クルマやバイクにとって、最も重要なパーツは何だと思いますか?エンジンが無ければ、当然走ることが出来ないので、エンジンと答える人もいるでしょう。しかし安全という観点から見た場合、一番重要なのは止まる事。止まれない事ほど、恐ろしいことはありません。今回は、そんな安全に関わる最重要アイテムと言っても過言ではない『ブレーキ』について。たまに耳にする、ブレーキがフェードするとは一体どういう状態を表しているのでしょうか?また、万が一フェードしてしまったら、どう対処すればいいのでしょうか?まとめてみました。
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ブレーキがフェード…って何だ?
ブレーキを酷使し続けると起きる現象に、『フェード現象』と言うものがあります。
フェード現象が起こると、制動力が著しく低下し、”止まれなく”なってしまうことも。
そんな恐ろしい現象は、いったいどのように起こってしまうのでしょうか。
そもそもブレーキとは『ブレーキパッド』と呼ばれる摩擦材で、車軸に取り付けられたブレーキローターを挟み込む、ないし押さえつけることで摩擦により、クルマの運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、速度を減少させる装置のこと。
特に、純正品やストリート向けとされているブレーキパッドには鳴き対策が施されると共に、低温時の効きめが重視されているため、樹脂やゴム類、有機系繊維等の有機分を多く含んでいます。
そのためローター温度が約350℃を超えたあたりから、これらの有機分が溶けたり燃えはじめてしまうのです。
そして、樹脂などが分解されると、ブレーキパッドからはガスが発生。
パッドの摩材表面に、ガス膜を形成します。
このローターとパッドの間に生まれたガス膜が原因で、ブレーキの効きが急に悪くなる現象を『フェード現象』と呼ぶのです。
フェードを放置すると恐ろしいことに……!
もしアナタがクルマを運転している時に「なんかブレーキの効きが悪くなったかも?」と感じたならフェードしている可能性を考えた方がいいかもしれません。
もしフェード現象が発生していた場合、そのままブレーキを掛け続けるとパッドで発生した熱がブレーキフルード(オイル)にまで伝わってしまいます。
そしてフルードが沸騰してしまうと、完全に制動力は失われてしまい、大変危険な状態となってしまうのです。
ちなみに、その状態は『ベーパーロック現象』と呼ばれます。
フェードしてしまったらどうすればいい!?
もしブレーキがフェードしてしまった場合は、駐停車出来そうな場所があれば一度クルマを停めてブレーキを休ませ、十分に冷却を行いましょう。
熱の影響で発生する現象のため、クールダウンを挟めばまた安全に走行できるはず!!
万が一、フェードに気づかずベーパーロック現象が起きてしまった場合には、焦らずにシフトダウンしてエンジンブレーキを使った減速を試みたり、ハンドブレーキをスリップさせない程度に少しずつ掛けたりすれば停車する事は可能です。
しかし、それでも減速不可能な場合はガードレールにぶつけたり、緊急待避所へクルマを突入させて強制的に停車させるしかありません。
そんなベーパーロック現象は、基本的に高速域での強いブレーキングや、長い下り坂でのフットブレーキの使用過多により発生します。
最悪の事態を回避する為にも、ブレーキの酷使が予想されるサーキットなどでのスポーツ走行をする際には、あらかじめ耐フェード性の高いブレーキパッドや沸点の高いブレーキフルードに交換しておく事をオススメします。
フェードしないように〇〇をしよう!
フェードやベーパーロック現象は、フットブレーキの多用により発生する現象です。
そのため、急勾配が連続する長い下り坂などでは、なるべくエンジンブレーキを用いてゆっくりと降りていくことで、フェードの予防ができるので、是非意識してみてくださいね。
耐フェード性の高いパッドへ交換!
また、もしもの前にブレーキパッドを耐フェード性が高いタイプに交換しておくのも、おススメの方法です。
そこで!!Motorz編集部イチオシのブレーキパッドを、いくつかご紹介しましょう!
project μ|B SPEC
project μのB SPEC。
街乗りからスポーツ走行まで対応できる確かな制動力と耐フェード性の向上を実現しながら、お求めやすい価格におさえたモデルです。
https://motorz-garage.com/parts/detail/392871
DIXCEL | Z type
制動力、コントロール性重視のオールラウンドパフォーマンスパッド『Z type』。
オールラウンドの名が示す通り、ストリートのスポーツ走行からサーキット走行までこなす超ワイドレンジモデルとなっています。
ストリートスポーツパッドに不可欠な低温域でのリニアな効き、そしてマイルドなローター攻撃性が特徴。
サーキットでの高温域でも安定した効力を発揮するため、高い耐フェード性
ハイグリップラジアルタイヤにベストマッチするパッドです。
https://motorz-garage.com/parts/detail/180385
まとめ
よくレーシングマシンの走行写真などで、ブレーキローターが熱せられ、赤く光っているシーンを見かけますよね。
「カッコいいな〜」なんて思っていても、実はその裏でマシンは危険な状態に晒されているのです。
なかなか愛車では、レースシーンのようにブレーキをハードに踏み込むシーンは無いと思いますが、何事も100%はあり得ません。
“もしかしたら”という心持ちで、十分に備えておいてくださいね。
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