現在、中古車の大半がオートオークションを介して取引されています。しかし、オークションに一般の方は参加できないため、消費者とはあまり接点がありません。では、オークションではどのようにクルマに値段が付けられるのでしょうか。オークションの仕組みや中古車の評価基準について解説します。

掲載日:2020/02/17

© USS Co., Ltd.

多くの中古車がオークション経由で取引

© USS Co., Ltd.

自動車販売店で売られている中古車には、お店がオーナーから買い取った車両と、オートオークションで仕入れた車両があります。

実は、日本で流通する中古車全体の7割以上がオークションを経由して取り引きされており、オーナーから買い取ったクルマがそのまま店頭に並ぶというのは稀な話。

そんなオートオークションは、ヤフオクをはじめとする誰もが見ることができるネットなどのオークションではなく、店舗を持つ法人向けの会員制オークションです。

中古販売業者はオークションに参加して、中古車を落札して仕入れ、店舗で販売します。

最近はオークション代行サービスも広まりつつあり、店舗では置いてない車両でも希望の車種や状態を伝えれば、それに合ったクルマをオークションから落札して販売してくれることもあります。

オートオークションはどこで行われているか?

© USS Co., Ltd.

国内には、いくつかのオークションを運営する企業があり、各オークションにはそれぞれ会場が設けられています。

種類としては、JU(一般社団法人・日本中古自動車販売協会連合会)が開催する『JUオークション』、西日本最大のオートオークションである『ベイオーク』やトヨタの子会社であるトヨタユーゼックが行う『トヨタオークション』、そして日本で最も大きいオークションである『USS(Used car System Solution)』などで、どの団体も、定期的にオークション会場でのセリが行われています。

現在は、衛星TVやインターネットからオークションに参加できるため、わざわざ会場へ出向く必要はありません。

インターネットでの参加が可能になったためか、今では販売店だけでなく修理店や板金業者、さらには海外で売るための輸出ブローカーもオークションに参加しています。

オートオークションに参加できる条件は

USSのオートオークション会場 / © USS Co., Ltd.

オークションに参加するための条件は、オークション企業や会場によって異なりますが、どの団体も店舗を経営している事かつ古物商を取得していることは絶対条件とされています。

また、法人・個人を問わず、開業から1年以上が目安とされており、個人事業主の方は、自宅以外に事業所を同じ都道府県に持つことが条件です。

自動車販売・整備・板金業をしている店舗は、信販会社または損保会社のどちらかとの代理店契約が必要となり、輸出事業をしている場合は、通関書類(BL)の写しが必要となります。

他にも、店舗を持っているだけではなく、さまざまな条件が課せられるので、個人がいきなりオークションに参加するのはほぼ不可能。

そのため、個人は代行サービスを利用するのが鉄則です。

オークション代行サービスの手数料は

出典:写真AC

オークション代行サービスの手数料は業者によって異なりますが、30,000円から50,000円程度が相場で、別途落札料や成約料、陸送費がかかります。

店頭販売では落札価格から何%上乗せされるのか

©1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

中古車販売店で売られている中古車の価格は、オークションや買取での仕入価格に販売店の利益や、お店の家賃や人件費、広告費、維持費といった諸費用が上乗せされます。

そのため、販売店の利益は車両価格のうち、乗用車で10~20%程度、軽自動車で5~10%程度といわれています。

また、消費者は中古車を購入する際、表示価格以外に税金や保険、車検切れ車両であれば車検費用といった諸費用が約20万円かかるので、覚えていておいてください。

中古車は評価点と落札価格で価格が決まる

出典:http://mystandard.biz/car-service/auction/

オークションに出品される中古車の詳細は、出品票というものに記載され、セリの際に車両の写真と一緒に表示されます。

中古車はセリに出される前にオークション会場に在籍する検査員が、キズや凹みなどをチェックして、走行距離や年式などの情報も考慮され、評価点がつけられます。

この評価点と内装補助評価は、中古車の状態や価値を見定める指標となり、評価基準や評価点はオークション会場により異なりますが、USSであれば評価点は”S”から”***”まで、内装評価点は”Aランク”から”ランク外”までの間で記載されます。

中古車両状態の評価

評価点 走行距離 内装補助評価 内容
7~10点/S点 1万キロ未満 Aランク 登録後1年未満。無傷・無補修。
6点 3万キロ未満 Aランク 登録から3年未満。無傷・無補修。
5点 5万キロ未満 Aランク 内外装に軽微な加修や清掃が必要。
4.5点/4A点 10万キロ未満 Bランク以上 加修や清掃が必要であるが、全体的に状態が良好
4点 15万キロ未満 Cランク以上 加修痕が複数ある。キズや凹みはあるが、補修によるほとんどが目立たなくなる
3.5点/4B点 Dランク以上 目立つ傷・凹み、大掛かりな修理が必要な箇所が多数。
修復歴車に近い状態。
3A点 Dランク以上 全体的に補修や交換、内装の張替えを要する。
3点 Eランク以上 大小の補修跡や修理された箇所、または修復を要する箇所が多数あるもの。
修復歴有りの車両に極めて近いもの
2点 粗悪または商品価値が少ないもの
1点 極端な改造車、災害車(水没、火災)、レース車両等
RA点 軽微な修復がなされた修復歴有り車両
R点/P点/0点 修復歴有り車両
×点 極端な低年式車
***点 事故車

内装評価点

評価点 内容
Aランク 加修の必要がない、または必要性の低いもので、そのまま展示できるもの
Bランク 加修の必要性の低いもの、または不具合内容が余り商品価値に影響しないもの
Cランク 軽微な加修を必要とするもの、または不具合内容が商品価値を下げるもの
Dランク 加修を必要とするもの
Eランク 大きな加修を必要とするもの

まとめ

出典:写真AC

中古車の価格は、オークションでの状態でほぼ確定してしまうため、代行サービスを利用する際は、予算と車種以外に評価点や内装補助評価も言っておけば、より詳細な希望を伝えることができます。

また、店頭販売の中古車でも出品票を見せてくれる場合があるため、できれば車体だけでなく出品票も確認することで、中古車の質をより詳細に見極めることが可能です。

Motorzではメールマガジンを配信しています。

編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?

配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!