目まぐるしく変化する路面コンディション、並みのマシンでは完走する事すらままならない難攻不落のテクニカルなコース。それらを巧みに攻略し、しかも誰よりも速く駆け抜けた者のみが手にする事のできるチャンピオンの称号。1997年から始まった通称WRカー時代に君臨した歴代チャンピオンはいったいどのような人物であり、そして彼らが駆ったのはどんなマシンだったのか。1997〜2003年のチャンピオンマシンをご紹介します!
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ワールドラリーカーとは?
トヨタ セリカ、三菱 ランサーエボリューション、スバル インプレッサ等、数多くの日本車が活躍したグループA規定によるWRCが終焉をむかえ、1997年から新たな車両規則として採用されたのがワールドラリーカーです。
あくまでもグループAから派生した規定であるというスタイルで考案されたため、4WDターボを基本としています。
FIAはグループA末期に課題となった厳しい最低生産台数規定を改定し、比較的小規模なメーカーでも参戦出来るよう配慮されました。
駆動方式の変更等が認められた事でベース車の自由度が上がり、最盛期には7つのワークスチームが参戦する賑わいを見せます。
しかし開発競争の激化はモータースポーツの常であり、WRカーも参戦コスト高騰が顕著となった2010年に終焉をむかえました。
FIA主導のカテゴリーとしては長命な部類に入るWRカー(14シーズン)。
その間には名ドライバーの世代交代が進み、新たなチャンピオンも多数誕生しています。
ちなみにWRカー規定の採用に先立って、2リッター自然吸気エンジン搭載の2WD車 ”F2キットカー”を新規定として採用しようとする動きも見受けられたのですが、その当事者であるはずのフランス系メーカーがWRC本格参戦を敬遠したため、結局は不採用になったというエピソードも・・・。
それではいよいよ、ここからWRカー時代を彩った歴代チャンピオンを一挙ご紹介していきます!
みなさんの記憶に残っているマシンやドライバーは登場するでしょうか?
1997年 Mitsubishi Lancer Evolution Ⅳ(トミ・マキネン)
1998年 Mitsubishi Lancer Evolution Ⅴ(トミ・マキネン)
1999年 Mitsubishi Lancer Evolution Ⅵ (トミ・マキネン)
2000年 Peugeot 206 WRC (マーカス・グロンホルム)
2001年 Subaru Impreza WRC(リチャード・バーンズ)
この年からGD型にモデルチェンジしたインプレッサWRC。
前年に投入されたGC型最終仕様はGD型へのスイッチを見越して大部分を新設計したテスト車両的存在であり、そこで入念に準備を進めた事で新型インプレッサは当初から高いパフォーマンスを発揮しました。
新たな武器を手に入れたリチャード・バーンズ選手は高い確率で表彰台に立ち、第13戦オーストラリアでは1勝を飾っています。
戦闘力を増したフォード フォーカスのコリン・マクレー選手、暫定WRカー仕様のエボ6.5を駆る鉄人トミ・マキネン選手とタイトルを争いますが、シーズン後半でコンスタントにポイントを獲得したバーンズ選手が見事逆転!
自身初のチャンピオンに輝きました。
2002年 Peugeot 206 WRC (マーカス・グロンホルム)
206WRCは参戦4年目となり、マシンの熟成度は非常に高いレベルへ到達していました。
引き続き206WRCを駆るマーカス・グロンホルム選手は、卓越したドライビングでシーズン通して他を寄せ付けない速さを発揮。
ターマックキングの異名を持つジル・パニッツィ選手と共に、2人だけで14戦中8勝を記録しています。
シーズンが終わってみれば、ランキング2位のペター・ソルベルグ選手にダブルスコアをつける圧倒的勝利となりました。
ちなみにセバスチャン・ローブ選手がWRCで頭角を現してきた年でもあり、新世代の活躍を予感させました。
2003年 Subaru Impreza WRC(ペター・ソルベルグ)
ヘッドライト形状が前年までの丸目から涙目に変更された2003年のインプレッサWRC。
更なる低重心化と軽量化を推進した内容となっており、空力面でも改良が加えられました。
この年からリアウィングが垂直ウィンの付いたスプリッターウィングに進化しています。
シーズン序盤こそシトロエンやプジョー勢の背中を見ながらの展開となりますが、中盤以降に4勝を挙げ、ポイントランキング上位に躍り出ました。
最終戦をむかえた時点で、シトロエンのサインツ選手・ローブ選手、プジョーのバーンズ選手、そしてソルベルグ選手の4名が5点以内でチャンピオンを争う大激戦に。
バーンズ選手が病気欠場、サインツ選手が序盤にリタイアする中、ソルベルグ選手はSSベストタイムを連発する気迫の走りを見せます。
結果ローブ選手を抑えて4勝目を飾り、自身初のシリーズチャンピオンに輝きました!
まとめ
みなさん、いかがでしたでしょうか?
グループAからの派生レギュレーションとして繁栄を極めたWRカー。
今回は1997年から2003年までの歴代優勝マシンをご紹介させていただきました。
長い歴史の中で、技術の粋を集めた名マシンの誕生や、伝説的ドライバーの世代交代等、私たちモータースポーツファンに数多くの話題を提供してくれました。
2017年から新たなステージに突入するWRCですが、その前に往年のマシンやドライバーたちを復習してみるのもいいかもしれませんね!
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