1955年の初代発売から既に30年以上が経過し、1987年にデビューした8代目はまさに『バブル時代真っ盛りを生きたクラウン』であり、一時はカローラ以上の販売台数を誇る大ヒット最高級ハイソカーとなりました。そして上級グレードの3ナンバー専用ボディ化、初代セルシオに先立つ4リッターV8エンジン搭載などで、セルシオ登場以前は最後の『トヨタのフラッグシップ』にふさわしい車だったのです。

 

8代目トヨタ クラウン4ドアハードトップ  / © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

バブル時代に頂点を極めたトヨタ最高級車、8代目クラウン

 

8代目トヨタ クラウン / © TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

1987年9月に発売された8代目クラウンは、狂乱景気のバブル時代にむけてまっしぐらに突き進む日本で開発され、『バブルの申し子』とも言える高級感を持ちながら大ヒットを記録しました。

一方で主力のハードトップを除くセダン・バン・ワゴンはこの代でひとつの完成を見て、特にバンとワゴンはその後も長らく販売されたために後年までよく見かけるクラウンとなりました。

構造的にはペリメーター式フレームを踏襲しつつ、先代でロイヤルサルーン系のみだったリアにセミトレーリングアームを用いた四輪独立懸架はハードトップに限り廉価グレードやディーゼル車以外にまで採用を拡大。

ハードトップとセダンの『ロイヤルサルーンG』にはコイルサスではなく電子制御エアサスが採用されたほか、ジャイロスコープ式カーナビ機能を持つ『エレクトロマルチビジョン』など、装備面でもバブル時代らしい豪華装備がこれでもか!と搭載されました。

そして法人向けグレードを除きドアミラーが標準化され、4ドアハードトップにはフェンダーやバンパーの装飾に留まらない3ナンバー専用の『ワイドボデー』を準備。

数多くのボディやグレードが用意されただけでなく、ハードトップのボディすら2種類になっています。

しかし、残念ながら初代セルシオの登場(1989年10月)で、特殊なセンチュリーを除くトヨタ最高級車の座からは滑り落ちますが、それに先立つ同年8月には同じ4リッターV8DOHCエンジンを搭載した最強のクラウン『4000ロイヤルサルーンG』が登場します。

1989年8月には3リッターワイドボディのロイヤルサルーンにスポーツサスペンションやスポーツタイヤを組み込んだ『アスリートL』が登場しましたが、2リッタースーパーチャージャーの特別仕様車『アスリート』とは異なり、正規のカタログモデルでした。

 

セダンやワゴン、バンはその後も長らく販売

 

8代目トヨタ クラウン4ドアセダン / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60005430A/

 

1991年10月にハードトップはモデルチェンジされて9代目に移行しますが、セダン / ワゴン / バンは9代目販売開始後も、8代目が継続生産され続けました。

しかし個人向け高級サルーン化したハードトップに対し、セダンなど昔ながらの官公庁や業務用途の多いモデルでは需要が限られるようになりますが、矢継ぎ早のモデルチェンジが不要になったことや、まだステーションワゴンブーム到来前だった事も影響していると思われます。

また、ハードトップのモデルチェンジと同時に、8代目継続生産モデルもマイナーチェンジを受け、セダンから4リッターV8エンジンが廃止された事などは、もはやクラウンセダンが主力の座から滑り降ち、セダン需要はセルシオに移行していたのを象徴していました。

 

8代目トヨタ クラウンワゴン / © TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

それでもセダンは1995年12月にモデルチェンジされましたが(1代飛んで10代目S150系)、ワゴンは運転席エアバッグやABSを標準装備するマイナーチェンジを受け、バンともども販売を続行。

基本的にクラウン自体がその頃までかなり保守的なデザインを貫いていた事や、1991年のマイナーチェンジ時にフロントマスクが9代目S140風に変わっていたこともあって、あまり型落ち感も感じさせないまま1999年12月まで販売されました。

なお、クラウンワゴンの後継車は5人乗りステーションワゴンのクラウンエステート(11代目S150系)だったので、この時点でトヨタから3列シート7 / 8人乗りワゴンは消滅(ワゴンのロイヤルサルーンに最後まで7人乗りを設定していた)。

 

8代目トヨタ クラウンバン / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60005432B/

 

クラウンバンの後継車は一回り小さいカルディナバンでしたが、これでマークIIバンの廃止(1997年4月)に続き、トヨタの大型ライトバンも完全に消滅となり、地味ながら1つの時代の終わりを感じさせました。

 

主なスペックと中古車相場

 

8代目トヨタ クラウン4ドアハードトップ /  出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60005430B/

 

トヨタ MS137 クラウン 4ドアハードトップ ロイヤルサルーンG 1987年式

全長×全幅×全高(mm):4,860×1,745×1,400

ホイールベース(mm):2,730

車両重量(kg):1,670

エンジン仕様・型式:7M-GE 水冷直列6気筒DOHC24バルブ

総排気量(cc):2,954

最高出力:140kw(190ps)/5,600rpm

最大トルク:255N・m(26.0kgm)/3,600rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:FR

中古車相場:15万~159万円(セダン・ハードトップ・ワゴン・バン全て含む)

 

まとめ

 

8代目トヨタ クラウン4ドアハードトップ /  © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

最後に、今回ご紹介した8代目クラウンで最後となった装備に『コラムシフト式MT』があります。

ステアリングコラム側面から生えたシフトレバーで変速するコラムシフトは、かつて『ベンコラ』と呼ばれるフロントベンチシート3人乗りを実現する先進装備でしたが、時代には求められておらず、8代目でクラウンからは姿を消すことに。

後に11代目クラウンセダンのLPG車でコラムシフト式ATが復活しますが、ATな上に実質的にはコンフォートのロングホイールベース豪華版だったので、正当な意味でのクラウンのコラムシフト車復活とまでは言えません。

それゆえか、『ベンコラMTのクラウンに乗りたい!』というマニアックなユーザー層からは、もっとも新しいベンコラMTクラウンとして、今回の8代目や1つ古い7代目がコアな人気を得ています。

8代目クラウンはバブル時代に乗った豪華仕様で空前の販売実績を誇った一方、1989年1月7日で終わった昭和時代の名残を残す、最後のクラウンでもありました。

 

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