今回は自動車好きの中でもよほど通な人でないと知らないのでは?知らずにお世話になっていた人も多いはず!というマツダのタクシー専用車、カスタムキャブをご紹介します。

 

マツダ カスタムキャブ /出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%96

 

フルラインナップ時代のマツダ、タクシー専用車を作る

 

日本のタクシー / Photo by Riley

 

大都市の駅前などにズラリと、あるいはギッシリ並ぶタクシーの群れ。

会社所属か個人タクシーか、あるいは最近は『痛タクシー』なるものまであってかなりカラフルですが、よく見ると多くは似たような形状の4ドアセダンです。

日産からクルー、トヨタからコンフォート系といった『タクシー専用車』が登場すると、何しろ使い勝手が良いもので多くが切り替わり、一時期は客待ちのタクシーがほとんどクルーかコンフォートという時代もありました。

そのタクシー専用車ですが、古くはトヨタが1955年にトヨペット マスターを発売したのがおそらく国産第1号と思われるものの、結局マスターは初代クラウンの信頼性が確立されなかった時の『保険』的な車種で、急速にクラウンによって淘汰され短命に終わります。

以後、日本のタクシーは小型5ナンバー4ドアセダンのLPG仕様がメインとなっていきますが、それで1980年代末に困ったことになったのがマツダでした。

 

カスタムキャブのベースとなった4代目HB系マツダ ルーチェ / Photo by Riley

 

タクシーは乗客の乗り心地や長時間乗務するドライバーの快適性もさることながら、日夜フル稼働して走行距離も稼働時間もハンパ無い業務用車両の代表格なので、とにかく信頼性や耐久性、さらにドライバーや会社からの支持も無ければ使ってもらえません。

そのためトヨタや日産は旧態依然ながら支持を得られるFR(フロントエンジン/後輪駆動)車をコロナやブルーバードなどの旧型を継続生産してラインナップ。

マツダも3代目カペラ(1978年発売)を継続生産していましたが、1985年に生産を終了すると小型タクシー用の5ナンバーFR 4ドアセダンが無くなってしまいます。

また4代目以降、FF(フロントエンジン/前輪駆動)化されたカペラのタクシー業界における支持は今ひとつだったようで、3代目カペラのタクシー&教習車仕様後継を求められたマツダは急きょ旧型ルーチェの小型タクシー版『カスタムキャブ』を1989年に発売したのでした。

 

HB系ルーチェベースで安くて大きいカスタムキャブ

 

 

カスタムキャブのベースになったのは4代目HB系ルーチェ(1981年発売)で、1986年9月のモデルチェンジで既に旧型となっており、兄弟車コスモも同時に4ドアセダンを廃止していましたが、まだコスモの2 / 4ドアハードトップは生産を継続(1990年まで)。

カスタムキャブはこの4代目ルーチェ / 3代目コスモの4ドアセダン版を『再登板』させたもので、全長4,665mmは小型タクシー規格(全長4,600mm以内)に収まらないので前後バンパーを薄くして何とか規格内に収めます。

その他は、外装を手直しして5人乗り仕様とした程度で、ほぼルーチェセダンのタクシー仕様そのままだったカスタムキャブは、事実上カペラより大きく広く車格も上がり、設計は古いものの安い小型FRセダンとしておおむね好評を得ることになりました。

 

 

その安さを武器に、バブル崩壊後に深刻な経営危機に陥ったマツダの中でも『法人向けに安く売りさばける車種』として奮闘したカスタムキャブですが、元々は1981年デビューで設計の古さは否めません。

それでも他社も似たようなタクシー仕様車を販売しているうちはまだ良かったのですが、日産 クルー(1993年)、トヨタ コンフォート(1995年)といった、安価な新世代タクシー専用車が登場し、新たな衝突安全基準への対応が求められると、さすがに苦しくなっていきます。

結局、再建途上にあったマツダで新たなタクシー専用車、あるいは既存車タクシー仕様を開発する余力も無く、マツダはタクシー市場そのものから撤退を決めて、1995年一杯でルーチェ(5代目)のタクシー仕様ともども生産を終了しました。

以降、マツダ車のタクシーはディーラー単位での特装車のみ細々と存在するようになります。

 

主なスペックと中古車相場

 

マツダ カスタムキャブ / 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%96

 

マツダ HBEY カスタムキャブ 1989年式

全長×全幅×全高(mm):4,590×1,690×1,410

ホイールベース(mm):-

車両重量(kg):1,230

エンジン仕様・型式:FE 水冷直列4気筒SOHC LPG仕様

総排気量(cc):1,998

最高出力:110kw(64ps)

トランスミッション:4AT or 5MT

駆動方式:FR

中古車相場:皆無

 

まとめ

 

マツダ カスタムキャブ / 出典:http://www.imcdb.org/vehicle_1046527-Mazda-Custom-Cab-HB-1989.html

 

窮余の一策として登場したカスタムキャブですが、『既存車をベースとした安価なタクシー/教習車』というコンセプトは後に日産とトヨタも採用したため、ある意味では先進的だったとも言えます。

もう20年以上前に生産終了した車種なので、今や街で見かけることはほとんど稀であり、レアな旧車ファンの個人所有が確認される程度ですが、2000年頃までにタクシーを利用したり、運転教習を受けた方には、お世話になった方も多いかもしれません。

現在は高価すぎるトヨタ ジャパンタクシーを敬遠してか、タクシーの車種多様化が再び進んでいますが、一時期クルーとコンフォート系だらけになる前の多彩だったタクシー市場に咲いた、マツダ最初で最後のタクシー専用車という華がカスタムキャブでした。

 

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