ハイブリッドカーの整備や車検をする際に用いられる『整備モード』を知っていますか?ハイブリッドを整備するなんて素人には全く関係ないと思っても、いざという時に知っていて良かったなんてこともあるはず。そんなハイブリッドの整備モードについて解説します。

掲載日:2019/09/13

出典:写真AC

ハイブリッドカーをいじるなら整備モードは必須知識

© 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ハイブリッドカーは、ガソリン車やディーゼル車とは異なり、モーターとバッテリーを利用し駆動のアシストを行う特殊な構造をしています。

そのため、プロが行う整備や車検だけでなく、日常のメンテナンスにもハイブリッドならではの知識が必要です。

そんなときに最低限知っておきたいのが、停車状態でもエンジンのアイドリング状態にしておくための『整備モード』です。

整備モードとは

ハイブリッドカーは、エンジンの暖気状態でバッテリーの充電状態が良好な場合に、停車していると自動でエンジンが停止します。

そのため、エンジンが動いている状態で整備を行う必要があったり、車検で排ガスを測るとき、エンジンを強制アイドリング状態にするために、ハイブリッド車には必ず『整備モード』という機能が備わっているのです。

ちなみに整備モードは、メーカーによっては『メンテナンスモード』と呼ぶこともあります。

整備モード移行の入力コマンドは普段運転で絶対行わない操作

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整備モードに移行する方法は、『OBDコネクタ』にスキャンツールもしくは『整備モード移行ツール』を接続します。

もうひとつは、特殊なコマンドで整備モードに移行する方法です。

特殊なコマンドは運転中、何らかの拍子に整備モードにならないよう、運転中は絶対におこなわないような操作を運転席のイグニッション、アクセル、ブレーキ、シフトレバーで行います。

スキャンツールや移行ツールは購入する必要があるため、ここでは整備モード移行のための操作をメインで解説していきましょう。

整備モードと使用目的、車両制御内容

整備モード 主な使用目的 車両制御内容
2WD整備モード ・点火時期点検などのエンジン調整
・車検時に行うアイドルCO/HC点検
・スピードメーターテスター
・2輪シャシダイナモメーターなどの試験
・セレクトレバー『P』でのエンジン制御アイドリング
・リアモーター制御シャットダウン(2WD走行)
・TRC制御の作動禁止
4WD整備モード ・点火時期調整などのエンジン調整
・車検時のアイドルCO/HC点検
・スピードメーターテスター
・4WDシャシダイナモメーターなどの試験
・セレクトレバー『P』でのエンジン制御アイドリング
・TRC制御の作動禁止

整備モードのまま走行してしまうとどうなる

もし、整備モードを解除せずに走行してしまった場合、トランスアクスルを破損するリスクが高まります。

整備モードはイグニッションをOFFにすれば解除できるため、整備モードの必要がなくなれば、直ちに解除することが必要です。

各メーカーの整備モード入力方法

© Honda Motor Co., Ltd.

整備モードの状態にするための操作方法は、自動車メーカー各社で異なります。

トヨタ車

行程 操作内容
1 ブレーキを踏まずにプッシュスイッチを2回押す
イグニッションONの状態になることを確認
2 シフトレバー『P』でアクセルペダル2回を全開まで踏む
3 ブレーキを踏んだままにしておく

シフトレバー『N』でアクセルペダル2回を全開まで踏む

4 シフトレバー『P』でアクセルペダル2回を全開まで踏む
5 『メンテナンスモード』が表示されれば整備モードになっています
※10系20系は『ハイブリッドシステム異常』のマークが表示
※全ての手順を60秒以内で行う
6 イグニッションスタートでエンジンが連続運転
7 整備モード解除はイグニッションスイッチをOFFにする

日産車・e-POWERの場合

行程 操作内容
1 セレクトレバー『P』でイグニッションボタンを押す
2 アクセルペダル全開で踏む
踏む回数で整備モードの内容が異なる
・2回:排ガステストモード
・3回:2シャシダイモード
・4回:ENG連続回転モード
・5回:クランキングモード
・6回:HVバッテリー消費モード
3 選択した整備モードと同回数でアクセルペダルを踏む
4 『READY』にすれば整備モードに移行完了
整備モードによってメーター表示内容が異なります
・ENG連続回転モード:『e Powerシステム警告灯』と『12V系充電警告灯』が点滅
・排ガステストモード:『e Powerシステム警告灯』が点滅
・2シャシダイモード:『12V系充電警告灯』が点滅
・クランキングモード:『走行可能表示灯』が点滅
・HVバッテリー消費モード:『走行可能表示灯』と『e Powerシステム警告灯』が点滅
5 解除方法はパワースイッチ

ホンダ車

行程 操作内容
1 パワースイッチをOFFモードにする
2 ブレーキペダルを踏まずにパワースイッチをONモード
3 セレクトレバー『P』に変更
アクセルペダルを2回全開まで踏む
4 ブレーキペダルを踏む
セレクトレバー『N』に変更しアクセルペダル2回全開まで踏む
5 ブレーキペダルは踏んだまま
セレクトレバー『P』でアクセルペダル2回全開まで踏む
6 ブレーキペダルを踏んだまま、パワースイッチを押す
整備モードでエンジンがアイドリング開始しメーターに『Maintenance Mode』が表示
※2~6の行程を60秒以内に行う
7 パワースイッチOFFで整備モード終了

まとめ

出典:写真AC

整備モードは車検だけでなく、エンジンオイルやクーラント液を交換後にアイドリングさせてエンジン内に循環させる場合や、アイドリングの回転数の調整などに必要となります。

自らできるメンテナンスでも整備モードが必要なため、覚えておくことをおすすめします。

 

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