1960~70年代の日本のモータリゼーション黎明期は、セダンのクルマが人気でした。とはいっても実際は、乗用車として他に選択できるボディタイプがハッチバックしかなく、ワゴンや1BOXは商業車のイメージだったからです。現代では、乗用車にも様々なボディタイプが増え、セダン人気は下り坂の一途を辿っています。今回は、そんなセダンならではの魅力を改めて振り返ってみましょう!

掲載日:2019.5/26

レクサス ES 北京モーターショー2018

レクサス ES / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

セダンの弱点とは?

Photo by Sean Freese

近年のSUVやミニバンブームの要因の1つに、スペース効率の高さが挙げられます。

例えば、トランクルームを廃してルーフをボディエンドまで延長することで、ラゲッジと室内の境をなくし、より広く、より多くの荷物を積載できるよう工夫されていたり、ラゲッジ部分をミニマムにして、3列目シートを配置することで乗員を増やしている車種もあります。

多くの荷物や大きな荷物を積載することや大人数での乗車は、確かにセダンでは叶わないため、この点はセダンの弱点と言えるかもしれません。

セダンの魅力とは?

出典:http://www.mazda.co.jp/cars/atenza/

しかしながら、荷物の積載性がSUV・ミニバンに劣っても、多人数乗車ができなくても、SUVやミニバンには真似できないセダンならではの魅力はあるのです!

セダンの魅力① 前後からの衝突に対する安全性

セダン 衝突 前後

Photo By  Carlos Ebert

 

セダンの特徴はエンジンルーム、キャビン、トランクルームの3BOX構造です。

前方への衝突時、エンジンルームはクラッシャブルゾーンとして機能し、キャビンの変形を防ごうとしてくれます。

同様に後部から追突された場合、トランクルームもクラッシャブルゾーンとして働き、キャビンの損傷を防いでくれるのです。

SUVならセダン同様エンジンルームを持つ車種も多いですが、ミニバンはほとんどが1.5BOXや1.3BOXと呼ばれるショートノーズボディで、前方からの衝突に対する安全性は、セダンやSUVには敵いません。

また、後方からの衝突に対しては、SUV・ミニバンともトランクルームのないハッチバックボディなので、クラッシャブルゾーンが確保できておらず、2・2列目シートの乗員が危険にさらされることになるのです。

セダンの魅力② 高次元の静寂性

静か 静寂性

Photo by Mick C

SUVやミニバンでは到底まねできないのが、静寂性です。

ハッチバックボディのSUVやミニバンのキャビン内に侵入するノイズで、カットできないのが、リアサス周りからの音。

というのも、タイヤハウスなどリアサス周辺は、キャビンやキャビンと連続したラゲッジに姿を表しています。

そのため、リアサスの動作音やリアタイヤが跳ねてタイヤハウスに当たった石の音などが、ほぼダイレクトにキャビンに伝わってしまうのです。

その点セダンの場合、リアのタイヤハウスはリアシート後方とトランクルームにまたがる形で設置されており、先述したノイズはキャビンに直接響くことはありません。

セダンの魅力③ 前後重量バランスの良さ

3BOX、ノッチバックボディのセダンは、前後の重量配分もSUVやミニバンに勝ります。

スポーツセダンを謳う日産 スカイラインやBMW 3シリーズなどは、前後重量バランスがほぼ50:50となっており、4輪にバランスよく車両重量が分散される構造です。

これにより走行中に車両姿勢が乱れにくく、高い安定性を実現しています。

セダンの魅力④ セダンは上質な車

ホテル エントランス セダン

Photo by Steven Damron

セダンはエンジン搭載位置がSUV・ミニバンと比較すると低いので、重心も低めです。

そのため走行中の車両姿勢が安定して横滑りしづらくなっています。

ロールを抑える効果もあるので、車線変更時や曲がり角で身体を揺さぶられることも少ないでしょう。

セダンならではの快適で上質な乗り心地になっています。

さらに、セダンボディは、フォーマルな雰囲気を持っているので、高級ホテルのエントランスに車を付けても、様になる点も魅力ではないでしょうか。

総額200万円以内で購入できる高品質セダン

上品な乗り心地とフォーマルな雰囲気を備え、車が物理的に備える安全性も高レベルなセダンですが、最近の人気は下火気味。

そのため、高級車でも中古なら総額200万円以内で購入できる車種も存在するのです。

トヨタ クラウン

14代目トヨタ クラウン(アスリートG “ReBORN PINK”)/ © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

トヨタブランドのオーナーズカーフラッグシップ、クラウンは先代モデルの210型の中古が、総額200万円以内で狙えます。

年式は2013年、走行距離は8万km前後、2.5リッターエンジン搭載車が、流通の主流です。

人気のアスリート、上品なロイヤルサルーンとも同価格帯なので、狙ってみるのもオススメです。

日産 フーガ

出典:https://www.nissan-cdn.net/

かつての日産 セドリック/グロリアの後継車、フーガは今も日産のドライバーズカーのフラッグシップモデルです。

そのフーガの現行モデルが、総額200万円以内で購入可能。

年式は2013~2015年、走行距離は5万km程度が多いため、今後10年は走ってくれることでしょう。

さらに姉妹車の三菱 プラウディアなら、年式、走行距離が同レベルで、150万円以下でも購入可能です。

ただし販売台数が極めて少ない希少車なので、探し出すのに苦労するかもしれません。

メルセデス・ベンツ Eクラス

メルセデス・ベンツ Eクラス W212

出典:https://media.daimler.com:443/marsMediaSite/Media/s7jkv30415019Modwiw2059c9Qx093pJUdovK2Vaybf2ldc4qRrDJGPiZ1aNHc5c/43434129

セダン人気の凋落は予想以上で、高級車の代名詞であるベルセデス・ベンツにもその影響は及んでいます。

4代目となるW212型のEクラスでは、2013年式を中心に総額200万円以下で購入可能。

エンジンはガソリンなら1.8リッターターボ、2.0リッターターボ、3.0リッターNA、ディーゼルなら3.0リッターターボが選択できます。

走行距離は概ね5~6万km程度。

中古としては高年式のため、ほぼ1オーナーで記録簿完備の優良個体がほとんどです。

BMW 5シリーズ

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BMWでは、5シリーズの先代モデル6代目F10型が、射程圏内です。

総額200万円以内で購入できるのは、2013~2014年式の523d。

2.0リッターディーゼルターボ搭載で、最大トルクは38.7kgm(380Nm)/1,750~2,750rpmを発揮するエンジンは、実用域でのパワー不足を、まず感じさせません。

走行距離は5~8万kmと、ここまでご紹介してきた車種と比較すると少し伸びてしまいますが、運転好きなBMWオーナーにありがちな傾向で、記録簿が記載されている個体も多いので、不具合はまずないと思われます。

ただ、BMWディーラーで聞いた話では、BMW車は5年目頃から電気系統にトラブルが発生する傾向にあるとのこと。

その点は、整備体制のしっかりとしたBMW認定中古車(アプルーブドカー)を購入すれば、安心です。

まとめ

SUV人気はまだ加熱していますが、ミニバン人気はかなり落ち着いた模様です。

その理由は、「普段少人数乗車なので、大柄なミニバンは必要ない」と考える人が増えたとことだと言われています。

また、これから世界的に、セダン人気の回復が予想されているので、高級セダンがお手軽価格で購入できるのも、あと僅かかもしれません。

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