飲酒運転は、絶対にやってはいけない犯罪行為です。これまで、飲酒運転をしたドライバーによって、多くの人の人生が狂わされてきました。では、お酒を飲んでから何時間後なら運転してもよいのでしょうか。それは年齡や性別によって、変わってきます。
掲載日:2020/03/27
飲酒運転を回避するために
平成23年5月1日から運送業者に対し、ドライバーへのアルコール検知器を用いた検査が義務付けられました。
しかし、飲酒運転を根絶するためのさまざまな対策が講じられてはいるものの、飲酒運転による悲惨な事故は後を絶たず、多くの人命が失われています。
2011年5月、広島市安佐南区の県道で、当時高校生だった女の子が飲酒運転の軽自動車にはねられ、死亡しました。
2018年9月には元モーニング娘の吉澤ひとみ氏が飲酒運転をし、赤信号を無視して交差点に突っ込み、男女2人に軽傷を負わせて逃走。
また、2020年1月16日には岩手県の県幹部が飲酒運転で死亡事故を起こし、3月2日には、神奈川県伊勢原市の東京消防庁所属の男性が、飲酒運転で信号を無視して民家の石垣や信号機に衝突しました。
このように飲酒運転はドライバーも、他の人の人生も狂わせてしまうものであり、絶対にしてはいけない犯罪行為です。
そんな飲酒運転をしないために気をつけるべきことは、「お酒を飲んだら運転しない」ということ。
しかし「飲んだら乗るな」とは言っても、もちろん、ずっと運転してはいけないという訳ではありません。
体がアルコールを分解し、アルコール摂取による中枢神経の麻痺が解消されれば、運転してもよいのです。
ただここで問題なのは、“飲酒の何時間後なら運転してもよいのか”です。
なぜ飲酒運転は、事故を起こしてしまうのか
なぜ飲酒運転をすると、事故を起こしてしまうのでしょうか。簡単に解説しましょう。
人体には大脳、脳幹、小脳、脊髄で構成される中枢神経があり、体全体に張り巡らされた末梢神経へ命令を送る役目を担っています。
この中枢神経はアルコールを摂取することによって麻痺し、認知能力や運動機能、集中力など、運転時に必要な能力や平衡感覚が鈍り、とっさの判断ができなくなってしまうのです。
この状態で運転をしてしまうと、瞬時に的確な判断ができないばかりか、運転自体が乱暴になるので、事故を起こしやすくなってしまいます。
アルコール分解能力は人によって異なる
健康総合企業、タニタが行った、飲酒習慣がある20~69歳のドライバー800人と、社員が社用車を運転する企業の役員・経営者を対象とした調査では、約4割以上の人が、“アルコールが抜ける時間を知らない”という結果が出ています。
とはいっても、アルコールが体から抜けるまでの時間は一定ではなく、年齡や体格、体質や体調、性別などによって異なっており、一概にはいえません。
たとえば体重が60kgの人の場合、350ml缶のビール1本で2時間半、500ml缶ビール1本で3時間半かかり、日本酒だと1合で3時間半、2合だと7時間、3合で11時間ほど。
また、高齢になると肝臓の代謝機能が衰え、アルコールを分解するための時間が長くなるので、高齢になればなるほど時間を空ける必要が出てきます。
一般的にアルコールが抜けるまでの時間を算出するには、「純アルコール量(g)÷(体重×0.1)=アルコール処理に要する時間」の公式が用いられ、純アルコール量は酒中に実際に含まれるアルコール量を示す数値であり、「アルコール含有量(g)=お酒の量(㎖)×お酒の度数(%)×0.8(アルコール比重)」の公式で算出可能です。
なお、日本酒1合に含まれる純アルコール量は21.6gですが、この純アルコール量は、他のおもな酒類だと以下のようになります。
- 度数5%のビール500ml:20g
- 度数7%の缶チューハイ350ml:20g
- 度数43%のウイスキー60ml:20g
- 度数14%のワイン180ml:20g
- 度数25%の焼酎0.6合:20g
たとえば、度数5%のビール500mlの純アルコール量を求める場合は上記の公式に当てはめて、「500×0.05×0.8=20」となり、純アルコール量は20gになるというわけです。
体重65kgの人がこの20gのアルコールを分解するのにかかる時間は、「20÷(65×0.1)=3.0」で、3時間かかることになります。
ただし先に述べたように、年齡や体格、体質、体調や性別などによってアルコールの分解速度は異なるので、上記の公式で導き出せる時間はあくまで“目安”です。
計算で導き出した時間を過ぎたとしても、アルコールが抜けていないこともあるので、注意しましょう。
まとめ
飲酒後にどれだけの時間を空ければよいのかは、個人差があるので、“朝一番に飲酒して夜に運転する”などはせずに、飲酒した日は運転をしないようにすることが大切です。
また睡眠時のアルコール分解速度は遅くなる傾向があることから、“深夜まで飲酒して翌日の午前中に運転する”ことも避けてください。
アルコールが完全に分解されるまでの十分な時間を取れないのであれば、絶対に運転をしてはいけません。
飲酒後に運転をしないことは当然ですが、飲酒した人にハンドルを握らせないことも大切です。
多くの人の人生を狂わせる飲酒運転を防ぐために、アルコールと上手に付き合いましょう。
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