となるため、妥協すべき錆も存在します。

錆びている箇所が、直せる部分か直せない部分かという要点を抑えておくべきです。

細かいところでは、ワイパー、ドアのヒンジ部分、ミラーのステーなどが錆びやすいパーツなのですが、これらは修復可能な部分。

一方で、タイヤハウス内は錆がひどくなると穴が開いていることもあり、板金で直すことはできますが、後から錆がさらに広がっていく場合もあり得ます。

また、メインフレームの錆がひどいと、気付いた時には既に修復不可になってることもあるそうです。

©Motorz

そのため、タイヤハウス内や車体の下を覗き込んで、錆や腐食がひどくないかをまずは確認しましょう。

同時に、オイル漏れやグリス漏れなどについても、チェックしておくと良いでしょう。

オールペンされているクルマには注意

©Motorz

中古車にはオールペイントで塗装してあるクルマもありますが、見た目がきれいでも、錆びをパテで埋め、その上から塗装されているということもしばしば。

そんな車両は、ボディの内部は錆びだらけなんてこともあり得ます。

一番安心できるのは純正カラーのままですが、25年以上の車両なので贅沢は言えません。

では、オールペンされているクルマでは、どのような点に注意しなければならないかというと、表面に凹凸があるものはパテで埋められていたり、素人がオールペンした可能性があるので要注意。

素人目からは難しいかもしれませんが、晴れた日に角度を変えながらボディを見て、凹凸がないかなどをチェックしておきましょう。

足回りのフロントハブは動くか注意

©Motorz

足回り系での注意点は、ブッシュ類です。

リーフスプリングのブッシュの割れや潰れは肉眼で確認可能。劣化により、ブッシュの表面がポロポロ落ちるように剥げてしまうことがあります。

この辺りのパーツは消耗品と割り切って、購入後に即交換しても良いでしょう。

オフロードサービスタニグチでは、自社製のウレタンブッシュが用意されています。

©Motorz

フロントタイヤのセンターハブがしっかりと動くかも、確認してみましょう。

JA11の二駆・四駆の切り替えは、フリーホイールハブをFREEでLOCK、シフトをNにしてトランスファーレバーを2Hから4Hに切りかえることで、四駆へ変わります。

フリーホイールハブがしっかりと回り、かつ実際にロックされて四駆になるかをチェックしましょう。

このトラブルは比較的多く、前オーナーが街乗りばかりで二駆のまま、四駆に入れていなかった場合などは固着して、回らないことがあります。

装着パーツが車検対応なのか要注意

©Motorz

カスタム車では、パーツが多く付いていたほうがお得感がありますが、その車両が車検に対応しているのかをしっかりと確認するべきです。

知識のない方が、車検対応か非対応かを気にせずにパーツを取り付けていることがあり、購入後の車検時に全部取り替えざるを得なくなるパターンも多々起こります。

迂闊にカスタム車に手を出さず、取り付けられたパーツそれぞれが車検対応なのかをしっかりチェックしましょう。

以前、オフロードサービスタニグチでは、リアシートを後ろにずらせる商品を販売していましたが、途中で車検非対応となり、リアシートスライドのパーツを取り外さなければならなくなりました。

このように、以前は取り付け可能だったのに法改正により車検非対応になったパーツもあるため、社外パーツには要注意です。

エンジンルームの注意点とは

©Motorz

エンジンはボンネットを開いてから、ホース系に破れがないかや、エキマニにヒビや割れがないかをチェック。ディストリビューターの劣化にも注意しましょう。

©Motorz

見分け方は、ディストリビューターが真っ白になっていれば、かなり古いため交換が必要になる可能性があります。

さらにベルト類の交換履歴や、プラグ交換、エンジンオイルの交換が定期的に行われていたかを確認してみましょう。

記録簿が残っていれば、過去にブローしたことがないかやタービン交換をしていないかも要チェック。

エンジンオイル交換の履歴は、オイル交換シールで確認可能ですが、残っていない場合はオイルレベルゲージで調べられることもあります。

オイル交換が定期的におこなわれなかったクルマは、エンジンオイルの温度も上がりやすいので、レベルゲージに茶色い焼けのような変色がみられます。

内装は天井やシート下に注意

©Motorz

内装の注意点は天井の内張りが破れていないか、ドアストッパーバンドがちぎれていないか、運転席・助手席のマット下がきれいかなどです。

運転席と助手席のフロアマットをめくり、さらに内張りを剥がして確認もできるので、そこから見えるフレームの錆がないかをチェックしましょう。

©Motorz

ラゲッジルームも、ラゲッジマットを剝がしてフレームの錆びていないか、特にリアのタイヤハウス部分が錆びていないかを要チェック。

フレームが錆びて、最悪穴が開いてることもあるため、そのようなクルマには注意しましょう。

また、リアのガラス窓縁のウェザーストリップは劣化しやすく、破損や破れがあると雨水が入ってきます。

リアのガラス窓は開け閉めが可能なため、開けたり閉めたりを繰り返し、ウェザーストリップの状態をチェックすることが重要です。

シフトノブのグニャグニャ感をチェック

©Motorz

シフトノブをニュートラルに入れ、前後左右へグニャグニャと動かないかをシフトノブを動かしながら確認することも重要です。

また、クラッチを踏んでみて、それぞれのギアにキチンと入るかもチェックしましょう。

ミッションが動かず、特定のギアだけ入らないなんてこともあるため、入念なチェックが必要です。

まとめ

今回紹介した注意点をまとめると、以下のとおりです。

・タイヤハウス内とメインフレームの錆がないか
・車体がパテ埋めで補修されオールペンされていないか
・足回りのブッシュ類の劣化がひどくないか
・フロントタイヤのセンターハブが動くか
・内装のシート類や内張りの下の錆がひどくないか
・カスタムされたパーツが車検対応なのか
・エンジンのオイル、ベルト類のブロー履歴をチェック
・ディスビローターの劣化
・シフトノブのグニャブニャ感がないか

JA11ではなく兄弟車のJA12やJA22(1995年11月~)を選ぶ場合ば、大きく異なる点がJA11だとリーフサスペンションだったのが、JA12ではコイルサスペンションへ変更されている点です。

そのため、ダンパーの抜けやコイルのヘタリをチェック項目に入れておくことが無難となります。

しかし、今回紹介したJA11のチェックポイントと同じ部分を確認してもらえば、ほとんどの場合は問題ないでしょう。

オフロードショップタニグチ / ©Motorz

車体が古いため、購入後から調子よく走ってくれるとは考えず、修理しながら乗ることを考えなければならない車両です。

その点を考えると、トラブル時に対処してくれるジムニーに詳しい専門ショップをあらかじめ探しておくことが重要です。

そうすれば、古くなったJA11とも十分に長く付き合うことができるでしょう。

オフロードサービスタニグチ
住所:〒679-2122
兵庫県姫路市豊富町御蔭1110-2
TEL:079-264-4455
FAX:079-264-6162
営業時間:10:00~19:00
定休日:毎週水曜日/第1・2・4・5土曜日/第3日曜日
ホームページ:https://www.ors-taniguchi.co.jp/

Motorzではメールマガジンを配信しています。

編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?

配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!