クルマのカタログや車検証には、車両型式が書かれており、その型式名の文字/数字列には多くの情報が含まれています。そのため、今まではなんとなく車両型式を見ていたという方でも、要点を抑えて車両型式を理解しておけば、意外に便利だったりもするのです。
ややこしいけど知っておけば便利な車両型式にまつわる話
今日はトヨタの車両型式番号として最も有名な「#AE86(#ハチロク)」の誕生日です。この番号は1983年発売の「#カローラレビン」と「#スプリンタートレノ」に共通して使われ、その後この2台のように愛されるクルマを育てたいという想いから現在の「86」の車名にも受け継がれています。#トヨタ #toyota pic.twitter.com/6rDrzmM701
— トヨタ自動車株式会社 (@TOYOTA_PR) 2018年5月12日
トヨタの大人気モデル『86(ハチロク)』。
『ハチロク』と聞けば、漫画イニシャルDの主人公 藤原拓海が乗っていたスプリンタートレノや、秋山渉のカローラレビンなどを思い浮かべる方も少なくないでしょう。
漫画の中に出てくるトレノとレビンは、2台共通の車両型式『E-AE86』から”ハチロク”または”AE86″という愛称で、1987年の生産終了後も長らく親しまれた名車です。
そして時は流れ、およそ25年が経過した2012年に、ハチロクと同じ軽量FRスポーツの『トヨタ86』が発売されました。
そのため、単に”86″というだけではAE86なのか、新しいほうの86なのか区別がつかないので、現在は『AE86』の呼び方が一般的。
一方でトヨタ86は、そのまま”86″と呼ばれるか、型式名の『ZN6』と呼ばれています。
また、86だけでなく日産 スカイラインGT-Rでは『R32/R33/R34』、トヨタ マークⅡ/チェイサー/クレスタでは『JZX/90/100/110 TOURER』など、人気モデルでも型式名で呼ばれることは多く、年式やモデルを区別するために、型式名を知っておくと、とても便利です。
さらに、あまり知られてはいませんが、車両型式にはモデルの特定だけでなく色々な情報が詰め込まれているので、型式名さえわかれば、メーカー、車名、車体形状、エンジンの種類、排気量、対応排出ガス規制、さらには任意保険の料率までもが判別可能となります!
車両型式とは
レヴォーグのコーションプレートを見たのだが、レヴォーグの2.0車はVMGというのだな。 pic.twitter.com/PEKkX1T4wk
— なおレガST250@直向きに。 (@naokun8888) 2014年4月14日
車両型式は、道路運送車両法に基づき、国土交通大臣が構造・装置・性能が同一な自動車に対して指定する分類指標で、いわゆる『車のコードネーム』のようなもの。
自ら乗っているクルマの車両型式を知りたければ、車検証かボンネットを開いた際に見えるコーションプレートで確認する事ができます。
また、車種のモデル毎に特定の車両型式が定められており、ごく一部を除けば車両型式を知ることで、どんなモデルか判断できでしまう情報量!
例えば、『トヨタ プリウス』と聞いても、年式やモデル、駆動方式、ハイブリッドかPHVなのか、またはプリウスαなのかを判断するのは困難ですが、『○○○-△△△』のような型式名さえわかれば、ほとんどが特定できると言っても過言ではありません。
車両型式の見方
車両型式の見方について、現行モデルとなる4代目後期型プリウスの車両形式『DAA-ZVW51』および『DAA-ZVW55』を見ていきましょう。
最初の3文字のアルファベットは『自動車排ガス規制及び低排出ガス車認定』の識別記号であり、平成4年までは1桁、平成5年から平成16年までは2桁、平成17年以降は3桁になっています。
DAAはハイブリッドカーを表し、Dが『平成17年排出ガス基準75%低減』、Aが『ハイブリッドシステム有のガソリンエンジン』、Aが『平成17年規制のディーゼル車以外の乗用車』の意味。
他にもガソリン乗用車に関しては、以下のような自動車排ガス規制及び低排出ガス車認定の識別記号があります。
自動車排出ガス規制及び低排出ガス車認定の識別記号 ガソリン(LPガス)乗用車 | |
---|---|
ABA | 平成17年規制に適合させたもの |
AAA | 平成17年規制に適合させたハイブリッド車 |
CBA | 平成17年基準排出ガス50%低減レベルのもの |
DBA | 平成17年基準排出ガス75%低減レベルのもの |
CAA | 平成17年基準排出ガス50%低減レベルのハイブリッド車 |
DAA | 平成17年基準排出ガス75%低減レベルのハイブリッド車 |
DAAから後の文字列は、各自動車メーカーが自由に決められる番号です。
プリウスの場合は、初代プリウスで『NHW10,11』、2代目で『NHW20』、3代目で『ZVW30』、そして現行型となる4代目モデルでは『ZVW50,51,55』となり、なぜ40を飛び越えて50になったのか、理由は不明ですが、現行モデルは『50系プリウス』とも呼ばれています。
さらに、初代と2代目に共通する『NHW』は、”N”がNZ型エンジンの搭載を意味し、”H”はハイブリッド、”W”はシャシー記号を表示。
3代目以降の『ZVW』は、”Z”がZR型エンジンの搭載を意味し、”W”がNHWと同意味です。
真ん中の”V”に関してはよくわかっていませんが、筆者の予想だと3代目モデルからプラグインハイブリッドモデルが登場したため、ハイブリッドを表す”HV”とプラグインハイブリッドの”PHV”の共通アルファベット”V”を採用したのではないかと考えます。
また、4代目前期型プリウスにはZVW50と51、55の違いがありますが、ZVW50がニッケル水素電池、ZVW51がリチウムイオン電池、ZVW55が4WDを表しており、後期型ではZVW51とZVW55になるため、それぞれリチウムイオン電池の2WDと4WDを示しているのです。
まとめ
クルマに興味があまりない方は、クルマの型式名を意識したことはないと思います。
しかし、クルマを購入する際、ディーラーでの新車購入ならモデル名だけ言えばだいたいお店が車種を特定してくれますが、中古車の場合だと、車種によってはさまざまなモデルや搭載エンジンの中から、希望のモデルを特定する事が難しく、お店の方との意思疎通ができません。
そんな中古車店に展示されている車両は、外観が同じ車種でも、タグに書かれている車両型式が異なっていれば、中身が違うという判断材料になります。
また、カスタムパーツを購入する場合は、適合車両をモデル名でなく型式名で表記することが多いので、パーツカタログを見る際には、自分が乗っているクルマの型式名を把握しておくことが大切です。
このように、モデル名と車両型式名との関係性を知っておくことは、カーライフを充実させるためにも、重要なことなのです。
Motorzではメールマガジンを配信しています。
編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?
配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!