今や当たり前のように装着されている安全装置が、「シートベルト」と「ヘッドレスト」です。しかし、クラシックカーや旧車を見てみると、シートベルトやヘッドレストが装備されていない車も多々存在。標準でシートベルトやヘッドレストが装着されていない車は、公道で運転しても良いのでしょうか。また、車検を通すことが可能なのでしょうか。今回は、「シートベルト」と「ヘッドレスト」のルールをご紹介します。

ぱくたそ

出典:https://www.pakutaso.com/20170859233post-12892.html

販売当時に「シートベルト」や「ヘッドレスト」がない車は装着義務なし!車検も通る!

シートベルトやヘッドレストが、もともとの車の装備として設置されていない場合、シートベルト着用義務違反になることも、車検不合格になることもありません。

なぜなら保安基準は、その車が販売された当時の法律に準ずるためです。

では、シートベルトやヘッドレストの設置やシートベルト装着義務は、いつから開始されたのでしょうか。

シートベルトとヘッドレストの「設置」義務の歴史

日本でシートベルトとヘッドレストの設置が義務付けられたのは、1969年です。

当時の法律では、運転席にのみ設置が義務付けられていましたが、4年後の1973年、助手席にもシートベルトとヘッドレストの設置が義務化され、1975年に後部座席のシートベルトも設置が義務となります。

当時のシートベルトは、腰部分のみを固定する2点式が主流でしたが、1975年以降に3点式シートベルトへ移行。3点式シートベルトは、1959年にボルボPV544に設置され、60年以上も形を変えることなく多くの命を救い続け、現在も採用され続けている安全装置です。

シートベルト「装着」義務の歴史

シートベルトの装着義務が発生したのは1985年からですが、装着が義務化された当時は、運転席と助手席のみ、かつ、高速道路や自動車専用道路のみの適用でした。

そして、一般道でのシートベルトの着用が義務化されたのは1992年のこと。2008年からは、全席での装着が義務となっています。

シートベルト装着率の実態

シートベルトの装着が全席で義務化されてから2021年で13年目となっており、運転席と助手席では、一般道・高速道路共に装着率が99%を超えました。

しかし、後部座席のシートベルト装着率は、一般道40.3%、高速道路75.8%と、徐々に上がってきてはいるものの、浸透していない状況です。

※装着率の数値は2020年シートベルト着用状況全国調査結果より引用

警察庁・JAF合同シートベルト着用状況全国調査結果

出典:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/seatbelt.html#:~:text=%E9%81%93%E8%B7%AF%E4%BA%A4%E9%80%9A%E6%B3%95%E7%AC%AC71%E6%9D%A1%E3%81%AE3,-%E7%AC%AC%EF%BC%91%E9%A0%85&text=%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A%E3%81%AE%E9%81%8B%E8%BB%A2%E8%80%85%E3%81%AF,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AB%E9%99%90%E3%82%8B%E3%80%82&text=%E3%81%AB%E4%B9%97%E8%BB%8A%E3%81%95%E3%81%9B%E3%81%A6%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A%E3%82%92%E9%81%8B%E8%BB%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%82

「シートベルト」に関するルール

シートベルトに関する法律は、どのような内容となっているのでしょうか。

道路交通法 第71条の3「普通自動車等の運転者の遵守事項」には、次のように定められています。

道路交通法 第73条の3

第1項

自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。

(後略)

 

第2項

自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。

(後略)

※引用元:警視庁

つまり、自動車の運転者は、やむを得ない事情を除き、乗員全員にシートベルトを着用させなければならないということです。

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出展:https://www.pakutaso.com/20170857233post-12891.html

「ヘッドレスト」に関するルール

ヘッドレストに関する法律は、道路運送車両法 第22条の4「頭部後傾抑止装置等」で以下のように定められています。

第22条の4

自動車(車両総重量が3.5トンを超える自動車(専ら乗用の用に供する自動車であつて乗車定員十人以下のものを除く。)、二輪自動車、側車付二輪自動車、大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車及び最高速度二十キロメートル毎時未満の自動車を除く。)の座席(第二十二条第三項第一号から第四号までに掲げる座席及び自動車の側面に隣接しない座席を除く。)のうち運転者席及びこれと並列の座席には、他の自動車の追突等による衝撃を受けた場合において、乗車人員の頭部の過度の後傾を有効に抑止し、かつ、乗車人員の頭部等に傷害を与えるおそれの少ないものとして、構造等に関し告示で定める基準に適合する頭部後傾抑止装置を備えなければならない。ただし、当該座席自体が当該装置と同等の性能を有するものであるときは、この限りでない。

※引用元:国土交通省

法律上では、運転席と助手席にヘッドレストの装着が義務付けられており、後部座席へのヘッドレストについての記載はありません。

しかし、ヘッドレストは頭部を守る重要な役割を果たしているため、積極的に使用しましょう。

また、ヘッドレストモニターは、ヘッドレストの強度不足や後部座席の乗員が怪我をする恐れがあるとして、車検で不合格となるケースもあるようです。

モニターを装着する場合は、車検に適応した種類を選びましょう。

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出展:https://www.pakutaso.com/20180516129post-16097.html

まとめ

シートベルトやヘッドレストが、もともと装着されていない車であれば、着用義務はなく、車検にも通ります。

しかし、安全性が高くない事は周知の事実。万が一の事故に備え、慎重な運転を心がけてください。

 

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