1980年代にアメリカで施行された「輸入車セイフティコンプライアンス法」、通称「25年規制」。製造から25年が経過した車は、アメリカ国内の保安基準、FMVSSによる縛りを受けることなく輸入可能になるというこのルールによって、現在1980年代から1990年代にかけて生産された日本車が、どんどんアメリカへ流れています。今回は25年規制の解禁によって、価格の高騰が予想される車を5台ピックアップし、ランキング形式で紹介します。

出典:写真AC

25年規制解除で価格高騰が予想できる車

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“25年規制の解除により、価格の高騰が予想できる車”と言っても、その幅は広く、ありとあらゆるジャンルの車を対象にしていては、とてもこの記事内には収まりません。

そこで今回ランキングの対象とするのは、“1990年代に生産された国産スポーツクーペ”とし、これらから値上がりが予想できる車を5台、筆者独自のランキング形式でご紹介します。

第5位:ホンダ・プレリュード(5代目)

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%89#5%E4%BB%A3%E7%9B%AE_BB5/6/7/8%E5%9E%8B%EF%BC%881996-2001%E5%B9%B4%EF%BC%89
作者:Rudolf Stricker

1996年に登場した5代目プレリュードは、デートカーとして一世を風靡した3代目を意識したコンセプトで開発され、スペシャリティクーペとして発売された1台です。

デザインは、従来の欧米市場を意識してスタイリングを一新。日本車らしい、スマートなものへと変化させました。

バブル崩壊後のクーペ人気低迷の煽りを受け、21年間続いたプレリュードの歴史に幕を下ろすことになった5代目ですが、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションや、4輪操舵システムの採用など、スペシャリティクーペに相応しい豪華な仕様が目立つ特別感が魅力のモデルです。

特にスポーツグレードのタイプSでは、シビック、インテグラといったホンダの最高峰エンジンとも言われるVTECを採用しており、今後、価格が高騰することが見込まれる1台となっています。

第4位:トヨタ・アルテッツァ

トヨタ アルテッツァ / 出典:https://www.favcars.com/pictures-toyota-altezza-rs200-l-edition-sxe10-1999-2001-45903-800×600.htm

1998年に販売されたトヨタ アルテッツァは、「コンパクトFRセダン」をコンセプトに開発され、欧州のBMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ CクラスといったDセグメント車の対抗車種としての役割も背負ったスポーツセダンです。

搭載されるエンジンは2.0リッターの直列6気筒 1G-FEと、同じく2.0リッターの直列4気筒 3S-GEの2種類で、後者には可変バルブタイミング機構を採用。最大出力210psを達成するハイパワーエンジンとなっています。

なお、1998年に販売された車なので、25年規制が解かれるのは2023年になります。

第3位:トヨタ・チェイサー(6代目)ツアラーV

Photo by FotoSleuth

1996年に登場した、トヨタ チェイサーの6代目。

そのスポーツグレードの中でも、ターボエンジン搭載グレードの「ツアラーV」は、今も根強い人気を誇る1台に数えられています。

1JZ-GTEエンジン独特の音も人気の理由ですが、アメリカでの人気の主なポイントは、「全日本プロドリフト選手権(D1グランプリ)」の影響で開催されるようになった、「Formula Drift(フォーミュラD)」。

専門店によると、以前のBNR32のように価格が大きく高騰する可能性があり、数年後には300万円か400万円ほどの市場相場になっていても、おかしくないそうです。

第2位:日産・S15 シルビア

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1999年に発売された最後のシルビアで、S14からダウンサイジングされたボディと吊り目型のヘッドランプ、トランクに回り込むほどの大型テールランプが特徴的の1台です。

ターボモデルのスペックRには、2.0リッターのSR20DTエンジンが搭載され、ボールベアリングタービンが採用されていることから、低速域からもよく回る仕様となっています。

弾3位のチェイサーと同じく、Formula Drift(フォーミュラD)などのドリフト競技で人気を博していることから、ドリフトマシンとして人気に火が付くのではないかと予想されます。

第1位:日産・スカイライン R33 GT-R(BCNR33)

日産・R33型・スカイラインGT-R / © 著作権 2019 日産自動車株式会社

1995年に発売された日産 スカイライン R33 GT-R(BCNR33)は、GT-Rの復活を掲げたBNR32や、第二世代最後となるBNR34の間に挟まれ、第二世代GT-Rの中で唯一専用のシャシーが用意されず、シャシーの共有元も大衆セダンのローレルということから、「デブ」だの「かっこ悪い」だの言われ、いまいち人気がありませんでした。

事あるごとに先代のBNR32と比べられ、「これはGT-Rではない!」などと言われた悲運のGT-Rですが、実は侮れない存在です。ワイドボディ化されたスタイリングは重量物である燃料タンクやバッテリーのリアシート下、リアシートの後ろなどへの設置を可能とし、重量物をホイールベース内の中心に集めることに成功しています。

これによって慣性モーメントが低減され、可変式リアスポイラーの採用により、空力性能もBNR32のCd値0.40から、Cd値0.35~0.39へと改善されました。

さらにインタークーラーも軽量化されたことで、BNR32よりも車体重量を軽くすることに成功。ホイールベースが延長されたことで高速領域での車体の安定性も向上し、アクティブLSDとアテーサE-TSによる「アテーサE-TS PRO」や、スーパーHICASなどの装備によって、BNR32のアンダーステア気味だった挙動も解消されています。

ボディ剛性もBNR32と比較して、ねじれ剛性が44%へアップされており、ノーマルでもブレンボ製ブレーキキャリパーが装備されているなど、様々な点がアップグレードされました。

直進時の安定性はドラッグレース、ワイドボディはエンジンスワップなど、様々な走りやチューンが楽しめるという点も魅力的。

今後アメリカ市場でも、「マイナス21秒ロマン」のキャッチコピーが伊達ではなかったことを、見せてくれるかもしれません。

まとめ

今後、スカイラインやシルビアなどの人気車種が25年規制の解除によって、どんどんアメリカに流れていくことが予想されます。

日本国内の往年の名車が海外で評価されることは良いことですが、一方で日本国内の中古車台数が減っていき、手の出せない価格に高騰していくことには複雑な心境です。

これらの理由から、もしも昔の国産スポーツカーを購入したいのであれば、早めに決断する必要があるでしょう。