軽中古車市場で根強い人気を誇るスズキ ジムニー。新型JB64の登場で乗り換えユーザーが増えたことにより、JB23型が中古車市場で多く出回っています。しかしジムニーは普段の足としてだけではなく、林道やオフロードを楽しむユーザーも多ため、中古車の状態を見極めるうえで、特有の注意点がいくつも存在します。具体的には、どういったところをチェックすべきなのでしょうか。ジムニーのプロに、JB23型ジムニーの中古車を購入する際の、正しい選び方を聞いてみました。
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根強い人気JB23ジムニー!他の軽とは異なる注意点とは?
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中古車のジムニー市場は、JB64ジムニーが登場したことで乗り換えユーザーが多くなり、旧型となるJB23ジムニーの中古車が多く出回るようになりました。
JB23は約20年生産されたロングセラーモデルであるため、JB64の登場後も相場価格は下がっていません。
といっても、豊富なタマ数が流通しているため数万円で購入できるものから新車同等価格なものまでさまざまです。
しかも、趣味でオフロード走行をするユーザーも多いため、ダメージを受けた車体も存在。なかには、外はきれいでも中身は痛みが激しいものまで潜んでいます。
そんなJB23ジムニーの中古車について、ジムニー専門ショップ『Rainbow Auto(レインボーオート)』の代表、横尾さんに聞いてみました。
選ぶなら7~10型の後期モデル
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横尾さんは独立前に、ジムニーを取り扱う中古車店で長く働いていたことがあり、毎月40~50台のジムニーを販売していた経験を持つ、ジムニーのスペシャリストです。
そして今回の教材車は、ホワイトカラーの9型と今後解体予定の3型の『KANSAI』の2台。
KANSAIはファッションデザイナーの山本寛斎氏が内装・外観をプロデュースした特別仕様車です。
JB23ジムニーは、細かい改良やマイナーチェンジを繰り返した1型から10型までが存在し、前期を1~4型、中期を5~6型、後期を7~10型と大まかに分けることができるのですが、型によって全く別のクルマと言っていいほど異なります。
もちろん新しくなればなるほど性能は上がっており、後期型に至っては改良が進み熟成されたモデルであるため、JB23型を購入するうえで一番おすすめのモデルです。
一方で前期や中期が悪いということはなく、劣っているところは後期の部品を使用することで、対策や強化ができます。
しかし、前期や中期は錆に弱い部分があるので、程度の良いクルマを探すほうが困難かもしれません。
ちなみに、後期にあたるのは2008年6月以降の年式で、初期と中期型・後期で大きく異なるのはトランスファーの四駆の切り替えが、初期型はレバー式、中期・後期型がボタン式という点です。
ボタン式のトランスファーに変更されたと同時に、日常生活での走行に適したギア比も改善されました。
エンジンの制御は1~6型まで基本的には同じものが使用されており、後期型は制御とエンジン本体の改良がおこなわれています。
初期型は、JA11/12に搭載されていたF6A型エンジンが採用され、「ちょっと重い」という意見も聞かれますが、後期型のF6Aエンジンは改良後の最終スペックなので、頑丈なだけでなく比較的軽やかに坂道発進をすることが可能です。
メインフレームの錆には要注意
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JB23の中古車を選ぶ際は、基本的に外装はきれいなものにすべきです。
エンジンからのオイル漏れがある、足回りに異音があるなど、修理が必要なものは直せばなんとか元通りになるのですが、ボディの錆や腐食に関しては、修理は困難。
JB23は錆びやすい部分がいくつもあり、前期型では防錆のアンダーコートの量が少なく、改良するごとに防錆剤の量が増やされているため、後期型は前期・中期型に比べてアンダーコードの量が、かなり増量されています。
錆びやすいポイント1:フェンダーハウス内
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特に塩害や凍結防止剤による影響をうけやすいフェンダーハウス内が錆びやすく、ひどくなればボディとフレームが完全に剝がれてしまうことも!!
こうなると修理はパネル交換になるので、部品代や工賃などをトータルすると、高額すぎて現実的とはいえません。
コスト的に修理は現実的ではないので、中古車を選ぶ際は念入りにチェックしましょう。
錆びやすいポイント2:メインフレーム
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メインフレーム自体も腐食しやすく、触ると腐食した鉄が剥がれてしまうような錆び方は、かなり重症です。
また、表側が錆びていないのに裏側には大きく穴が開くほど錆びていたケースも存在。
こうなると、フレームとしての強度が担保できず、ジャッキで上げるとフレームが真っ二つに割れてしまい、ドライバーを刺せば貫通するぐらい軟弱化しています。
中古車購入後にフレームの錆・腐食に気付くケースも多く、これを修理する場合、10万や20万で直せるものではありません。
下回りを覗いて、フレームの錆を十分に確認しましょう。
錆びやすいポイント3:足回り・ホーシング周りリアマフラーの直上
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さらに錆びやすいところを挙げると、足回りやホーシング周り、リアマフラーの直上です。
マフラーで隠れていて見えにくいため、よく覗いて確認しましょう。
錆びやすいポイント4:ラゲッジスペース
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外装だけでなく、内装からも錆やすいところは確認可能。
リアゲートを開けてラゲッジスペースのカーペットをめくると、下部の錆を見ることができます。
ここを確認してみると、鉄が朽ちてなくなってしまっい、下が見えてしまっているケースも存在するため、工具なしで簡単に確認できるところなどで、欠かさずチェックしましょう。
修復歴なしは本当!?修復歴有る無しの見分け方
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JB23型ジムニーは、オフロード走行によって酷使されていることが珍しくありません。
そんなクルマは極力選びたくはありませんが、外がピカピカでわからないことも多々あります。
外装がきれいで修復歴がないとされたクルマでも、実際は板金やフレーム修復がなされていることも珍しくないのです。
そのため、本当に修復歴がないのか、また修復歴があった場合は、どれほどのダメージでどれだけ修復されているかを確認しておきましょう。
まず、フロントからぶつかってしまっている場合ですが、従来エンジンルームの前方のボディ色とは異なるグレーで塗られている場所が、ボディ色で塗装されていれば修復を疑うべき。
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ヘッドライトの内側に、シワや錆・腐食がないかもチェックしましょう。
オイル漏れは許容範囲、エンジンのチェック箇所は
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エンジンの状態は、走行距離が少なく、オイル漏れのないものが最も理想的です。
そのため、多走行距離車や低年式車は、エンジンの状態にも気を付けなければなりません。
オイル漏れは、エンジンルームから見える範囲でエンジン全体を見渡し、エンジンが油で汚れていないか、パーツ同士の継ぎ目などを見て確認しましょう。
オイル漏れは修理ができるため、オイル漏れ車両を購入する際は、納車前に整備可能かを中古車店に確認し、直してくれる場合のみ、購入を検討してもいいでしょう。
実際に試乗して、エンジンの調子を判断することも賢明です。
専門店であれば試乗可能なお店が多いため、めんどくさがらずに試乗して、エンジンの状態や加速、シフトの入り方を確認しましょう。
発進が重かったり、アイドリングが乱れる、確実に加速が遅いと感じるのであれば、何かしら問題があると判断するのが賢明です。
初めてJB23に乗る方は、どれほどの速さかわからないため、専門店でいろいろな型のJB23型に乗り比べ、前期型と後期型の違いを把握しましょう。
マニュアル車は、シフトアップやシフトダウンが全変速でスムーズに行えるか、ギアとギアのつながりに違和感がないかを確認し、トランスミッションの状態をチェック。
クラッチが重かったり、つながるまでにタイムラグがあるといった場合は、クラッチが摩耗しきっていることが考えられるため、大体6~8万円をかけて、クラッチのオーバーホールをすることが必要となります。
オートマはマニュアルより軟弱なイメージを持つ方もいると思いますが、ジムニーの場合はオートマトランスミッション自体が頑丈にできているため、オートマを積極的に選んでも良いでしょう。
エンジンチューニング車の注意点とは
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エンジンのカスタムとして、吸気系に社外パーツが装着されていることも多々ありますが、購入する場合は、できるだけノーマルに近いクルマがおすすめです。
社外品装着車を購入する場合は、その社外メーカーの把握ができている上で、自らがカスタムしたい方向性にあっている内容なら、購入することもアリでしょう。
しかし、メーカー不明の部品が装着されている車は、避けた方が無難です。
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純正コンピューターの書き換えや、社外のサブコンが装着されたJB23型は、ブーストアップされていると、10万~13万キロでエンジンのオーバーホールが必要です。
エンジンのオーバーホール費用は、リビルトエンジンの載せ替えで、通常40万円くらいですが、相当なエンジンチューンが施されたものでは、100万円を超えることもあるため、注意してください。
リフトアップ車の注意点とは
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リフトアップされたJB23型の場合は、車高が上げられている分、乗り降りをする際に、身体とこすれやすいシートの隅が痛みやすくなっています。
長く乗られた車両は、シート隅の生地がほつれていることが多いため、気になる場合は交換が必要です。
また、リフトアップに使用されたサスペンションがどれほどの期間、使用されていのたかも、実際にはわかりません。
試乗してみても、ダンパー抜けやバネコイルのヘタリといった、素人には判断しずらいポイントも多いため、車体を外から見て、車体が傾いると感じたら、避けることをおススメします。
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JB23型は、ドライバーが座ったときにクルマが水平になるように右側の車高が若干上げられています。
そのため、車両の正面から見て、運転席側から助手席側に向けて若干傾いていていても問題はありません。
しかし、バネのへたりでフロントだけが沈んでいる場合などが多いので、車体を見て水平になっているかを確認しましょう。
まとめ
中古車両の見極め方は、以下のとおりです。
・タイヤハウス・フレーム・トランクスペースの錆や腐食をチェック。
・修復歴は要チェック。特にボンネットを開けて、ヘッドライトの後ろ側をチェックしましょう。
・試乗してエンジンの調子をチェック。パワー不足やクラッチの重さ、繋がるポイントを確認しましょう。
・シートのヘタリをチェック!内装はなるべくキレイなモノを選ぶと満足感がUPします。
・できるだけ新しい型を選ぶ!2008年式の7型以降がおすすめです。
JB64型の価格帯の相場は、激安から高額まで幅広いため、自分の予算と今回紹介したチェックポイントに注意して、楽しいジムニーライフを送ってください。
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