1996年にアルシオーネSVXが廃止されて以来、長らくスバル車のフラッグシップとして君臨し続けているレガシィ。主要市場である北米に合わせてモデルチェンジされていくうちに堂々たるサイズとなり、現行の6代目ではついにワゴンが廃止。しかし4ドアセダンのB4とクロスオーバーワゴンのアウトバックの販売は、まだまだ続いています。
目指せ『いつかはレガシィ』、より大きくなったスバルのフラッグシップ
6代目スバル・レガシィの2018年3月期海外販売実績28万1,800台、同じく国内実績は9,300台。
スバル公式サイトの地域別完成車販売状況から抜粋した数字なので、自販連~日本自動車販売協会連合会~が毎月発表している販売台数は登録台数ベースなので若干異なりますが(こちらだと同期間で9,792台となる)、傾向は同様と思われます。
つまり、今やクロスオーバーワゴンのアウトバックを含むレガシィの国内:国外販売比率は1:30を超えているわけで、しかも国外販売の半数以上を北米で占めていますから、日本市場よりよほど重要視されるのは当然です。
そのため代を重ねるごとに大型化するのは避けられない運命で、4代目以降3ナンバーサイズに突入したボディは6代目でついに全長4.8m、全幅1.84m、車重1.54tの巨体に成長しました。
さすがにトヨタの新型クラウンに比べれば、2リッターターボ車の一番安いグレードに比べても(全幅を除けば)まだ小さく軽いものの、ついにスバルも『いつかはレガシィ』という上昇志向に対応したフラッグシップカーが登場したか、という想いが強くなります。
レガシィには既に先代ツーリングワゴンをベースに架装した霊柩車が存在し、それが似合うほど風格の出てきた証明でもありが、そろそろリムジンを作っても違和感が無くなってきたかもしれません。
役目をレヴォーグに譲ったワゴンは廃止、セダンのB4のみへ
2014年10月に6代目レガシィが発売されるのに先立ち、そのポジションを譲り受けるレヴォーグが発売(同年6月)されていたこともあってツーリングワゴンの日本販売は無くなり、日本では4ドアセダンのB4とクロスオーバーワゴンのアウトバックのみとなりました。
日本での大型ステーションワゴン市場はトヨタ クラウン・エステートと日産 ステージアが消滅した2007年で終了したとも言えるので、大型化したレガシィからツーリングワゴンの日本販売を廃止したのは懸命な措置だったと言えます。
実際、後継のレヴォーグがそれを補って余りある好調なセールスを記録しているので、レガシィとしてはこれを機会として、B4に高級セダンとしてのキャラ付けを明確にしていくのが正解です。
最近のスバル車では新型フォレスターのターボ車消滅を惜しむ声もありますが、6代目レガシィではそれに先立つこと4年にして、既にターボ車は無く2.5リッターの自然吸気フラット4(水平対向4気筒)一本鎗でした。
可能なら、北米仕様に存在する3.6リッター自然吸気フラット6(水平対向6気筒)をアウトバックだけでなくB4にも設定すれば、高級大排気量セダンとしてふさわしく感じますが、そこは次期型に期待します。
現状では年々厳しくなる安全性への要求に対し、このボディサイズでも十分では無いと言えそうで、スペック上のことながら、先代と変わらないホイールベースを保ちつつ室内長は160mmも短くなりました。
全幅60mm、トレッドも50~60mm拡大した上で室内幅は同じなので、性能向上した各種安全性に加え、遮音フロントガラスの採用など快適性につながる防音・遮音・防振性能を向上させた上での車内のゆとりには、もう1ランク拡大していいほどかもしれません。
主なスペックと中古車相場
スバル BN9 レガシィ B4 リミテッド 2018年式
全長×全幅×全高(mm):4,800×1,840×1,500
ホイールベース(mm):2,750
車両重量(kg):1,540
エンジン仕様・型式:FB25 水冷水平対向4気筒DOHC16バルブ
総排気量(cc):2,498
最高出力:129kw(175ps)/5,800rpm
最大トルク:235N・m(24.0kgm)/4,000rpm
トランスミッション:CVT
駆動方式:4WD
中古車相場:148万~319.8万円(登録済み未使用車を含み、アウトバックは除外。)
まとめ
思い切ったボディサイズ拡大と内外装のクオリティアップにより、スバルが誇るフラッグシップセダンとして堂々たる風格を備えるに至った6代目レガシィですが、今後の発展は現在スバルを傘下においているトヨタ次第なところもあります。
これ以上の大型化や日本市場における大排気量化、車内空間のレベルアップを敢行した場合、クラウンやレクサス ES(2018年秋に日本でも発売予定)と競合してしまうので、それを果たしてトヨタがどう受け取るかが問題です。
それをスバル独特の『シンメトリカルAWD』のみで押し切れるかどうか?それによっては、現在のような形のレガシィはこの6代目で打ち止め!となるほど、大きな変化が待っているのかもしれません。
実際、スバルが東京モーターショー2017以降世界各地で公開している次世代コンセプト『VIZIV(ヴィジヴ)』シリーズには、未だレガシィB4に相当するような次世代大型高級セダンが含まれていないのです。
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