車検や点検時にディーラーで「ブレーキフルード(ブレーキオイル)の交換をして下さい」と言われた経験はありませんか?

エンジンオイルほど頻繁に交換することはありませんが、車に乗っていれば1年や2年に一度は必ず耳にするブレーキフルード。

ブレーキフルードは、自動車のブレーキを正しく動作させるためにはとても重要な要素の一つで、交換を勧められればディーラーで取り扱っているフルードに交換することが多いのではないでしょうか?

エンジンオイルのように、ブレーキフルードも種類と交換頻度がある程度決まっており、正しく使用することでより安全に車を制動させることができるのです。

そもそもなぜブレーキフルードを交換しなければならないのか?ブレーキフルードの種類によって何が違うのか?株式会社ディクセルにブレーキフルードについての気になる疑問を聞いてみました!

 

 

ブレーキフルードの役割とは

DIXCEL ディクセル ブレーキフルード 交換 時期 寿命
走行するクルマを減速させ停止するために必要とされるブレーキ。

人命に関わるパーツとして法律で重要保安部品に定められています。

市販のクルマであれば一般的には油圧式のブレーキが装着されており、ブレーキペダルを踏み込むとブレーキフルードを介して、ブレーキキャリパーのピストンに圧力を掛けることで、ブレーキパッドが回転するブレーキローターを強力な力で挟み込み、摩擦の力で車を減速させます。

そもそもブレーキフルードは、オイル(潤滑油)のように、動きを滑らかにするものではなく、物理的に対象物を動作させるためのフルード(作動油)なの、エンジンオイルなどの潤滑を目的としたオイルとは役割が異なるのです。

 

ブレーキフルードは鮮度が命??

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Photo by Pete

ブレーキフルード(作動油)はエンジンオイルほど交換頻度は多くありませんが、定期的に交換を行う必要がある消耗品です。

一般的な街乗りでの使用用途であれば2年に1回程度の頻度で交換が必要とされています。

株式会社ディクセル広報担当 金谷さんは「ブレーキフルードは鮮度が命なんです!」と力強く語ってくれました。

ブレーキフルードは主成分として吸湿性に優れたグリコール系(エチルグリコール)の成分が用いられており、車体に配管された金属パイプにフルードが充填され真空状態を保っています。

吸湿性が必要とされている理由はブレーキ配管の酸化を防ぐためですが、これは空気に触れるだけで空気中の水分を吸ってしまい性能が劣化することを意味しています。

ブレーキ配管は基本的に真空を保ってはいるものの、経年などにより徐々にブレーキフルードの劣化が進行することで、ブレーキフルードとしての性能が発揮できなくなってしまい、作動油として圧力損失が発生するため、ブレーキの効きが悪くなります。

上記のような理由から、ブレーキフルードは新品状態が一番性能を発揮できる状態であり、鮮度が命と言えるのです。

 

DOT規格のDOTって何?

ブレーキフルードには基準があり、例えば日本のJIS規格のようなものでDepartment of Transportation(アメリカ合衆国運輸省)を省略してDOT規格と呼ばれています。

規格と呼ばれている以上、定められた数値を満たしている必要があり、ドライ沸点やウェット沸点、粘度の違いにより4つのDOT規格(DOT3、DOT4、DOT5.1、DOT5)で表記されます。

基 準 主成分 ドライ沸点 ウェット沸点 粘度(100℃) 粘度(-40℃) ph値
DOT 3 グリコール 205℃以上 140℃以上 1.5cst以上 1500cst以下 7.0-11.5
DOT 4 グリコール 230℃以上 155℃以上 1.5cst以上 1800cst以下 7.0-11.5
DOT 5.1 グリコール 260℃以上 180℃以上 1.5cst以上 900cst以下 7.0-11.5
DOT 5 シリコン 260℃以上 180℃以上 1.5cst以上 900cst以下 7.0-11.5

メーカー毎や使用環境、車種により使用されるブレーキフルードは異なりますが、国産車であればDOT3がほとんどで、一部車種ではDOT4、欧米車(寒冷地など)ではDOT5.1が新車時に使用されています。

ドライ沸点は吸湿率0%(新品状態)での沸点、ウェット沸点は吸湿率3.7%時(1〜2年使用時と同等の劣化状態)の沸点、粘度はブレーキフルードの流動性を示す数値で、数値が大きいほど固くなり流動性が悪くなります。

沸点は文字通り液体が沸騰する温度で、水であれば一般的に100℃であり、ブレーキフルードであれば沸点が高いもので300℃以上、低いもので140℃程度で、沸騰するとフルードが気化して気泡がブレーキ配管内に発生するのです。

この気化して気泡がブレーキ配管内に発生することが「ベーパーロック現象」と呼ばれる症状で、ブレーキフルードが沸騰し配管ないに気泡が発生してしまうと、いくらブレーキペダルを強く踏んでも気泡を圧縮するだけでブレーキが動作しません(圧力損失でブレーキピストンを押せなくなる)。

よってクルマを止めることができず、最悪の場合は重大事故に繋がるため、使用環境にに合わせて正しいDOT規格のブレーキフルードを選ぶ必要があるのです。

 

DOTの数字が大きいほど高性能!?

前述のDOT規格の表を見ると、DOTの数字が大きければ一般的に性能が高いですが、決してそう限ったわけではなく、基本的には成分と用途に区分けされています。

規格 用途
DOT3 一般車輌用(小中排気量、軽量車)
DOT4 一般車輌用(大排気量、重量車)、スポーツ走行用
DOT5.1 一般車輌寒冷地用(大排気量、重量車)、スポーツ走行用
DOT5 主成分シリコン 特殊車輌用(ハマー、ハーレーダビッドソン)

DOT5.1は沸点が高いだけではなく、低温での粘度特性が厳しく定められていて、北欧やカナダなどの寒冷地ではDOT5.1規格のブレーキフルードが一般車用として使用されています。

市販のDOT4の大半はドライ沸点270℃前後、ウェット沸点170℃前後で、沸点だけ見ればDOT5.1に近い性能があるのですが、低温の粘度特性において明確な差があり、冬場の低温時の流動性を考慮すると日本国内でも北海道や東北地方、山間部の気温低下が激しい地域では、DOT5.1を選ぶメリットがあると言えるのです。

 

ブレーキフルードは混ぜると危険!?

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出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

ブレーキ配管は構造上、正常な状態のクルマであればほぼ真空状態が保たれているため、ブレーキフルードはほとんど減ることがありません。

ブレーキフルードが減る場合として考えられるのは、ブレーキパッドとブレーキディスクローターが摩耗して減った時で、減った分だけブレーキピストンの位置がパッドを押す方向に動くため、その分ブレーキのリザーバータンクではフルードが減ったように見えますが、ブレーキフルードの量そのものには変化が無いのです。

もちろん、ブレーキフルードの量がリザーバータンクの下限(MIN)より下回ってしまうと、タンクからエアを吸ってしまう可能性があるためベーパーロックと同じような現象に陥ります。

かと言って、ブレーキフルードが減ったからといって安易に継ぎ足してはいけません。

すでに充填されている古いフルード(グリコール系)に対して、同じグリコール系のブレーキフルードでDOT規格をパスしているもの同士であれば、機能的に大きな問題が出ることはありませんが、性能面においては平均値にならず、低い方(古い方)の性能になってしまいます。

またDOT3、DOT4、DOT5.1のグリコール系ブレーキフルードに対し、DOT5のシリコン系ブレーキフルードを混ぜてしまうと成分が分離してしまうため、混ぜて使用することはできないのです。

 

用途に合わせてブレーキフルードを選ぶ!

純正であればブレーキフルードはDOT3やDOT4の車種がほとんどですが、車検時などに交換を迫られた際、どのフルードを選択すれば良いのでしょうか?ご紹介して行きます!

車検交換時にちょうどいい BRAKE FLUID DOT 5.1

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BRAKE FLUID DOT5.1 ©️DIXCEL

自動車メーカー指定の同じブレーキフルードを選ぶのも一つですが、DOT5.1にすることで冬場の寒い時期でも安定した性能を発揮し、一般的な使用用途であれば交換サイクルも2年程なのでリーズナブルです。

ディクセルからは車検交換時に最適な「BRAKE FLUID DOT 5.1」が発売されています。

DOT5.1はDOT3やDOT4と全く同じエチレングリコールをベースに開発されており、ウェット沸点(長期使用した場合の沸点)が高いのと低温時の粘性(流動性)が優れていることが特徴です。

パフォーマンスユースでの長期使用や、寒冷地での最先端ABSシステムとのマッチングの面で高い評価を得られていて、旧来のDOT5の様な吸湿性の高さによる頻繁な交換を求められる物ではないので、DOT4と同じ感覚で安心して街中でも使用できます。

また、BRAKE FLUID DOT 5.1には交換時期を記録するラベルが付属していることもポイント。

交換時期を把握することで、フルードの劣化具合の把握と交換忘れを防ぎます。

ドライ沸点:269℃
ウェット沸点:187℃
粘度(-40℃):810cSt
粘度(100℃):2.17cSt
pH:7.49    7~11.5

 

DIXCEL ディクセル ブレーキフルード 交換 時期 寿命

交換時期が確認できるラベル ©️DIXCEL

 

ストリートからサーキットまで使える 328 Raicing

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328 Racing ©️DIXCEL

ブレーキフルードは使用用途によって使い分ける必要がありますが、サーキットなどでのハードなスポーツ走行となると、ドライ沸点が高いフルードが望ましいとされています。

ディクセルからはDOT4規格(グリコール系)でありながら世界最高レベルのドライ沸点328℃実現した「328 Racing」を発売中!

DOT5のシリコン系と違い、グリコール系のためシールなどのゴム類への影響も心配がなく、DOT4規格だからこそ、ストリートからサーキットまで幅広く使え、メンテナンス性にも優れます。

カッチリとしたブレーキフィーリングが特徴で、硬質なペダルタッチが生み出す安心感はサーキットでの連続走行でも変わらない性能の高さを誇っているのです。

ドライ沸点:328℃
ウェット沸点:204℃
粘度(-40℃):1698cSt
粘度(100℃):2.59cSt
pH:7.15    7~11.5

 

レース・競技専用 DIXCEL ULTRA RAICING

DIXCEL ディクセル ブレーキフルード 交換 時期 寿命

DIXCEL ULTRA Racing「DUR」©️DIXCEL

レーシングカーでの耐久レースやスプリントレースを想定して開発されたDIXCEL ULTRA RAICING 通称「DUR」。

高温時でもタッチの変化が少なく、安定したブレーキタッチを維持し、プロフェッショナルレースに最適です。

ABSとの相性も良く、コーナーでのブレーキング勝負で先を争う瞬間でも、安心してライバルをオーバーテイクすることができます。

ホウ酸エステル類を主成分としたDOT規格外であるため、一般道での使用はお控えください。

ドライ沸点:325℃
ウェット沸点:211℃
粘度(-40℃:2436cSt
粘度(100℃:2.6cSt
pH:7.2

 

 東京オートサロン2019にDIXCELが出展します

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DIXCELブースデザイン ©️DIXCEL

2019年1月11日(金)〜13日(日)に開催される東京オートサロン2019。

2018年に引き続きブレーキパッドとブレーキディスクローターのアフターパーツブランド、DIXCELが出展します!

ブースではディクセルが得意とするブレーキパッドやブレーキディスクローターの展示はもちろんのこと、2018年Blancpain GT Asiaシリーズの鈴鹿サーキットとブリラムサーキット(タイ)でGT4クラス優勝を飾った、BMW Team Studie M4を展示!

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ブランパンGTアジア2018 鈴鹿サーキット ©️DIXCEL

 

レーシングカーとはいえ、GT4マシンは市販車状態に近いカテゴリーなので、チューニングの参考にもなるのではないでしょうか?

カスタムカーの祭典と言われる東京オートサロンですが、レーシングカーにもカスタムの秘訣が隠されているかもしれません。

【ブレーキフルード】まとめ

今回はブレーキフルードの種別を含め、使用用途にあったパーツをご紹介しました。

ブレーキフルードは人間にとって血液が果たす役割と同じくらい重要な油脂類で、ほとんどの市販車は油圧式のブレーキを採用しているほため、ブレーキフルードがなければ車を安全に走らせることができません。

定期的に交換が必要な消耗品であり、鮮度が大事とされる消耗品ですので、ブレーキペダルを踏んだ感覚が悪いと感じるようでしたら、交換時期にかかわらず積極的にブレーキフルードの交換をするようにしましょう!

DIXCELのモタガレページを見る

 

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