長い歴史を紡いできたトヨタ クラウンも11代目。いよいよ21世紀を迎えようとする時代にあって、大変革を行いました。先代クラウンセダンを継続生産しつつ本流のパーソナルユース向けクラウンも4ドアハードトップから全車4ドアセダン化。ロイヤルシリーズに加え、スポーツモデルのアスリートが本格的に登場し、大型ステーションワゴンのクラウンエステートも登場しました。
重厚・迫力・豪快な4ドアセダンへ
1999年9月に11代目S170系へと進化したクラウンは、法人ユースメインの『クラウンセダン』のみ先代S150系を継続生産し、個人ユース向けの『クラウン』とステーションワゴン版のみモデルチェンジ。
先代で既に伝統のペリメーターフレームからフルモノコック化されて大幅に軽量化されていましたが、11代目では先代で軽量化した分を取り返すかのようにドッシリと重くなりました(『ロイヤルサルーンG』比較で110kgほど増加)。
寸法そのものはホイールベースも含めほとんど変わっていないのですが、ヘッドライトから独立して大きく立ち上がったフロントグリルで大幅に迫力がアップし、見た目も重厚感あふれるデザインへ。
さらに5代目から10代目まで個人ユース向けにラインアップしてきた4ドアハードトップがサッシュ(窓枠)つきのセダンとなり、全高が30mmほど増し、天井が高くなったことで力強さと風格を漂わせていました。
こうして新たに全車4ドアセダンとなった『クラウン』は、従来からのロイヤルサルーンなど『ロイヤル』系に加え、スポーティグレードの『アスリート』を追加。
アスリートは7代目で特別仕様車、8代目で途中からカタログモデルに加わった後、9~10代目では『ロイヤルツーリング』と名を変えロイヤル系の一員としてラインナップされ続けていましたが、ここで本格的に『もうひとつのクラウン』を主張した形となりました。
そんなロイヤル/アスリートがともに、3リッター/2.5リッター直6エンジン搭載車を設定したのは先代同様ですが、FR車の3リッター直6エンジンは『D-4』(直噴)となり、ロイヤル系最廉価グレード『ロイヤルエクストラ』には後に2リッター直6エンジンも追加。
それ以上に圧巻だったのは当時の自主規制値いっぱいの280馬力を誇る2.5リッターターボ、1G-GTEを搭載した『アスリートV』で、おそらく4代目2ドアハードトップSL(2リッターSUツインキャブのM-B搭載)以来のホットモデルです。
ワゴンも『エステート』で一新。クラウンセダンに代わるパトカー仕様も!
8代目S130系を継続生産していたステーションワゴンも12年ぶりのモデルチェンジ(「トヨタ75年史」では、8代目のビッグマイナーチェンジ版を一応9代目としている)で、『クラウンエステート』と改名。
カルディナバンを後継として『クラウンバン』が廃止されたためにステーションワゴン専用ボディとなり、『クラウン』同様の前後ダブルウィッシュボーン4輪独立懸架となったことで、売れ筋ステーションワゴンのトレンド(商用バンモデルを持たない)に沿う形に。
また、エステートでもロイヤル/アスリートシリーズが設定され、ターボエンジンやスポーツサスペンションを組み、上級グレードにはステアリング上のボタンで変速可能な『ステアシフトマチック』も備えるなど、アスリート系は堂々たる重量級スポーツワゴンとなりました。
さらに、2001年8月で先代S130系の継続生産が終了した法人ユース用『クラウンセダン』の後継として、クラウンコンフォートをベースにした新型が登場する一方、パトカー仕様は個人ユース用『クラウン』のロイヤルサルーンが後継車に。
以降、パトカー仕様は法人ユース向け『クラウンセダン』から、個人ユース向けロイヤル系『クラウン』が引き継ぐこととなりました。
主なスペックと中古車相場
トヨタ JZS171 クラウン アスリートV 1999年式
全長×全幅×全高(mm):4,820×1,765×1,455
ホイールベース(mm):2,780
車両重量(kg):1,600
エンジン仕様・型式:1JZ-GTE 水冷直列6気筒DOHC24バルブ ICターボ
総排気量(cc):2,491
最高出力:206kw(280ps)/6,200rpm
最大トルク:378N・m(38.5gm)/2,400rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FR
中古車相場:5.8~194.8万円(クラウンエステート含む)
まとめ
11代目クラウンS170系は、『アスリート』の本格展開開始や『クラウンエステート』の登場で大幅なイメージチェンジとユーザーの若返りに成功し、その後2018年に登場した最新型15代目までの若々しいスポーティ路線が定着していきます。
それはまた、『ロイヤル』シリーズが主役の座を滑り落ちていく事も意味しており、中古車市場で人気があるのもアスリートやクラウンエステートです。
また、もうひとつの人気の理由が『最後の直6クラウン』だったことで、法人ユース向けクラウンセダン(2008年までマイルドハイブリッド版1G-FEを搭載したトヨタ最後の直6エンジン乗用車)を除けば、2007年まで販売していたクラウンエステートが最後となります。
そして、ペリメーターフレームも直6エンジンも、ステーションワゴンブームが去ってワゴンモデルも設定されないまっさらな次期型クラウンは、『ゼロクラウン』と称して本格的な再出発を図ることになりました。
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