ふと街なかを見ていると、外観はほとんど同じなのに、売っている自動車メーカーのバッジが異なるクルマが走っていませんか?見た目や搭載されているエンジン、使っているパーツは同じでも、別のメーカーが販売しているクルマが存在します。それが、「OEM」と呼ばれる販売方法で、多くのクルマに採用されています。

出典:https://www.suzuki.co.jp/

OEMとは

OEMは、「Original Equipment Manufacturing」の略で、あるメーカーが、生産した製品を契約・提携した会社へ供給する仕組みを示します。

販売時は、供給先のメーカーが持つブランド名を使用。

出来あがった製品を供給先の会社が仕入れ、販売されます。

自社では生産力が無くても、大手もしくは下請けの会社に生産製造を依頼し、代わりに製品を生産してもらう場合が多いようです。

OEMをクルマの販売でするメリットは

OEMでクルマの販売でおこなうメリットは、どこにあるのでしょうか。

ポイント1:生産側は「広告コスト」がかかりにくい

OEMのメリット1つ目は、生産側の広告コストがかかりにくい点です。

自社で生産して完成したクルマを、供給先に受け渡して販売してもらうため、宣伝費用をかけずに販売台数を伸ばせるメリットがあります。

ポイント2:供給先は「生産コスト」がかからない

OEMのメリット2つ目は、供給先は生産コストがかからない点です。

生産元にクルマを作ってもらい供給してもらうので、開発費用がかからないメリットがあります。

低価格で供給してもらった製品を販売できるので、自社生産よりも販売で利益を確保しやすいのです。

加えて、自社生産による生産コストがかからないので、必要最低限の在庫確保に抑えられるメリットもあります。

ポイント3:生産力不足を解消できる

OEMのメリット3つ目は、生産力不足を解消できる点です。

生産工場に余裕がない場合や、生産手段を持っていない会社でも、クルマの販売に参入できるなどのメリットがあります。

最たる例は、2000年代前半、トヨタが他業種の企業とコラボレーションをした「WiLL」ブランドです。

アパレルや食品など、他業種と提携して統一したブランドで、商品を開発・販売することもできます。

OEMとクルマの代表例

それではOEMにより、販売されているクルマの代表例をご紹介しましょう。

その1:「スズキ・エブリイバン」

郵便局や昨今流行しているインターネットショッピングの配達で、活躍している軽バンです。

軽バンの代表格であるスズキ エブリイバンは、4つのメーカーにより、ほぼ同じ内容のクルマが販売されてます。

【スズキ・エブリイバンのOEM車種】

その1:マツダ スクラム

その2:日産 クリッパー

その3:三菱 ミニキャブバン

当初は、マツダがOEM供給を受けるようになり、以降日産、三菱も続いてエブリイバンの供給を受けることになります。

三菱は、過去に自社生産をおこなっていた時期もありましたが、現在はエブリイバンのOEM供給を受けて販売。

景気の停滞によるメーカー販売の低迷など、理由はさまざまですが、大きくシェアを獲得している信頼が高いクルマを、販売できるメリットを生かしているのです。

その2:「ダイハツ ハイゼットカーゴ」