グレンジャーやダイナスティの上を行く最高級車、初代エクウス
初代グレンジャーで大型高級セダン市場に参入し、デーウからシェアを奪回することに成功したヒュンダイ(現代)は、2代目グレンジャーでもデーウ(大宇)に打ち勝ち、メルセデス ベンツと提携して新たに参入したサンヨン(双龍)と激しい争いを繰り広げていました。
そして、初代・2代目とも三菱と共同開発(三菱では2代目・3代目のデボネアに相当)したグレンジャーは、2代目でヒュンダイによる独自改良を受けたダイナスティを1996年に発売。
さらにダイナスティの後継車を三菱と共同開発しようとしていましたが、ヒュンダイと三菱、どちらの希望かは不明なものの、ダイナスティを上回る最高級車開発へと変更(それによりダイナスティは2005年まで継続販売)されます。
こうして三菱と3度目の共同開発プロジェクトが始動、三菱版プラウディア/ディグニティより10ヶ月ほど早い1999年4月に発売されたのが初代エクウスでした。
そんな初代エクウスはよく知られているように、三菱版は市場で受け入れられないままわずかな販売台数を記録したのみで1年少々の販売期間を終えてしまいましたが、初代エクウスはそれまでのグレンジャー/ダイナスティ同様に成功、2008年12月まで販売されています。
なお、センチネルの名で海外にも輸出されており、三菱版が廃止された後は独自の進化を遂げました。
当初は三菱色が強かったものの、次第にヒュンダイ独自色を強める
初代エクウスは通常ボディ(三菱 プラウディアに相当)とリムジンボディ(同ディグニティに相当)の2つのバリエーションを基本に、当初は三菱で開発したエンジンを搭載していました。
そして『シグマ』の3リッターV6(三菱6G72)は通常ボディにのみ搭載されましたが、『シグマ』3.5リッターV6(同6G74)や『オメガ』4.5リッターV8(同8A80)は通常・リムジン両ボディに搭載されています。
最大のトピックは韓国車初のV8エンジンであり、初の直噴エンジンである『オメガ』でしたが、当時の韓国ではガソリン事情が悪く、特にオクタン価の高いガソリンを販売するスタンドが少なかったようで、ハイオク仕様のGDI版オメガは故障が相次ぎました。
それゆえ後に直噴(GDI)を断念して通常のMPI(マルチポイントインジェクション)版オメガが開発されて、初代エクウスの最後まで採用されています。
なお、2005年には3.8リッターV6、2006年には3.3リッターV6のヒュンダイ独自開発エンジン『ラムダ』が登場し、初代エクウスの三菱エンジンは『オメガ』を除いて淘汰されていき、ついにヒュンダイは大排気量エンジン開発技術を手に入れる事になりました。
他にも初代エクウスは『初のV8エンジン』『韓国の乗用車史上最大排気量』『サイドカーテンエアバッグ』『アクティブヘッドレスト』『エアコン内蔵シート』など韓国車初装備が多く、韓国が誇る最高級車として国際的な式典でも多用されています。
また、前期型はデザイン面でフロントグリルを除き三菱版との類似点が多かったものの、2005年以降はフェイスリフトを受け、フロントグリルやテールランプデザインを大幅に変更。
既に三菱版が存在しなかった事から独自色を強めていき、ヒュンダイは次第に自信を深めていきました。
主なスペックと中古車相場
ヒュンダイ エクウス(初代) VS450 1999年式
全長×全幅×全高(mm):5,065×1,870×1,465
ホイールベース(mm):2,830
車両重量(kg):-
エンジン仕様・型式:オメガG8AA(三菱8A80) 水冷V型8気筒DOHC32バルブ GDI
総排気量(cc):4,498
最高出力:191kw(260ps)/5,000rpm
最大トルク:381N・m(38.8kgm)/3,500rpm
トランスミッション:5AT
駆動方式:FF
中古車相場:128万円
まとめ
ヒュンダイにとっても三菱にとっても史上最大・最高級大型セダンとなったプロジェクトは、三菱側では諸々の事情もあって大成せずに終わりましたが、ヒュンダイでは大成功を収めて独自改良にも弾みがつきました。
そして初代エクウスやダイナスティの独自改良で自信をつけたヒュンダイは、2代目エクウス以降から高級車の独自開発も手がけ、今や高級車ブランド『ジェネシス』が北米市場などでレクサスのライバルになるほど成長しています。
かつて日本車が1950~1960年代にたどった道を忠実にたどったってきたヒュンダイなどの韓国車メーカーは、今や大きく成長し中国車も同様に台頭し始めるなど、もはや国産車メーカー各社もウカウカしてはいられません。
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