ルームミラーは、必ず装着しなければならないのでしょうか。そんな疑問を持ったことはありませんか?運転時、ルームミラーを見ながら後方を確認する人が大半だと思います。しかし、トラックやバンなど貨物車は、ルームミラーでは後方が確認できない事も多々。ではなぜ、ルームミラーが装着されているのでしょうか。そんなルームミラーの疑問について、解説します。
ルームミラーの必要性はあるのか
運転時に車両の後方を見るための装備に、ドアミラーやフェンダーミラー、そしてルームミラーがあります。
道路運送車両では、これら後方を確認するためのミラー類は『後写鏡(こうしゃきょう)』と呼ばれ、保安基準第44条第1項では”自動車(被牽引自動車を除く。)には、後写鏡を備えなければならない。”と定めてられています。
しかし、その中でもルームミラーは、車の後ろに荷物を積載すると、荷物でリアガラスが見えなくなることもありますし、トラックやバンといった貨物車であれば、リアガラスがないものもあるため、その必要性を疑ってしまいます。
ルームミラーは本当に必要なのでしょうか。
また、装着しなければ、車検に通らなくなったり、場合によっては道路交通法違反で違反切符を切られるなんてこともあるのでしょうか。
ルームミラーとは
ルームミラーは、後方及び後側方を視認するための器具の一部として、バックミラーの総称に入る部品です。
そんなバックミラーの種類には、車外に取り付けられているフェンダーミラーやドアミラー、そして室内のルームミラーがあり、法令用語では前述のように『後写鏡』と呼ばれています。
ちなみにバックミラーは和製英語であり、英語ではフェンダーミラーやドアミラーを『outer rear-view mirror(アウター リア ビュー ミラー)』、ルームミラーを『inner rear-view mirror(インナー リア ビュー ミラー)』と呼びます。
ルームミラーはなくても合法?
寝屋川陸運局なう pic.twitter.com/QBTk2ovR
— 勘十里マスター (@bar_country) 2011年10月20日
結論から言うと、ルームミラーは装着されていなくても車検には通ります。
道路運送車両法の保安基準、第44条によれば、後写鏡は構造上、目視により後方視認が行えないトレーラー以外の車両全てに装着義務があるとされています。
そして、2018年6月22日に改定された道路運送車両の保安基準、第3節 第224条(後写鏡等)によれば、後写鏡とは車外鏡、つまりドアミラーやフェンダーミラー、大型トラックなどの助手席側に装着されるカーブミラーを指し、形状、取り付け位置、可倒式であることなどが細かく定められています。
しかし、実は第44条(後写鏡等)内にはルームミラーに関して触れられている項目はなく、ルームミラーの取り付け強度についての規定はあるものの、ルームミラーの有無による違反等は設定されていないため、ルームミラーが装着されていなくても車検を通すことは可能なのです。
トラックにはなぜルームミラーが取り付けられているのか?
アルミバンや冷凍・保冷バン、ドライバンなど、室内の後方が塞がっていて、ルームミラーが装着されていたとしても、そこから後方が確認できない車両も多々あります。
これではルームミラーを取り付ける意味は、あまりありませんよね?
しかし、トラックが工場から出荷される段階では、そのトラックが平ボディになるか、またはアルミバンになるかは決まっていないため、どちらにも対応できるよう、既にルームミラーが取り付けられた状態で出荷されます。
そのため、無駄とも言える車両にもルームミラーが装着されているのです。
とはいえ最近では、カメラの小型化がすすみ、ルームミラー型バックモニターが装着されるものが増えたため、アルミバンや冷凍・保冷バンへの鏡製ルームミラーの装着は、かなり少なくなっています。
ルームミラー式バックモニターでの注意点
日産は、インテリジェントルームミラーと呼ばれるルームミラー型バックモニターを開発し、いくつかの車種に搭載できるようになりました。
インテリジェントルームミラーは普段、鏡製のルームミラーとして使用でき、後部座席に人を乗せたり、多くの荷物を積んでルームミラーから後方が確認できなくなった場合などに、スイッチひとつでルームミラーがモニターとなり、車体後方に搭載した小型カメラの映像を映し出せるという優れた製品です。
また、レクサスESではドアミラーがカメラ式になり、ドアミラー部分のカメラの映像を室内のAピラー付け根に搭載されたモニターに映し出してくれます。
ドアミラーをカメラに変更し、コンパクトにすることは、単純な視認性の向上だけでなく空気抵抗の低減・燃費の向上も図られているのです。
さらに、後付けで車両の後方に小型ビデオカメラを装着し、専用のルームミラー式モニターを装着することで、カメラの画像を常に映し出すルームミラー型バックモニターも販売されています。
また、これらデジタル化されたバックミラーに関しての注意点として、道路運送車両法が2017年6月22日に改定された際に、後方確認装置として鏡以外にもカメラの採用が盛り込まれ、使用する場合は後写鏡と同じく、強度、角度とその維持強度や調整方法などが規定されています。
しかし、取り付け位置に明確な規定はなく、日産インテリジェントミラーやレクサスESのように車にもともと装着されているものに関しては、メーカーが型式認定を受けた際の取り付け場所に必ずないといけません。
これは簡単に説明すると、取り付け位置を変更してはいけないということです。
また、後付けのものについては明確な規定はありませんが、ルームミラーの取り付け強度不足や前方の視界を遮るようなものであれば、車検の妨げになる場合も!!
そのため、説明書通りの取り付け手順や取り付け位置をきちんと守って、装着することをおすすめします。
まとめ
ルームミラーは設置しなくても違反ではなく、車検を通すことは可能ですが、ルームミラーが無くなれば、ドライバーの視界を減らすことにもなるため、おすすめはできません。
法律で定めされているかどうかでなく、安全装備としてのルームミラーやモニターを有効に活用し、後方確認を怠らず、安全運転を心がけてくださいね!
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