自動車の盗難は、ドライバーにとって最も遭いたくない被害のひとつです。しかし、例えきちんとドアロックをしていたとしても、車が盗まれてしまうことはあります。また高級車や新車だけではなく、5年以上経過した車でも狙われることも。そこで、盗難に遭遇しないための対策を知っておきましょう。
掲載日:2019/07/15
自動車盗難の実態
日本損害保険協会が、2017年11月に自動車盗難事故の実態を調査しています。
そこでは同年の11月1日~30日までのたった一ヶ月間で、278台もの車が全国各地で盗難被害に遭った事が報告されており、この数を見るだけでも自動車盗難の現状が深刻なものだと理解して頂けるのではないでしょうか。
しかしこの数はあくまで、フルカバー車両保険で保険金が支払われた台数のみをカウントしたもの。
実際はこれを越える台数の車が、盗まれていると考えられます。
また、警察庁が発表した車の盗難認知件数は、平成28年時点で1万1,655件で、発生件数の多い県は愛知県、大阪府、千葉県、茨城県、埼玉県。
主な盗難場所は家や店舗の駐車場で、発生時間帯は深夜〜朝といった人通りの少ない時間帯です。
盗難件数自体は、平成15年度の6万4,223件から減少傾向で、これはイモビライザーのような防犯装置が標準装備されるようになった結果ではあるものの、防犯装置を突破して車を盗もうとする輩の数はまだまだ多く存在します。
車両窃盗犯の手口
車両窃盗犯の手口は、セキュリティ対策の強化に合わせて年々巧妙になってきており、警察と犯罪者のいたちごっこというのが現実です。
そこで、今回はそんな車両窃盗犯の手口について、解説します。
リレーアタック
「リレーアタック」は、スマートキーの仕組みを巧妙に利用した手口です。
スマートキーは微弱電波を車に向けて発信し、車から発せられる高周波を受信することでエンジンスタートや、ドアの施錠と解錠が可能な装置となっています。
双方の電波の及ぶ範囲は100~130cm前後。
電子IDを照合することでロックを解除するという複雑な仕組みになっており、防犯に役立つという理由で多くの車種に採用されています。
しかしそんなスマートキーも完璧ではなく、弱点があるのです。
それは「複数人の手で電波が増幅・リレーされたとき、車を誤作動させてしまう」こと。
リレーアタックはおもに複数人で行われる手口で、窃盗犯の一人が中継装置を持ち、ドライバーの持つスマートキーから電波を受信。
その窃盗犯は装置によって増幅された電波をほかの仲間へ送信し、これを繰り返していきながら、最後にターゲットの車付近に居るメンバーへと送ります。
最後の一人は増幅された電波を車へと送り、それによって車両のシステムが「付近にスマートキーがある」と誤認し、ドアを解錠、エンジンが掛かるため盗まれてしまうのです。
この手口はドライバーが家に居る状態でも通用し、玄関近くにスマートキーを置いていてガレージが玄関に近い位置にあれば、窃盗犯は先に述べた装置で電波を受信し、車を盗めてしまいます。
パーツ単位でバラバラにして盗む
仮に車のエンジンが掛からなかったり、ドアが開かなかったりした場合、窃盗犯は車をパーツ単位でバラバラにする事も。
そうなってしまうと、車はレッカーで引っ張られて簡単に盗まれてしまいます。
ハッキング
最近の車には通信ネットワークが張り巡らされており、外部とも何らかの通信をしています。
この回線にはセキュリティ対策が行われていないので、窃盗犯がシステムをハッキングしてしまえば、車を自由に操作して簡単に盗めてしまうのです。
盗まれやすい車
窃盗犯は車であれば何でも盗むというわけではありません。
海外へ輸出して売買したり、国内で売ったりするのに好都合な車を狙います。
以下は盗まれやすい車の一覧です。
レクサス
トヨタの高級ブランドであるレクサスは、海外での人気が高く、輸出売買を目的に盗まれていると考えられます。
ほかの車種とは異なり、なぜかメーカーで括られています。
プリウス
プリウスのハイブリッドシステムのバッテリーや動力パーツは、海外での需要が高く、こちらも輸出売買を目的に盗まれていると考えられています。
ランドクルーザー
トヨタの4WDオフローダーとして有名なランドクルーザー。
海外でのSUV人気とパーツが高値で売れるという理由で、盗まれていると考えられます。
ハイエース
トヨタの1BOXとして有名なハイエースは、海外での需要が非常に高く、ボロボロの状態でも300万円近くで売られてるほど人気のある車です。
その人気の高さゆえ、パーツ単位でも高い需要があり、こちらも海外での人気に目をつけて盗まれていると言えるでしょう。
アクア
アクアもプリウスと同様、トヨタのハイブリッド車です。
こちらも海外需要の高さから、盗まれていると考えられます。
自動車窃盗への対策
https://youtu.be/7rKiDOOht_8
専用器具を取り付け、タイヤ自体を動かなくする「タイヤロック」や、ブレーキペダルの裏を厚みのある鉄板で固定し、ブレーキを踏み込めなくしてしまう「ブレーキペダルロック」など、さまざまな対策方法があります。
特にブレーキペダルロックは、エンジン始動時の「ブレーキを踏み込みながらイグニッションボタンを押す」という一連の動きを抑止し、専用のティンプルキーでしか解除できないので、高い防犯効果が見込めます。
またこれらと併せて、スマートキーを金属製の缶や電波遮断ポーチ、携帯灰皿に入れると、不要な電波の発信を防げるので、リレーアタックの抑止に効果的です。
まとめ
車両窃盗の手口も年々巧妙になってきており、これまでのイモビライザーだけでは防犯対策としては不十分だと言えます。
自分の車を守れるのは自分だけ。
適切な対策を行い、愛車を窃盗犯から守りましょう!
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