ふと街なかを見ていると、外観はほとんど同じなのに、売っている自動車メーカーのバッジが異なるクルマが走っていませんか?見た目や搭載されているエンジン、使っているパーツは同じでも、別のメーカーが販売しているクルマが存在します。それが、「OEM」と呼ばれる販売方法で、多くのクルマに採用されています。
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OEMとは
OEMは、「Original Equipment Manufacturing」の略で、あるメーカーが、生産した製品を契約・提携した会社へ供給する仕組みを示します。
販売時は、供給先のメーカーが持つブランド名を使用。
出来あがった製品を供給先の会社が仕入れ、販売されます。
自社では生産力が無くても、大手もしくは下請けの会社に生産製造を依頼し、代わりに製品を生産してもらう場合が多いようです。
OEMをクルマの販売でするメリットは
エボどころかセダンの陰にも隠れたが、商用ランサーはどれも個性的だったと思う
最終型はADのOEMになった挙句、まさかの消滅…初代はこの見た目で85年まで作ってたし、2代目もテールランプが超個性的…
リベロカーゴは最後まで残ったキャブレター車でもあったし… pic.twitter.com/LXjHT45r2H— Nahan (@wy23_ns) March 13, 2021
OEMでクルマの販売でおこなうメリットは、どこにあるのでしょうか。
ポイント1:生産側は「広告コスト」がかかりにくい
OEMのメリット1つ目は、生産側の広告コストがかかりにくい点です。
自社で生産して完成したクルマを、供給先に受け渡して販売してもらうため、宣伝費用をかけずに販売台数を伸ばせるメリットがあります。
ポイント2:供給先は「生産コスト」がかからない
OEMのメリット2つ目は、供給先は生産コストがかからない点です。
生産元にクルマを作ってもらい供給してもらうので、開発費用がかからないメリットがあります。
低価格で供給してもらった製品を販売できるので、自社生産よりも販売で利益を確保しやすいのです。
加えて、自社生産による生産コストがかからないので、必要最低限の在庫確保に抑えられるメリットもあります。
ポイント3:生産力不足を解消できる
OEMのメリット3つ目は、生産力不足を解消できる点です。
生産工場に余裕がない場合や、生産手段を持っていない会社でも、クルマの販売に参入できるなどのメリットがあります。
最たる例は、2000年代前半、トヨタが他業種の企業とコラボレーションをした「WiLL」ブランドです。
アパレルや食品など、他業種と提携して統一したブランドで、商品を開発・販売することもできます。
OEMとクルマの代表例
スズキ・キャリイ 50年以上の歴史を持つスズキの軽トラ。国内のトラックで39年間販売台数1位の記録を持つ。ハイゼットと双璧をなし、日産・マツダ・三菱にOEM供給して四兄弟に。軽トラの中でも安価な部類。サビに強イメージあり pic.twitter.com/oJOlp9ycF6
— 偏見で車を語るbot (@henken_car) January 4, 2020
それではOEMにより、販売されているクルマの代表例をご紹介しましょう。
その1:「スズキ・エブリイバン」
ワイ「これがエブリイ、スクラム、NV100クリッパー、ミニキャブ」
女の子「みんな同じじゃん」
ワイ「なんで?」(殺意) pic.twitter.com/NoaTbVcFoM
— inamusyA (@inamusyA) May 22, 2016
郵便局や昨今流行しているインターネットショッピングの配達で、活躍している軽バンです。
軽バンの代表格であるスズキ エブリイバンは、4つのメーカーにより、ほぼ同じ内容のクルマが販売されてます。
【スズキ・エブリイバンのOEM車種】
その1:マツダ スクラム
その2:日産 クリッパー
その3:三菱 ミニキャブバン
当初は、マツダがOEM供給を受けるようになり、以降日産、三菱も続いてエブリイバンの供給を受けることになります。
三菱は、過去に自社生産をおこなっていた時期もありましたが、現在はエブリイバンのOEM供給を受けて販売。
景気の停滞によるメーカー販売の低迷など、理由はさまざまですが、大きくシェアを獲得している信頼が高いクルマを、販売できるメリットを生かしているのです。
その2:「ダイハツ ハイゼットカーゴ」
スバルの軽自動車の販売不振により自社での開発を打ち切り、現在はダイハツなどからOEMで調達をしていますからね。
現行型のサンバーはトラックを合わせてハイゼットのスバル版ですがエブリイバンと同様に、軽バンジャンルで肩を並べる人気を持つクルマが、ダイハツ ハイゼットカーゴです。
ハイゼットカーゴも同様に、3つのメーカーで同一の車種が販売されています。
【ダイハツ ハイゼットカーゴのOEM車種】
その1:トヨタ ピクシスバン
その2:スバル サンバーバン
ダイハツのグループ企業であるトヨタ、トヨタの提携先であるスバル。
3つのブランドでハイゼットカーゴが販売されているのです。
安全機能「スマートアシスト」により、衝突回避能力が高められるなど、安全性と扱いやすさが魅力。
ハイゼットカーゴが持つ高いパフォーマンスを、3つのブランドで選べるメリットがあります。
まとめ
OEMは、メーカーの生産力不足の解消や、コスト削減につながるほか、信頼のあるクルマをそれぞれのブランドで手に入れられるメリットがあります。
ブランドバッジや多少の外観の変化はあっても、中身が同じであるため、扱いやすさは同様です。
お好みのメーカーでクルマを選び、ユーザー側もOEM供給の面白さを味わってみるのも、クルマ好きとして通な選び方ではないでしょうか。