クルマのタイヤがパンクしてしまった際に、スペアタイヤへ交換したことはあっても、パンク修理キットは使ったことがない!という方は、実は多いのではないでしょうか。しかし近年では、スペアタイヤを搭載するクルマが少なくなっており、代わりにパンク修理キットを装備するクルマが増えています。そこで、いざという時にパンク修理キットを正しく使うための、利用手順や注意点などをご紹介します。
いざという時、パンク修理キットを使えますか?
これまで、出先で突然タイヤがパンクしてしまった際、スペアタイヤへの交換するのが一般的でしたが、実は最近のクルマにはスペアタイヤが搭載されていません。
その代わりに、パンク修理キットが搭載したクルマが増えているのです。
しかし、教習所で教わったのはスペアタイヤ交換ですし、タイヤ交換を自ら行った経験がある人でも、パンク修理キットは使ったことがないという方は、多いのではないでしょうか。
落ち着いた状況なら、説明書を見ながら行えば簡単にできるかもしれませんが、タイヤは突然パンクするもの。
まさかのアクシデントに、焦ってしまうかもしれません。
そこで、万が一のパンクに備え、パンク修理キットの使い方や留意点、他の方法と比較して、コストにどれくらい差が出るのかなど、タイヤのパンク修理について、ここで詳しく説明していきましょう。
スペアタイヤはなぜ消えたのか
1番最初にスペアタイヤからパンク修理キットに、搭載アイテムを変更したのは、平成20年9月に登場した4代目スズキ ワゴンR(MH23S型)でした。
同年に行われたエコカー政策により、『エコカー補助金』、『エコカー減税』が登場し、燃費性能が重要視されるようになります。
そこで、車体を軽量化し、燃費性能を向上させるために、スペアタイヤの搭載が徐々に無くなっていったのです。
また、他の要因として、昔に比べてタイヤの性能が格段に向上し、タイヤのパンクが少なくなったことが挙げられます。
さらに、JAFなどのロードサービスが充実してきた事に加え、ユーザーが携帯電話を当たり前に所有する時代となり、24時間全国どこにでも、ロードサービスを呼べば、駆けつけてくれるようになりました。
そのため、スペアタイヤではなくコンパクトなパンク修理キットがオプションや標準で採用されるようになったのです。
ちなみに、以前はスペアタイヤ搭載が義務化されており、スペアタイヤがなくては車検に通らなかったようですが、現在は法律上もスペアタイヤの搭載義務はありません。
パンク修理キットの使い方
パンク修理キットとひと言で言っても、その仕様は様々なので、ここではパンク修理液を使用した、パンク修理キットの使い方を解説していきます。
パンク修理キットには、メーカーにもよりますが、一般的に『パンク修理液』『コンプレッサー』『バルブコア回し』『バルブコア』『速度制限シール』『注入ホース』が入っています。
スペアタイヤ交換のように、ジャッキアップが必要ないところが、パンク修理キットの便利なところです。
パンク修理キット使用手順
まず、修理の前に地面が固く平らな場所に移動し、シフトレバーをPに入れてからエンジンを切ります。(ハイブリッドシステムを停止)
そして非常点滅灯を点灯させ、パンクしたタイヤの対角線のタイヤに輪止めをします。
タイヤに釘やネジなどが刺さっている場合は、抜かずにそのまま修理を行ってください。
もし抜いてしまうと、穴が広がって修理が不可能になることもあるので要注意です。
次に、パンクしたタイヤのバルブからバルブキャップを取り外し、バルブコア回しの突起部分をバルブに押し当て、タイヤの空気を完全に抜きます。
そしてバルブコア回しでバルブコアを回し、バルブコアを取り外します。
その後、パンク修理液を使用するのですが、使用前にのボトルを良く振り、沈降した閉塞材を分散させます。
そして、注入ノズルをボトルに装着し、反対側の注入ノズルの先端をバルブ部分に接続。
ここからパンク修理液を注入していくのですが、商品によっては注入ノズルやバルブ部で閉塞材が詰まる場合もあるため、その場合は注入ノズルを抜き、パンク修理液のボトルキャップを閉めて、再度ボトルを良く振ってから、パンク修正液を注入してください。
ちなみに、備え付けのコンプレッサーにパンク修理液をセットし、タイヤへ空気を入れる際に一緒にパンク修理液を自動で入れてくれる修理キットもあります。
付属している速度制限シールは、運転席側のドライバーが見えるところに貼り付けてくださいね。
パンク修理液の注入が終われば、注入ホースをバルブから引き抜き、バルブコア回しを使ってバルブコアをバルブにしっかりとねじ込みます。
そして、コンプレッサーを設置し、タイヤに空気をいれていくのです。
ちなみに、コンプレッサーの電源プラグはシガーソケットに差し込むタイプのものが多いのですが、シガーソケットを使用する場合は、電源を確保するためにエンジンまたはハイブリッドシステムを始動します。
そして、コンプレッサーのスイッチをONにし、パンクしたタイヤに空気を送りこみますが、タイヤの空気圧は運転席側のドアの開口部にシールで表示されていることが多いので、表示を参考に、指定の空気圧までタイヤに空気を送り込みます。
タイヤに空気が入ったらバルブを閉め、タイヤ内のパンク補修液を均等に広げるために、すぐに約5kmを安全に走行します。
このとき、車内に貼った速度制限シールに準じた速度内で運転するように心がけてくださいね。
走行後は、再度コンプレッサーを接続し、空気圧が指定空気圧を保っていれば、無事修理は完了となります。
パンク修理キットを使用するうえでの注意点
パンク修理キットが使用できる条件は、いくつかあります。
例えばパンク修理液は、穴がタイヤの接地面にあることが条件で、側面の場合は修理できません。
また、商品にもよりますが、基本的に修理できるパンク箇所は4mm以下の穴や傷であることと、タイヤ1本のみであることが条件に課せられます。
まとめ
パンク修理キットは、あくまで緊急処置の為のものであり、キチンと修理工場へ持って行き、パンク修理をしてもらう必要があります。
といっても、パンク修理液を入れたタイヤは、基本的に使用不可なので、お店でタイヤを交換することが必須です。
そうなれば、タイヤ一本の価格と交換手数料、さらにパンク修理キットの修理液を新しく購入しなければならなくなるため、パンク修理キットを使用せずにJAFなどのロードサービスを利用したり、スペアタイヤ交換をしたほうが安くなることもあります。
しかし、急遽パンク修理が必要なときは、十分使う価値のある応急処置アイテムと言えるので、使い方は覚えておいてくださいね。
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