今の時代でも通用する、フォトジェニックなデザインをもつ、世紀末前後生まれのSUV。あまりに独創的だったゆえに、当時は不遇な扱いを受けていましたが、内実は玄人好みの堅牢なクロカン(クロスカントリー)であり、いまだに熱狂的なマニアの間では絶大な支持を集めています。今回は、そんな今だったら大ヒットしそうな、時代先取りSUVを3台ご紹介します。
いすゞ・ビークロス
いすゞ ビークロスは、1997年から2000年(北米市場では2002年)までの間、販売されていたクロスオーバーSUVです。
1993年に乗用車生産から撤退したいすゞ自動車の最後を飾ったスペシャリティカーであり、1993年に開かれた第30回東京モーターショーに参考出品されたモデルそのままの近未来的なスタイリングは、一世を風靡。
3ドア車・1グレードのガソリン車のみという、いすゞ自動車らしからぬ設定も斬新でした。
いすゞ・ビークロス 基本スペック
ボディタイプ クロスオーバーSUV ドア数 3ドア 乗員定員 4名 型式 E-UGS25DW 全長×全幅×全高 4130×1790×1710mm
ホイールベース 2330mm トレッド前/後 1515/1520mm 室内長×室内幅×室内高 1865×1440×1110mm 車両重量 1750kg
エンジン型式 6VD1 最高出力 215ps(158kW)/5600rpm 最大トルク 29.0kg・m(284.4N・m)/3000rpm 種類 V型6気筒DOHC24バルブ 総排気量 3165cc 内径×行程 93.4mm×77.0mm 圧縮比 9.4 過給機 なし 燃料供給装置 電子制御燃料噴射装置 燃料タンク容量 85リットル 使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
駆動方式 フルタイム4WD トランスミッション 4AT LSD 標準 変速比 第1速 2.856 第2速 1.618 第3速 1.000 第4速 1.000 後退 2.000 最終減速比 4.555 出典:https://www.goo-net.com/catalog/ISUZU/VEHICROSS/6000323/
マツダ・CX-7
マツダ CX-7は2006年から2016年まで生産されていた、スポーツユーティリティビークルです。
大振りなボディに、トルクフルな2.3リッター直噴ターボエンジン×電子制御6速AT(アクティブマチック)を搭載。
当時のマツダらしい洗練されたデザインと、充実した内装装備が与えられていたものの、RVらしい武骨なスタイルではないデザインが災いし、大ヒットには至りませんでした。
その後、2012年に国内向けの販売を終了した後、2014年に中国での製造・販売を開始(製造は一汽乗用車有限公司)しますが、2016年のCX-4製造開始にともない、生産自体がひっそりと終了してしまいました。
マツダCX-7基本スペック(2011年マイナーチェンジ後)
ボディタイプ クロスオーバーSUV ドア数 5ドア 乗員定員 5名 型式 CBA-ER3P 全長×全幅×全高 4695×1870×1645mm
ホイールベース 2750mm トレッド前/後 1615/1610mm 室内長×室内幅×室内高 2010×1535×1225mm 車両重量 1660kg(FF)
エンジン型式 L3-VDT 最高出力 238ps(175kW)/5000rpm 最大トルク 35.7kg・m(350N・m)/2500rpm 種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ 総排気量 2260cc 内径×行程 87.5mm×94.0mm 圧縮比 9.5 過給機 ターボ 燃料供給装置 筒内直接噴射(DI) 燃料タンク容量 69リットル 使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
駆動方式 FF トランスミッション 6AT 変速比 第1速 4.148 第2速 2.370 第3速 1.555 第4速 1.154 第5速 0.859 第6速 0.685 後退 3.393 最終減速比 3.749 出典:https://www.goo-net.com/catalog/MAZDA/CX7/10068761/
日産 ラシーン
1994年から2000年までの間、生産されていたコンパクトSUV、それが「日産ラシーン」です。
B13型系サニーの4WDシャーシーを基本に開発され、気軽にクロカンのような雰囲気を楽しむためのカジュアルな自動車という位置づけ。
一度もフルモデルチェンジされなかった角張った内外装デザインには、熱狂的なフリークも存在するほどです。
ラシーンが発売された1990年代半ばは、三菱 パジェロやトヨタ ハイラックスサーフなど、いわゆる「RVブーム」真っ只中で、イメージキャラクターにドラえもんを起用するなど、当時は大きな話題となりました。
しかし、話題性と販売台数は思うように比例せず、2000年に1代限りで姿を消してしまいます。
日産ラシーン基本スペック
ボディタイプ クロスオーバーSUV ドア数 5ドア 乗員定員 5名 型式 GF-RFNB14 全長×全幅×全高 4115×1695×1515mm
ホイールベース 2430mm トレッド前/後 1440/1415mm 室内長×室内幅×室内高 1810×1415×1175mm 車両重量 1220kg
エンジン型式 GA15DE 最高出力 105ps(77kW)/6000rpm 最大トルク 13.8kg・m(135N・m)/4000rpm 種類 水冷直列4気筒DOHC 総排気量 1497cc 内径×行程 73.6mm×88.0mm 圧縮比 9.9 過給機 なし 燃料供給装置 電子制御燃料噴射装置 燃料タンク容量 50リットル 使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
駆動方式 フルタイム4WD トランスミッション 4AT 出典:https://www.goo-net.com/catalog/NISSAN/RASHEEN/1500267/
まとめ
今回ご紹介した3車種は、近未来的過ぎた、デザインが洗練され過ぎた、懐古調過ぎたなど、それぞれ歴史を重ねることなく一代限りで終わってしまった悲しいモデル達です。
しかし、その輝きはまばゆいばかり。
車を単なる移動手段ではなく、愛車=趣味として持つならば、時代を先どった挑戦的なモデルに目を向けてみてはいかがでしょうか。